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空気とくらし

専門家に聞きました

社会活動持続のための
暑熱環境への適応

東京理科大学 創域理工学部 社会基盤工学科 教授
仲吉信人 先生

暑い中でも、暑さと向き合い、
「熱あたり/熱中症」の
リスクを下げながら活動できる
社会の実現が必要

近年、地球温暖化や都市温暖化の影響で暑さの問題が深刻化しています。これにより、暑さ(熱)による健康被害「熱あたり/熱中症」が大きな社会問題と捉えられるようになりました。さらに不要不急の外出抑制や活動自粛が求められる場面も増え、社会活動や経済活動にも影響が広がりつつあります。そしてこの傾向は、今後ますます顕著になっていくでしょう。夏場に警戒アラートが出続けるような未来が想定される中、私たちは暑さ(熱)と向き合い、「熱あたり/熱中症」のリスクを下げながら活動できる社会の実現を目指す必要があります。

気象と生体データを融合した
人体熱収支モデルで
新たな指標づくりへ

現在の「熱中症警戒アラート」は気象条件(WBGT)に基づくものですが、同じ気象条件でも一人ひとりが置かれた状況によって暑さ(熱)のリスクは変わってきます。そこで私の研究室では、気象データ(気温、湿度、風速、短波・長波放射)と個人の生体データ(年齢、性別、体格、服装、活動量)、暑さ回避行動などを融合させて深部体温(臓器の温度)を予測シミュレーションできる人体熱収支モデルを開発し、新しいコンセプトの暑さ(熱)リスク指標の実現に向けた取り組みを進めています。

気候変動に対する「適応」に
人体と「熱」の関係から取り組む
本プロジェクトには
社会的意義がある

気候変動対策は「緩和」と「適応」の両輪が必要です。「緩和」策は、二酸化炭素削減やクリーンエネルギーの活用など、比較的分かりやすく、さまざまな取り組みが活発に進められています。一方、変わりつつある気候に対する「適応」策は、対策とセットで考える必要があり、その目標設定が難しいという課題があります。そんな中、人体と「熱」の関係に着目し、異なる分野の専門家と企業がアイデアを出し合い、「適応」策を協創、発信する本プロジェクトの取り組みは社会的意義があるものと考えています。

仲吉信人 先生 Profile


2007年東京工業大学理工学部土木工学科卒業、2012年東京工業大学 理工学研究科国際開発工学専攻博士課程修了。日本学術振興会 特別研究員、2011年シドニー大学建築学科客員研究員、2012年東京工業大学大学院理工学研究科国際開発工学専攻特任助教、2014年東京理科大学理工学部土木工学科講師、2016年レディング大学 気象学科 客員研究員、2018年東京理科大学理工学部土木工学科准教授、2022年同創域理工学部社会基盤工学科准教授を経て2025年より現職。専門は水工学 (水文気象学、生気象学、環境・生理センサ開発)。独自開発した人体熱収支モデルを使った、個人の属性・状態、および暑さ対策の効果を定量評価できる新たな熱中症リスク評価手法の開発に取り組んでいる。

専門家に聞きました

生理学、物理学、社会環境学、医療現場など、この取り組みにご協力いただく様々な分野の専門家に、熱をコントロールすることの重要性や暑さと熱の問題にどう適応していくべきか、また、このプロジェクトの意義について、お話を伺いました。

大阪国際大学 名誉教授 井上芳光 先生「人体と熱の関係を理解し汗をかける体づくり」
東京理科大学 創域理工学部 社会基盤工学科 教授 仲吉信人 先生「社会活動持続のためにも暑熱環境への適応」
済生会横浜市東部病院 患者支援センター長 谷口英喜 先生「様々な専門家の統合知で「熱あたり」問題に取り組む」
臨床教育開発推進機構 理事 三宅康史 先生「「熱あたり」への対策意識を高め「熱中症」を減らす」
伯鳳会東京曳舟病院 副院長 三浦邦久 先生「「熱あたり」対策に取り組むことが、生活者も医療機関も救う」

空気の可能性を信じ、追い求め、

新しい価値をくわえて
これまでになかった空気を、世界へ届けます。

空気で答えを出す会社

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