最近では、ニュースでも 「地球がまるで沸騰しているようだ」 と言われるほど、 世界中で気温が異常に高くなっています。
2025年の6月は記録的な猛暑と異常な高温が続き 「まだ6月なのに・・・」と思った人が多いのではないでしょうか。
など、異常な気温の高さで、これまでと同じ生活をすることが段々と難しくなっており、
異常気象が新しい日常となりつつあります。
このように、「体温を超える日」 が連続するような環境の中で、私たちの体はじわじわとダメージを受け続けているのです。
この暑さによって、日中の外出や通勤だけでも体力が奪われ、 「すぐに疲れる」 「集中力が続かない」 「夜に眠れない」 「めまいやほてりがある」
といった不調が起こりやすくなっています。
つまり今の夏は、ただ暑いだけでなく、 毎日の生活のなかで知らず知らずのうちに"体にダメージを与える季節”になっているのです。
この体にダメージを与えている犯人は実は 「熱」で、 「熱」 が体の中にたまっていくことで不調(=熱あたり)が起こりやすくなるのです。
熱は私たちにとって身近な存在です。私たちの体は、自分で意識しなくても、体温を一定に保つ働きをしてくれます。
体温を一定にするために、寒いときは体の中で熱を作って体を温めたり、暑い時は汗をかくことで余分な熱を体の外に逃がして体を冷ましたりしています。そのおかげで私たちは健康的に暮らせています。
一方で、最近は熱を逃がすことが難しくなってきました。例えば一日中涼しいところで過ごすことが多い人は汗をかく機能が弱くなってしまったり、また気温が高すぎると汗をかいてもうまく熱が外に逃げてくれません。
余分な熱をうまく体の外に逃がせないと、熱は体の中にたまっていきます。
熱が体の中にたまりすぎると、体調不良になるのです。その不調が「熱あたり」です。
主な症状としては 「めまいがする」 「ねむれない」「筋肉痛」「体や顔がほてる」 など個人差がありますが、いずれの症状も 「仕事・勉強・運動のパフォーマンス低下」などにつながっています。
似た言葉に「熱中症」がありますが、病院で診断されて初めて「熱中症」となります。ただ、よほどひどくない限りは我慢する方が多く、病院に行かれる方はごくわずかなのではないでしょうか。
つまり「熱中症」は、不調が出ている人のうち、病院に行って診断を受けたごく一部に過ぎませんが、実は暑さによる何らかの不調(=熱あたり)を感じている人はもっと多くいます。
いわば「熱中症」は「熱あたり」という大きな氷山の一角に過ぎないのです。
「熱あたり」にならないために、日常生活でどの程度熱が体にたまりやすいか、リスク度を診断してみてください。
夏場の暑さで体調不良を起こしたことはありませんか?
それは、熱が体にたまることで起こる「熱あたり」かもしれません。
このチェックリストを日頃の「熱あたりリスク」の確認にお役立てください。
夏場の暑さで体調不良を起こしたことはありませんか?
それは、熱が体にたまることで起こる「熱あたり」かもしれません。
このチェックリストを日頃の「熱あたりリスク」の確認にお役立てください。
日頃から暑さや熱を意識した生活を送っているようです。
引き続き、「熱」との上手な付き合いを続けましょう。
気づかないうちに熱あたりしているかもしれません。
「この程度の暑さなら大丈夫」と我慢したり油断したりせず、
過剰に「熱」が体にたまることを避ける暮らしを心がけましょう。
日頃から熱あたりしやすい暮らしをしています。
屋外でも室内でも、常に「熱」に囲まれて暮らしていることを
イメージしながら、暑さ対策を見直してみましょう。
熱あたりリスクが分かったところで、熱を体にためない方法と、体にたまった熱を外に逃がす方法を伝授します。
特にチェックリストで1、3、4、8、10をつけた人は要注意。
この項目だけでも熱あたりのリスクが高い要素です。
熱あたり対策をして暑い夏を乗り切りましょう!
社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部
神奈川県済生会横浜市東部病院 患者支援センター長 栄養部担当部長 医師支援室室長 医学博士
麻酔科専門医
谷口 英喜(たにぐち・ひでき)先生
熱は温度の高いところから低いところへ移動する性質があります。
夏、気温が「体温を超える日」には、外から熱が体に入りやすい状況が生まれます。
そのため、熱を体にためないことと、体にたまった熱は外に逃がすことが大事です。
日光からの直接の熱を避け、体の中に熱をためないために、日傘や帽子を活用してください。
日傘は、内側の色を黒色にすると、傘に太陽からの熱を吸収してもらえるため、おすすめです。
首筋やわきの下のの太い血管を冷やすことで、体にたまった熱を外に逃がし、体温を下げる効果が期待できます。
氷や氷嚢(ひょうのう)、市販のネッククーラーなどを活用し、冷やしてください。
市販のハンディファンを活用することで、汗を蒸発させ、体の中にたまった熱を外に逃がす効果が期待できます。
ただし、35℃を超えるような気温の高い中では、ファンからの熱風を受ける場合もあるため、30℃前後の場合に使用してください。
体の中に熱をためないために、汗を吸収しやすく、速乾性のある素材で、通気性のあるゆったりめの衣類を選びましょう。
また、熱を吸収しやすい黒系統の色はできるだけ避けてください。
体にたまった熱を外に逃がすためには汗をかくことが大事です。
しかし、汗と一緒に、体の中の水分や塩分が流れ出てしまうため、水・塩分補給も必要です。
水・塩分補給は当然と思われるかもしれませんが、実はポイントがあります。
水の飲み方には注意が必要です。
一気に水を飲むのではなく、こまめに飲んでください。
一気に水を飲んでしまうと、体が満たされたと思って勘違いをすることにより、逆に体から水分が出てしまいます。
屋外など暑いところに出ていく場合には、目安として20~30分に1回、100ml程度の水を補給してください。
室内で過ごす場合には、時間を決め、1日に180ml/コップ1杯✕8回を目安に水の補給をしてください。
水の摂取時間の目安は、起床時、朝食時、10時頃、昼食時、15時頃、夕食時、入浴前後、就寝時です。
もしお子さんがいる場合は、大人が声をかけるのはもちろん、子供が自分から自由に水が飲める環境を作ることが大事です。
塩分は通常食事からとれていますが、大量の汗をかいたときには、意識して塩分を補給することが必要です。
塩分だけでは吸収されにくいため、水と一緒にとるようにしてください。
夏は特に、水と塩分を両方とれる「味噌汁」を朝食や夕食で飲むのが効果的です。
細かい氷と液体が混ざった、完全に凍っていない飲料のことで、飲むことで体を効率よく冷やすことができます。
特に、運動前や炎天下での活動前に飲むことで、体にたまった熱を外に逃がし、熱あたりのリスクを軽減することが期待できます。
夏は、体の中にたまった熱を外に逃がしやすくするために食材や食べ物を工夫しましょう!
特に旬の野菜やフルーツは、体の中にたまった熱を外に逃がす作用があるため、積極的に取り入れてみてください。
海藻類、ホウレンソウ・キュウリなどの野菜、バナナやスイカなど。
豚肉、大豆、モロヘイヤ、玄米、きのこ類など。
赤/黄ピーマン、キウイフルーツ、アセロラ、ジャガイモなど。
うめぼし、レモン、ゆず、酢など。
肉、魚、卵、納豆、豆腐など。
体にたまった熱を外に逃がすためには、睡眠時はエアコンをつけっぱなしにし、ぐっすり眠ることが大事です。
ダイキンの調査によると、睡眠時に、切タイマーをセットして夜中にエアコンが切れるようにする人は全体の40%以上いるようです。近年の暑さが厳しい夏の夜は、エアコンはつけっぱなしで寝てください。
もしエアコンをつけっぱなしで寝て、寒いと感じる場合は、衣類や寝具で調整しましょう。
また、就寝中は自覚がなくても必ず汗をかいています。
そのため寝る前にはぜひコップ1杯を目安に水を飲んでください。
エアコンは部屋の暖かい空気を吸いこんで、冷たい空気にして吐き出すことで、部屋を涼しくしています。
エアコンが部屋のなかの熱を効率よく運び出すためには、室内機の熱交換器に、よりたくさんの空気が通る必要があります。そのため、「空気の通り道」をふさがないことが電気代の節約につながります。
エアコン内部のフィルターが目詰まりすると、吸いこむ空気の量が少なくなり、部屋を冷やす力が小さくなるため、部屋を冷やすのに多くの電気が必要になり電気代がかかってしまいます。
フィルターの掃除はこまめに、2週間に1度は掃除するように心がけましょう。
フィルターのゴミやほこりは、水洗いをするか掃除機で吸いとります。汚れがひどいときには、中性洗剤をとかしたぬるま湯で洗い、その後、日陰でよく乾かしましょう。
体を暑さに慣れさせるには、汗をかき、体にたまった熱を外に逃がせる体づくりが大切です。
最近は春が短くなっており、急に暑くなります。
そうすると体は突然の暑さに慣れていないため、日頃から汗をかいていない人は適応できず、熱あたりになる可能性が高くなります。
本格的な暑さが始まる前から暑さ慣れの対策をしましょう。
数日~2週間ほど続けることで効果が出てきます。
熱中症という語は、ドイツ語の Hitzschlag(英語では heatstroke または heat stroke)を森鴎外が訳した語といわれ、明治20~30年代から使われるようになった、と言われています。この語は熱があたってかかる発作性の疾患(ねつあたり)という意味で、熱中症の「中」は「あたる」を意味します。
空気の可能性を信じ、追い求め、
新しい価値をくわえて
これまでになかった空気を、世界へ届けます。