ダイキン工業株式会社

 
DAIKIN RECRUITING WEB

グローバルな連携で取り組む、カーボンニュートラルへの挑戦

ダイキンはカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)への挑戦を続けています。カーボンニュートラル実現のために必要なのは、空調業界における冷房の省エネ性能だけではありません。暖房・給湯の領域において、化石燃料を使わない「ヒートポンプ化」を推進していくことも重要です。ダイキンのヒートポンプ暖房・給湯事業では、CO2を直接発生させる燃焼式の暖房や給湯をヒートポンプ化することで、「脱炭素化」を目指しています。日本とベルギーのグローバルな連携で社会課題の解決に取り組む4人のメンバーに、同プロジェクトへの想いを伺いました。

テクノロジー・イノベーションセンター グループリーダー/主任技師
世界市場における暖房・給湯の技術戦略立案と技術開発を指揮。
M.KAGAWA
テクノロジー・イノベーションセンター
主にヒートポンプ式暖房の要素技術開発に携わり、ファンなどの効率向上の技術を研究開発。
S.CHIN
ダイキンヨーロッパ社 欧州開発センター 出向
ベルギーにあるダイキンヨーロッパ社で、ヒートポンプ暖房給湯商品の先行開発を推進。
K.NISHIDA
テクノロジー・イノベーションセンター
2019年まで在ベルギーの外部団体である在欧日系ビジネス協議会へ駐在。欧州のロビー活動に従事。帰国後も本プロジェクトのブリッジ役を担う。
K.UEGAKI

カーボンニュートラルで重要な「ヒートポンプ化」とは

──まずは、このプロジェクトで取り組んでいる「ヒートポンプ化」について教えていただけますか?

K.NISHIDA
カーボンニュートラルの実現には、ヒートポンプ式の暖房・給湯を普及させることが有効な手段だと考えられています。ヒートポンプ式は、CO2の排出量を抑えられるという特徴があります。世界の暖房市場の3割をヒートポンプ式に置き換えれば、地球上のCO2排出量の約4%近くを減らせるという試算データがあるほどです。これまではCO2排出量が多い化石燃料を使用した燃焼式暖房(燃焼ボイラー)が主流でした。しかし昨今の環境意識の高まりにより、ヒートポンプ式暖房に注目が集まっています。実際、欧州を中心にヒートポンプ化が急速に進んでいます。
K.UEGAKI
欧州の一部地域では、新築の住宅に燃焼ボイラーを設置することが禁止されるなど、ヒートポンプ式暖房がより多くの場所に導入されるようになりました。ヒートポンプの導入に補助金を設ける国も増えています。ガソリン車の代わりに電気自動車(EV)や水素自動車が普及していくように、ヒートポンプ化の導入が急加速しているように感じます。
S.CHIN
そうですね、ダイキンはこれまでの空調事業で培った知見を活かしながら、ヒートポンプの新たな技術開発に取り組んでいます。
M.KAGAWA
弊社は2050年に向けて温室効果ガス排出実質ゼロを目指す「環境ビジョン2050」を策定しました。その中でヒートポンプ式暖房・給湯機をはじめとした「カーボンニュートラルへの挑戦」は重要な戦略として位置付けられています。環境問題への取り組みと事業継続の両軸を視野に入れながら、安心で健康な空気空間を提供していくことがミッションです。ヒートポンプ式暖房・給湯機を、2006年頃から欧州市場に展開してきましたが、近年さらに力を入れて新たな技術開発を進めているところです。

技術開発における日本と欧州の大きな違い

──海外市場で技術開発を進めるなかで、日本との違いをどんなところで感じますか?

S.CHIN
日本と欧州を比較すると、コスト(費用対効果)に対する考え方が大きく異なると感じています。「コストが高くても良いものを買う」などの価値観があるので、日本の価値観に囚われず、柔軟に考えるようにしています。
K.UEGAKI
近年では「騒音=健康被害」という意識が欧州で高まっていたりします。規制をクリアすることは当然ながら、社会的なニーズに対してどれだけ高いレベルの製品を提供できるのかが重要です。
K.NISHIDA
欧州は気候でも日本と大きく異なり、ドイツなど主要国でも冬の外気温度が−15度以下の地域が存在します。ヒートポンプは一般的に、騒音と性能、そして外気温と性能がトレードオフの関係にあり、こういった厳しい条件に対応することは非常に難しい課題でした。しかし、改良を積み重ねて2019年に極寒冷地域でも対応できるヒートポンプ式暖房機(ダイキンアルテルマ 3 H HT)の開発に成功しました。欧州のみならず北米市場でもこの技術を活用できるので、ダイキンの技術は世界に展開するポテンシャルがあると感じています。
K.UEGAKI
欧州と欧州以外の地域を比較した時に、欧州は圧倒的に環境に対する規制が進んでいると思います。ダイキンも環境技術に関する「ルールづくり」に取り組んでおり、EUや各加盟国政府へ、ヒートポンプ式暖房の重要性を地道に伝えてきました。
M.KAGAWA
現在のダイキンは、欧州のヒートポンプ式暖房の市場を牽引する立場にありますが、環境問題を解決するために様々な研究機関や大学との共同研究・開発をさらに推進していくことが必要だと感じています。

ダイキンが大切にしているグローバルな連携

──このプロジェクトでは、日本と欧州をつないでグローバルな技術開発を進めていますが、日々の業務ではどのように連携しているのでしょうか?

K.NISHIDA
私はベルギーにあるダイキンヨーロッパ社に出向しているのですが、日常的なやり取りについては、日本とオンラインで繋いでミーティングをすることも多いです。商品を実際に見てもらう時にはお互いに行き来することもあり、効率と効果のバランスを見ながら、オンラインとオフラインをうまく組み合わせるような働き方を取り入れています。今までは、日本のテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)と海外メンバーのやりとりを私のような日本人出向者が仲介する場面が多かったですが、TICと海外メンバーを直接繋ぎ、さらにスムーズな連携を可能とする取り組みも進めています。
M.KAGAWA
グローバルな連携は、商品開発においてかなり重要になってきます。現地で暮らしている人々がどのように考えているのか、海外メンバーの声を大切にしながら開発を進めることが大切です。例えば、欧州では景観の規制が日本よりも進んでおり、製品の高さをバルコニーから見えないようにするなど、景観に影響を与えない製品デザインが求められます。地域独自の考え方は日本にいると分からないので、日々のコミュニケーションの中で情報収集することを意識しています。
S.CHIN
デザインや機能で優れた製品は、北米など他の地域でも使いたいと言われることが多く、グローバルな視点で横展開できるのはダイキンの強みだと感じています。多くの人に愛される製品を生み出すためには、一つのパーツだけではなく全体を見ていくことが重要になってきます。例えば、送風の量が足りないときに、全体のパーツをもう一度見直して擦り合わせしていくようなことが必要です。部品同士の組み合わせを考慮しながら、全てのパーツの技術を高めていくことを意識しています。

──このプロジェクトにおける仕事の醍醐味は、どんなところに感じていますか?

K.NISHIDA
技術者として社会問題の解決にチャレンジできることにやりがいを感じます。お客さまから喜びの声をいただくこともあるので、日々の仕事のモチベーションにつながりますね。2030年にはヒートポンプ式暖房機の販売台数が約6倍に増えるという試算もあり、事業的に見ても大きなチャンスだと捉えています。その中でスピーディーに技術開発して商品化していくことに注力していきたいと考えています。
S.CHIN
TICにおける開発の魅力は「常に新しい技術課題にチャレンジし続けられる」ことだと思います。一つの課題を解決することで新たなチャレンジが始まるので、大変な時もありますが目標を達成していくことにやりがいを感じます。例えば、送風の技術についていえば、効率や静音性能以外にも風に当たったときの感覚や湿度影響など、色々な要素が考えられます。より良い製品を作るため、既成概念にとらわれず自由に考えられる開発環境がダイキンにはあります。
K.UEGAKI
たしかに日本人と海外メンバーでは、価値観や環境の違いから議論が食い違う部分もあります。でも議論を尽くして、最大公約数を見つけていくというプロセスにこそやりがいを感じます。いいものを作りたいという思いはダイキン全員一緒だと思うので。駐在時代には、欧州委員会に提出する、欧州の省エネ規制に対する意見書を取りまとめました。日本人・外国人を含むメンバーだけではなく、他社を含めた意見集約はとても大変でしたが、最終的には全員が納得できるものを完成することができ、とても嬉しかったですね。
M.KAGAWA
私個人としては、ものづくりが好きでダイキンに入ったので、自分が携わったプロジェクトで生み出した製品が世の中で使われているのを目の当たりにすると「また次も頑張ろう」と充実感に満たされます。このプロジェクトでも、ベルギーに長期出張して毎日ディスカッションを重ね、新たな商品コンセプトを立案しました。それが形になった時には、きっと大きなやりがいを感じられると思います。チームで想いを結集させて一つの製品をつくり上げ、社会に貢献できることは、他の何事にもかえがたい喜びです。

「ヒートポンプ化」は世界をどのように変えていくのか

──最後に、プロジェクトの今後の構想についてお聞かせください。

S.CHIN
ヒートポンプの技術的な発展について考えると、省エネをさらに推進していくために、電力以外の太陽熱、地中熱など様々な熱エネルギーを活用していくこともできると思います。ヒートポンプの技術と連携させながら、家庭ごとのエコシステムを作っていくことが理想だと考えています。また、優れた技術は世界の至るところに眠っているので、様々な専門家や研究者と連携しながら技術開発を進めていきたいですね。
K.NISHIDA
ヒートポンプ式暖房の市場が大きく成長している中で、最適な製品を早期にリリースできるかどうかが問われています。よりスピードアップすることを意識しながら、日本の技術を海外メンバーに伝えてグローバルで技術力を底上げしていく動きも進めています。それとは逆に、現地でしか分からないことを日本にフィードバックして新たな要素技術を開発していくことがダイキンの将来に向けて非常に重要と考えており、今まで以上に密接なコミュニケーションを心がけたいと思います。
M.KAGAWA
欧州市場においては、ヒートポンプ暖房・給湯市場は今後大きく伸びていく市場ですが、「ヒートポンプ暖房・給湯ならダイキン」と言われるくらいの信頼を勝ち取っていきたいと考えています。ヒートポンプの技術を世の中に広めていくことによって、CO2排出量削減にもつながっていきます。事業成長と社会貢献を両立できるこのプロジェクトを推進することで、今後さらに大きなやりがいを感じられると思います。
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