エアコンを「一晩中つけっぱなし」や「タイマー使用」をしても、暑さで寝つけなかったり、また暑くて夜中に途中で起きてしまう」など、なかなかぐっすり眠れない方も多いのではないでしょうか?
熱帯夜になると、外気温だけでなく室内も高温となるケースがあることから、熱中症を発症する可能性も高くなるといわれており、また暑さで寝苦しく目が覚めてしまい、ぐっすり眠れず体調を崩す一因となります。
熱帯夜を快適に過ごすには、快適な室温の温度と湿度が重要です。
設定温度は28度以上に設定し、除湿運転で湿度(しつど)設定を50~60%に下げましょう。湿度(しつど)を下げることにより、体温を冷やしすぎずに体感温度だけが下がり、入眠直後の汗をしっかり乾かすことができるため、眠りやすい環境になります。
就寝直後は汗の量が多くなるので、タイマー運転で部屋を冷やすことで、湿度(しつど)もコントロールされ、汗を乾かすことができ、入眠直後に眠りやすい環境になります。
このとき「切タイマー」を3時間に設定すると、入眠直後の深い睡眠が温度変化で阻害されることなく2周期※確保できるために、前半の深いノンレム睡眠が安定的に取れます。
(後述:久保先生コメント)
良い眠りだったと感じるかどうかは、朝、起きたときの快適感にも影響を受けます。
起床直後は、就寝中にかいた汗で体がべたついて、不快に感じる場合は、起床時間にあわせて、エアコンの「入りタイマー」をセットしておくとよいでしょう。
夏場の夜の睡眠に関して、エアコンを使用しても『暑くてなかなか寝つけないことがある』か聞いたところ、「ある(17.1%)」、「時々ある(45.9%)」となり、暑くて寝苦しいと実感している人が6割以上にものぼる結果となりました。
さらに『暑くて夜中に起きてしまうことがある』という人が「ある(14.2%)」、「時々ある(47.0%)」、という結果で、寝苦しさから6割近くの人が途中で起きてしまう経験をしていることもわかりました。
夏の夜の寝室では寝つけない人や、途中で起きてしまう人が多数存在し、快眠できていない実態が明らかになりました。エアコンを使用しても暑さを感じて快眠につながっていないという現状から、よりよいエアコンの使い方ができていない可能性が考えられます。
暑くてなかなか寝つけない(%)
暑くて夜中に起きてしまう(%)
夏場に寝るときにどのようにエアコンを使っているか聞いたところ、「一晩中つけっぱなし派(23.5%)」、「タイマー(切り/入り)派(53.1%)」となり、夏の寝室では「タイマー派」が主流であることがわかりました。
更にそれぞれのエアコンの使い方で『暑くてなかなか寝つけない』経験をした人がどれぐらいいるかを検証したところ、どのエアコンの使い方でも過半数以上の人が「暑くて寝苦しい」経験をしているという実態が確認できました。
主流なのはタイマー派ですが、タイマー派の人も寝苦しさを経験している結果がでており、タイマー使用が快眠には結びついていないということもわかりました。夏の夜の心地よい睡眠のために、自分にあったよりよいエアコンの使い方とはどんな使い方なのか一度考えてみてはいかがでしょうか。
エアコンの使い方(%)
暑くてなかなか寝つけない(%)
暑くて夜中に起きてしまう(%)
国立大学法人奈良女子大学
学長補佐(改革推進担当)
研究員 生活環境科学系
久保 博子 教授
深く快適な睡眠を取るためには、入眠直後に深い眠りに入ることが重要です。入眠直後は、深いノンレム睡眠が比較的長く持続して現れ、明け方にかけて、浅いノンレム睡眠やレム睡眠が多く見られます。睡眠は最初が肝心です。最初の深い眠りが持続せず浅くなると、後半に深い眠りで補おうとします。この深い睡眠が分断されてしまう状況で目が覚めてしまうのです。睡眠中特に、入眠時に体温が大きく速やか下降すると寝つきがよいといわれています。
では、どのような環境であれば入眠直後に深い睡眠に入れるのでしょうか。 人は入眠時に体温を下げるために、手足を熱くして熱を発散したり、汗をかいてその気化熱で熱を放出しようとします。そのため寝ている間で最も発汗量が多いのが入眠直後です。しかし、梅雨時から夏場にかけて、湿度(しつど)は非常に高くなり、室内でも時には80%ぐらいになることもあります。こうなると、汗がなかなか乾かず、不快感とともに体温調整も上手くいかず寝つきが悪くなるということにつながります。汗がべたべたと不快でないようにするには、湿度(しつど)を50%程度より低くするのがよいでしょう。
一方、室温は低すぎると血管が収縮して放熱出来ず逆によく眠れないため、夏の薄い半袖半ズボンなどの寝衣とタオルケット程度の少ない寝具では26℃~28℃ぐらいの温度が快眠につながります。しかし、今回の調査で最も多く設定されていた28℃ぐらいですと、湿度が高いと快適な睡眠を損なう恐れがありますので、室温だけでなく湿度(しつど)をコントロールすることも、夏場の快眠のための重要なポイントの一つとして意識して下さい。
「エアコンを使って寝た次の日は、なんだか体がだるい、体調が良くない」という声を耳にしたことはありませんか。今回の調査でも、「エアコンを使用したことで翌日体調が悪くなったり体のだるさを経験したことがありますか」という質問に「ある」と回答した人が半数いました。
体調が悪くなったり、体のだるさを感じるのは、体が冷えたからだと考えられます。エアコンにより室温が低下しすぎたり、冷たい吹き出し風が寝具で覆われていない、薄着で露出した体にあたったりし、体全体や、体の一部が冷えてしまったのです。これを防ぐためにも、室温を低くしすぎず、湿度(しつど)コントロールも上手に取りいれることは重要なポイントの一つです。
体調がわるくなったりだるくなったことがある(%)
エアコンの使い方による睡眠中の室温変化とその人体への生理的、心理的な影響について実験を行いました。
条件3の「切りタイマー」を3時間に設定にした場合は、深い睡眠が2周期(※)確保できるため、前半の深いノンレム睡眠が安定的に取れることがわかりました。条件2の「切りタイマー」を1.5時間に設定した場合では、深い眠りに入った最中に暑さで目が覚めてしまうことが多くなっています。
出展:奈良女子大学2004年7月26日~10月10日実施実験
2005年 日本睡眠学会発表
20~23歳までの健康な若い女性7人。各被験者は、それぞれの条件ごとに7時間睡眠をとり、脳波、皮膚温、心拍数、体動などを連続測定。
実験に参加した人の"選択温度"を終夜一定に保つ。
選択温度とは、個々の被験者が昼間の実験で最も快適な気温として選択した温度。
選択温度から2度低い室温で、1時間半一定に保った後、1時間かけて4度上昇させ、その後は一定に保った。
選択温度から2度低い室温で3時間一定に保った後、1時間かけて4度上昇させ、その後は一定に保った。
選択温度から始め、就寝後1時間で室温を2度下降させ、その後6時間かけて3度上昇させた。
空気の可能性を信じ、追い求め、
新しい価値をくわえて
これまでになかった空気を、世界へ届けます。