※2024年6月7日に内容を一部修正しています
ダイキンが全国527名の20歳~59歳までの男女を対象に「エアコンの節電に関する実態調査」を実施したところ、約6割(59.2%)の人が夏のエアコンの節電方法について何らかの誤解をしていることが判明しました。
逆効果になりかねない節電方法が効果的なものとして選択された割合
順位
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誤解のある節電方法ランキング | |
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1
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風量はできるだけ「弱」で使う | 26.5% |
2
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室外機全体をカバー等で覆い、直射日光が当たらないようにする | 22.9% |
3
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少しの時間でも使わないときは、こまめにスイッチを切る | 19.0% |
4
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風向は下向きに設定し、人が生活する床上付近を集中的に冷やす | 12.2% |
n=510
ダイキン「エアコンの節電に関する実態調査」(2023)より
エアコン冷房は、室内の暖かい空気中の「熱」を室内機で集め、「冷媒」というガスに乗せて室外機まで運び、屋外に追い出すことで部屋を涼しくしています。室内機と室外機の間で冷媒を循環させるために必要なのが、エアコンの心臓ともいわれる「圧縮機」です。圧縮機はエアコンの消費電力の約8割を占めており、エアコンの節電には、圧縮機にかかる負荷を抑える工夫が大切です。こうしたエアコンの仕組みが分かっていれば効果的な節電方法を意識しやすいかもしれませんが、多くの人がエアコンの仕組みを知っている訳ではありません。そのため、逆効果になりかねない運転をしてしまう人も多いようです。そこで、一般的に勘違いされやすいエアコン冷房に関する4つの「勘違い節電術」について調査隊が検証しました。
エアコン冷房の風量設定「弱」と「自動」それぞれで、日中11時間(8:00~19:00)つけっぱなしにして消費電力量を計測し、1ヵ月あたりの電気料金の違いを実験してみました。
エアコン冷房の風量「弱」と風量「自動」の消費電力量を比較した結果、風量「弱」が3.85kWh、「自動」が2.79kWhとなり、風量「自動」の方が消費電力量が約3割少ないという結果になりました。1か月換算では、風量「自動」は「弱」と比べて電気代が約990円の差になります。
吹出口からの気流が弱い風量「弱」の方が節電につながりそうに思えますが、今回の実験では、風量「自動」の方が節電につながる結果となりました。
エアコンの風量設定
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消費電力量
(8:00~19:00) |
1日の電気代
(8:00~19:00) |
電気代1カ月換算
(30日分) |
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風量:弱 |
3.85kWh
|
約119円
|
約3,570円
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風量:自動 |
2.79kWh
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約86円
|
約2,580円
|
電気代は31円/kWhにて算出
このような結果になる理由は、風量「弱」にすると、室内機の中にある冷たくなった熱交換器を通過する空気の量が減り、部屋の中を涼しくするのに時間がかかるからです。そのため、風量「自動」に比べて風量「弱」の方が、圧縮機※の運転にかかる負荷が増加し、より多くの電気を使ってしまうことになります。
運転
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冷房運転 | |
---|---|---|
設定
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2023年7月24日 | 設定温度:26℃ 風量:弱(風量しずか) |
2023年7月27日 | 設定温度:27℃ 風量:自動 |
エアコン冷房の風向設定「ななめ下」と「水平」それぞれで、日中11時間(8:00~19:00)つけっぱなしにして消費電力量を計測し、1ヵ月あたりの電気料金の違いを実験してみました。
エアコン冷房の風向「ななめ下」と「水平」の消費電力量を比較した結果、「ななめ下」が3.76kWh、「水平」が2.77kWhとなり、風向「水平」の方が消費電力量が約3割少ないという結果になりました。1か月換算では風向「水平」は「ななめ下」と比べて電気代が約930円の差になります。
人がいる場所に冷たい風を直接送る「ななめ下」の方が節電につながりそうに思えますが、今回の実験では、風向「水平」の方が節電につながる結果となりました。
エアコンの風向設定
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消費電力量
(8:00~19:00) |
1日の電気代
(8:00~19:00) |
電気代1カ月換算
(30日分) |
---|---|---|---|
風向:ななめ下 |
3.76kWh
|
約117円
|
約3,510円
|
風向:水平 |
2.77kWh
|
約86円
|
約2,580円
|
電気代は31円/kWhにて算出
このような結果になる理由は、冷たい空気は重く、床付近にたまる性質があるからです。風向を「ななめ下」にすると床付近に冷たい空気がたまる一方で、天井付近には暖気がたまります。一般的なエアコンは、高い位置にある室内機内部の温度センサーで室温を判断します。天井に暖気がたまっていると、床付近が十分涼しくなっていても、エアコンはさらに部屋を涼しくしようと必要以上に運転してしまいます。風向を「水平」にすると、冷たい風が天井付近から床方向に自然に下りていくので、余計な電力消費を抑えながら、部屋全体を涼しくすることができます。
運転
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冷房運転 | |
---|---|---|
設定
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2023年8月6日 | 設定温度:26℃ 風向:ななめ下 |
2023年8月2日 | 設定温度:27℃ 風向:水平 |
エアコン冷房を使っていても暑く感じることがある真夏の日中(13時~15時)、設定温度を1℃下げるのと、風量設定を「強」にするのとでは、どちらが節電になるのか、消費電力量を計測し、電気料金の違いを実験してみました。
エアコンの冷房を使っていても暑さを感じる時、設定温度を下げるのが一般的ではないでしょうか。実は、風量を「強」にすることでも涼しさを感じることができます。設定温度を1℃下げた場合と風量を「強」にした場合の消費電力量を比較した結果、設定温度を「1℃下げる」と1.13kWh、風量「強」にすると0.52kWhとなり、風量「強」は、設定温度を「1℃下げる」場合と比べて消費電力量が約半分になりました。
エアコンの温度・風量設定
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消費電力量
(13:00~15:00) |
電気代
(13:00~15:00) |
---|---|---|
設定温度:-1℃ |
1.13kWh
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約35円
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風量:強 |
0.52kWh
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約16円
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電気代は31円/kWhにて算出
このような結果になる理由は、設定温度を下げたとき、エアコンは室内の空気中からより多くの熱を集めるため、圧縮機の運転を強めるからです。一方で、風量を「強」にすると室内機のファンの音が大きくなり、電気をたくさん使っているように感じますが、ファンが使う電力は、圧縮機が消費する電力と比べるとわずかです。人の体感温度は、室温だけでなく、湿度や気流によっても変化します。室温を下げる代わりに風量を強くすることで体感温度が下がり、涼しく感じられます。
運転
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冷房運転 | |
---|---|---|
設定
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2023年8月21日 | 設定温度:26℃→25℃(13:00~15:00) |
2023年7月30日 | 設定温度:28℃ 風量:自動→強(13:00~15:00) |
エアコンの室外機に濡れタオルを被せると節電になるかどうかを検証しました。室外機の上の濡れタオル「あり」と「なし」それぞれで、日中11時間(8:00~19:00)つけっぱなしにして消費電力量を計測し、1ヵ月あたりの電気料金の違いを実験してみました。
室外機の上の濡れタオル「あり」と「なし」で比べたところ、消費電力量は濡れタオルを被せた「あり」の場合は3.87kWh、「なし」が2.77kWhとなり、今回の濡れタオルの被せ方の場合、濡れタオルが無い方が消費電力量は約3割少ない結果になりました。1か月換算では、電気代が約1,020円の差になります。
室外機 濡れタオル有無
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消費電力量
(8:00~19:00) |
1日の電気代
(8:00~19:00) |
電気代1カ月換算
(30日分) |
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濡れタオル:あり |
3.87kWh
|
約120円
|
約3,600円
|
濡れタオル:なし |
2.77kWh
|
約86円
|
約2,580円
|
電気代は31円/kWhにて算出
このような結果になる理由は、濡れタオルが室外機側面の吸込口や吹出口の一部に垂れ下がり、空気の通り道をふさいでしまったためと考えられます。エアコンは、室外機の吸込口や吹出口の空気の流れを妨げられると運転効率が落ち、その分余計に電力を使ってしまいます。室外機の上に置いたタオルが乾いて室外機側面に大きく垂れ下がると、吸込口や吹出口のより多くの範囲をふさいでしまい、さらに効率が低下してしまうので注意が必要です。また、室外機に物を載せると、落下の危険や、重さによっては室外機の変形や故障などにつながる場合もあります。
エアコンは、室外機周辺の空気の温度や、室外機の側面や背面にある熱交換器の温度が下がれば、効率的な運転につながります。そのため、室外機に日陰を作ったり、室外機周辺に打ち水をしたりすると節電効果が期待できます。
運転
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冷房運転 | |
---|---|---|
設定
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2023年8月8日 | 設定温度:26℃ 濡れタオル:あり(風通路妨害) |
2023年8月2日 | 設定温度:27℃ 濡れタオル:なし |
普段、私たちが節電のつもりでしていることの中には、実は逆効果になりかねない「勘違い節電術」が存在します。4つの検証結果を参考に、電気代の節約に上手に取り組みながら、安全・安心・快適な夏をお過ごしください。
検証内容
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結果
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勘違い節電術 | 検証1 | 風量 |
弱
|
vs
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自動 | 「自動」が節電 |
検証2 | 風向 |
ななめ下
|
vs
|
水平 | 「水平」が節電 | |
検証3 | 温度/風量 |
-1℃下げる
|
vs
|
風量強 | 「風量強」が節電 | |
検証4 | 室外機に濡れタオル |
あり
|
vs
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なし | 濡れタオルが風通しを妨げると 消費電力量増加の可能性 |
調査場所 | 神奈川県横浜市 |
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建物構造 | 鉄筋コンクリート造(6階建て) ※調査は2階の実生活空間・環境にて実施 |
築年数 | 18年 |
測定場所 | LD約20畳 |
エアコン機種 | ダイキン うるさら7 AN40VRP-W |
エアコンの冷やす(暖める)しくみを知ると、勘違いすることなく、上手にエアコンを使うことができます。ダイキンでは、エアコンのしくみや上手な節電方法を解説したWEBコンテンツを公開しています。エアコンの効果的な節電にお役立てください。
空気の可能性を信じ、追い求め、
新しい価値をくわえて
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