ニュースリリース
「熱帯夜の睡眠時の熱中症対策とエアコン使用に関する意識調査」を実施
熱帯夜の睡眠時のエアコンは「つけっぱなし運転派」と「切タイマー運転派」が主流でほぼ同数
救急医の三宅康史先生が「体の不調への気付き」「体を回復させる睡眠の質」「湿度管理」の重要性を指摘
日本国内では多くの地域で猛暑日や熱帯夜が増加傾向にあり、熱中症リスクはより一層高まっています。熱中症予防への注意喚起の重要性が増す中、ダイキン工業株式会社は、本格的な暑さの到来を前に全国の20代~60代の男女530名を対象に「熱帯夜の睡眠時の熱中症対策とエアコン使用に関する意識調査」を実施しました。
今回の調査では、熱帯夜の睡眠時や起床時に体の不調を感じたことがある人が約7割となり、過去に軽度なものも含めた熱中症を発症した可能性がある人が多いことがうかがえる結果となりました。一方で、調査対象者のうち3人に1人は睡眠時に「熱中症の危険を感じたことがない」などの理由から、熱帯夜の熱中症対策に積極的に取り組んでいないことも明らかとなりました。また、熱帯夜の暑さに悩まされている人は多く、4人に3人が熱帯夜に「暑くて目が覚める」などの悩みを持っていると回答しました。
こうした熱帯夜の睡眠時におけるエアコン使用率を調査すると約8割にのぼり、多くの人が熱中症対策を意識せずとも、熱帯夜の暑さの悩みを和らげる目的でエアコンを使っている様子がうかがえます。そこで、熱中症対策への意識の違いとエアコンの使い方についても分析しました。その結果、熱帯夜に熱中症対策に取り組んでいる人ほどエアコンを使用しており、特に積極的に取り組んでいる人は比較的エアコンを「つけっぱなし」にする傾向があることも明らかとなりました。
熱中症対策において、エアコンの適切な使用は大切です。本資料では、当社が実施した調査結果や、救急医療の専門医として熱中症患者の治療にも携わる、帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長・三宅康史先生のコメントに加え、「熱帯夜にも役立つ上手なエアコンの使い方のヒント」をご紹介します。
調査名 | 熱帯夜の睡眠時の熱中症対策とエアコン使用に関する意識調査 |
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調査期間 | 2024年6月6日(木)~6月8日(土) |
調査対象 | 全国の20代~60代の男女530名 |
調査方法 | スマートフォンリサーチ |
熱中症には様々な初期症状があります。三宅先生(帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長)は、「熱帯夜、体調に違和感なく入眠したにもかかわらず睡眠時や起床時に体の不調を感じた場合、軽い熱中症の可能性も疑ってみてほしい」と話します。
今回、熱中症の初期に見られる症状を9つ挙げ、熱帯夜の睡眠時や起床時にこれらの症状を感じたことがあるかを質問すると、半数近くが「倦怠感」(45.7%)を感じており、「異常な発汗」(18.3%)や「体温の上昇」(16.8%)、「頭痛」(15.5%)や「立ち眩み」(9.2%)など、全体のうち約7割(69.2%)の人が何らかの不調を感じたことがあるという結果となりました。
三宅先生は「特に倦怠感は、熱中症の初期症状以外でも様々な要因で感じることがある」としながらも、夏期には熱中症の初期症状として最も多いのも事実と話します。この結果からは、熱帯夜の影響で多くの人が軽度なものを含め熱中症を発症していた可能性があることがうかがえます。
熱帯夜の影響で多くの人が軽度なものを含めた熱中症を発症していた可能性があることを受けて、熱帯夜に熱中症対策を行っているかどうかを確認すると、今回の調査では約3人に1人(33.7%)が「対策をしていない」と回答しました。
熱帯夜に熱中症対策をしていない人に理由を尋ねたところ、「危険を感じたことがないから」(43.0%)が最も多く、続いて「睡眠時の熱中症対策が具体的にわからないから」(26.8%)、「夜間や睡眠中に熱中症になるリスクがあることを知らなかったから」(16.8%)という結果となりました。
三宅先生は、「住まいの風通しの良さなど、熱帯夜を過ごす環境は人それぞれだが、熱中症の危険性をあまり意識していなかったり、熱中症対策の仕方を知らなかったりして何も対策をしないと、今後の熱中症リスクにつながる恐れもある」としたうえで、熱中症リスクを意識するとともに、特にエアコンの使い方を工夫したり就寝前に水分補給したりするなどの対策に取り組む重要性を指摘しました。
熱帯夜は、熱中症の可能性も疑われる体の不調以外にも様々なお悩みがあるようです。「夏場の熱帯夜の睡眠時のお悩み」について尋ねたところ、特に悩みが無い人は23.8%に留まり、約4人に3人(76.2%)が何らかの悩みを持つことが分かりました。
それらの悩みのうち、最も多かったのは「暑くて目が覚める」(45.5%)で、次に「なかなか寝付けない」(33.0%)が挙げられました。多くの人にとって、暑さが睡眠の妨げになっていることがうかがえます。三宅先生は、「質の良い睡眠を意識することが翌日の熱中症リスクの低下につながる可能性がある」と話します。快適な睡眠環境を作ることも、熱中症対策のひとつとして大切なことだと言えそうです。
「熱中症対策においてエアコンの適切な使用は大切」と三宅先生は話します。まず、全体のうちで熱帯夜の睡眠時にエアコンを使っている人の割合を調査したところ約8割(81.6%)という結果となりました。積極的に熱中症対策に取り組む人が少ない一方で、熱帯夜の暑さへの悩みを持つ人が多い実態を踏まえると、熱中症対策への意識の有無に関わらず多くの人がエアコンを使用しているようです。
続いて、熱帯夜にエアコンを使っている人の使い方について調査しました。「朝までつけっぱなし」(46.1%)と「タイマー設定をして、寝ている途中で切れるようにしている」(43.5%)が、どちらも4割を超え、ほぼ同数という結果となりました。今回の調査では、「つけっぱなし運転派」と「切タイマー運転派」には節電意識や睡眠時の困りごとに対する大きな差は無く、習慣の違いと言えそうです。
熱中症対策への意識の違いによるエアコンの使い方についても調査しました。その結果、熱中症対策に取り組んでいる人ほど熱帯夜にエアコンを使用する傾向があることが分かりました。また、「よくしている」と回答した熱中症対策に積極的に取り組んでいる人は、朝まで「つけっぱなし」にしている割合が高い結果にもなりました。
夏の睡眠時、エアコンをつけていないと室内の温度や湿度が徐々に上昇し、熱中症への警戒が必要な環境になることがあります。こうした熱中症のリスクの評価には「暑さ指数(WBGT)」※1と呼ばれる指標が用いられます。エアコンを朝まで「つけっぱなし」にしておくと、一般的に熱中症の危険性が少ないといわれる程度のWBGTに抑えることも可能です。気温や湿度が高い日は、エアコンをタイマーで切るよりも朝まで「つけっぱなし」にした方が、快適な睡眠にもつながると考えられます。
三宅 康史(みやけ・やすふみ) 先生
帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長・帝京大学医学部救急医学講座教授。1985年東京医科歯科大学医学部卒業。さいたま赤十字病院救命救急センター長、昭和大学医学部教授などを経て、2016年より現職。日本救急医学会専門医・指導医・評議員、日本集中治療医学会専門医・評議員など。
熱帯夜、体調に違和感なく入眠したにもかかわらず、朝起きた時に倦怠感などの体の不調を感じた場合は「軽い熱中症の可能性」も疑った方が良いでしょう。寝室が暑かったり、就寝時に十分に水分補給ができていなかったりすると、体の脱水が夜中に進んでしまい、熱中症になってしまうリスクがあります。特に熱帯夜は扇風機をつけたり、窓を開けたりするだけでは十分に涼しい環境を作り出せない可能性があります。エアコンを使用するなどして寝室環境を快適にし、寝る前にしっかりと水分補給を行うことが重要です。
熱中症を予防するためには、睡眠をしっかりとって体を回復させることが重要です。熱帯夜の暑さで目が覚めてしまったり、寝付けなくなったりすると、「睡眠の質」が低下して体を十分に回復させられなくなってしまうこともあります。翌日に疲労と熱中症リスクを持ち越さないためにも、過ごしやすい睡眠環境づくりを意識して、質の良い睡眠がとれるように心がけましょう。
熱中症リスクを考えるうえで見落とされがちなのが「湿度」です。人間は、汗が蒸発する際の気化熱を利用して体温を調節しますが、室内の湿度が高いと汗が蒸発しにくくなります。汗が蒸発しづらくなると体の熱をうまく逃がせなくなり、体の中に熱がこもりやすくなってしまいます。蒸し暑い夜にはエアコンで冷房や除湿をするなど、温度や湿度管理にも注意をしてみてください。
快適な空間づくりには「温度」だけでなく「湿度」を調節することも大切です。湿度が20%変われば体感温度は約4℃変わるといわれています。ダイキンが試験室で行ったサーモグラフィによる可視化検証試験※2では、温度28℃、湿度85%の環境で皮膚温度の上昇を確認した後、温度は変えずに湿度を60%にすると、被験者12名のうち10名の手部や顔部の皮膚温度が顕著に低下する結果となりました。
熱中症リスクの評価には「暑さ指数(WBGT)」と呼ばれる指標が用いられます。
室内の温度や湿度が上昇すると、熱中症への警戒が必要なWBGTに達する場合があります。室温が高く湿度も気になる場合には、エアコンを使って温度や湿度をコントロールすることが大切です。
睡眠時にエアコンをつけっぱなしにすることへの抵抗感から切タイマーを使う人は多いかもしれません。そこでダイキンは、神奈川県横浜市にある一般の住宅において、朝までエアコンをつけっぱなしにする「つけっぱなし運転」と切タイマーを使って就寝3時間後にエアコンを切る「切タイマー運転」それぞれで室内のWBGTの変化を計測しました。「つけっぱなし運転」ではWBGTに大きな上昇は見られなかったのに対して、「切タイマー運転」の場合はエアコン停止後にWBGTが徐々に高まる結果となりました。
就寝中にエアコンがオフになると、明け方にはWBGTが熱中症への警戒が必要とされる値まで達する可能性があります。気温や湿度の高い日は適度な温度設定で、朝まで「つけっぱなし」にした方が快適な睡眠につながるといえそうです。
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