ページの本文へ

空気とくらし

専門家に聞きました

「熱あたり」への対策意識を高め
「熱中症」を減らす

臨床教育開発推進機構 理事
三宅康史 先生

熱中症は暑さ(熱)による体調不良の氷山の一角

現在、年間約30~60万人が病院で熱中症と診断され、夏の社会問題となっています。しかし、これは問題の一部に過ぎません。

多くの人は「自分が熱中症になるはずがない」と考え、病院を受診せずに体調不良のまま過ごしています。熱中症の一歩手前である「熱あたり」の状態になっている人はさらに多いと推測されます。このような実態から、熱中症は暑さによる体調不良全体の「氷山の一角」と捉えることができます。今回の「全国熱あたり調査」でも、3人に2人が「熱あたり」を経験しているという結果が出ており、この見方を裏付ける結果といえるでしょう。

「熱」 に対する普段からの意識と行動が重要

熱中症は突然発症すると思われがちですが、実際には暑さによって数日かけて徐々に症状が進行するケースも多くあります。暑さによる体調不良の初期症状は軽いため、まるで「茹でガエル」のように、本人が自覚しないまま症状が進行し、気づいたときには既に「熱あたり」や熱中症の状態になってしまうことがあります。このような事態を防ぐために、「熱あたり」や熱中症に対するさまざまな対策があります。できることから取り入れていただきたいですが、特に重要なのは周囲の暑さを常に意識し、「エアコンで部屋を涼しくする」という基本的な行動を心がけることです。

「熱」 という視点からエアコンの上手な使い方をシンプルに伝えていく

外が暑い日に部屋を涼しくできるのはエアコンだけです。しかし、エアコンがあっても様々な理由で「使いたくない」「使うことに抵抗を感じる」という方がいます。このような方々に向けて、「熱」という視点から、エアコンの上手な使い方や体調回復のための使用法をシンプルに伝えていくことも、本プロジェクトの重要な役割の一つです。そしてこれらの取り組みが、最終的には熱中症を減らすことにもつながっていくと考えています。

三宅康史 先生 Profile


1985年東京医科歯科大学(現:東京科学大学医学部)卒業。東京大学医学部附属病院救急部、公立昭和病院脳神経外科・救急科(ICU)・外科研修医~医長、昭和大学病院救命救急センター助手、さいたま赤十字病院救命救急センター長・集中治療部長、昭和大学医学部救急医学准教授、同救命救急センター長、同教授、帝京大学医学部救急医学教授・同附属病院救命救急センター長、同高度救命救急センター長を経て2025年より現職。
編著『現場で使う熱中症ポケットマニュアル』(中外医学社/2019)、編著『医療者のための熱中症対策Q&A』(日本医事新報社/2019)、企画・編集『熱中症 日本を襲う熱波の恐怖(改訂第2版)』(へるす出版/2017)など執筆多数。

専門家に聞きました

生理学、物理学、社会環境学、医療現場など、この取り組みにご協力いただく様々な分野の専門家に、熱をコントロールすることの重要性や暑さと熱の問題にどう適応していくべきか、また、このプロジェクトの意義について、お話を伺いました。

大阪国際大学 名誉教授 井上芳光 先生「人体と熱の関係を理解し汗をかける体づくり」
東京理科大学 創域理工学部 社会基盤工学科 教授 仲吉信人 先生「社会活動持続のためにも暑熱環境への適応」
済生会横浜市東部病院 患者支援センター長 谷口英喜 先生「様々な専門家の統合知で「熱あたり」問題に取り組む」
臨床教育開発推進機構 理事 三宅康史 先生「「熱あたり」への対策意識を高め「熱中症」を減らす」
伯鳳会東京曳舟病院 副院長 三浦邦久 先生「「熱あたり」対策に取り組むことが、生活者も医療機関も救う」

空気の可能性を信じ、追い求め、

新しい価値をくわえて
これまでになかった空気を、世界へ届けます。

空気で答えを出す会社

ページの先頭へ