ミラノデザインウィーク2018 nendo×ダイキンが創る快適な空間とは ー前編ー
高度な技術を直感的に伝える展示
――右脳を入り口にして、左脳を刺激する
先端デザイングループリーダー 関康一郎(関):
初日から非常に高い注目を集めていましたが、来場者の方々の反応や声などはいかがでしょう。
nendo 佐藤オオキ氏(佐藤):
「DO NOT TOUCH」という注意書きが多く見られるミラノデザインウィークにおいて、「PLEASE TOUCH」と書かれたサインの隣にモックアップが置かれていることに大きな反響をいただきました。
実際に手に取り、触れてもらうことで、フルオロエラストマー「DAI-EL」へのさらなる関心を喚起できたのではないかと、感じています。
また、多くの記者の方から、デザインそのものだけでなく、素材の物性や特性に関する質問も多くいただきました。これはつまり、本展の意図が正しく伝わっていることを示しており、とても嬉しく思っています。
関:
「nendo : forms of movement」の会場全体を見渡し、nendoは言語化も定量化もできない素材の魅力を、デザインを通じてわかりやすく伝えていることを実感しました。
佐藤:
ミラノデザインウィークは、世界中から多種多様な方々が訪れるイベントということもあり、高度な技術をできるだけ直感的に伝えることを意識しました。
右脳を入り口にして、最終的に左脳を刺激する、というようなイメージです。
「自由度の高さ」がフルオロエラストマーという素材の面白さ
――日本のモノづくりの先進性をデザインで発信する
関:
DAI-ELはキッチン用品の「フタ」を切り口に進めたが、あえて白色にすることで、素材の特長(防汚性・対油性・触感など)を際立たせた配慮が良かったです。
フルオロエラストマーという素材を使うにあたって、苦心したり、面白さを感じた点もあるかと思いますが、いかがでしたか?
佐藤:
フルオロエラストマーという素材に対して感じたことは、硬度や伸縮性、表面の質感など、自由に素材特性を調整することが可能であるということですね。
この「自由度の高さ」が面白くもあり、逆にどこまでも追求できてしまうために「産みの苦しみ」も感じました。素材と向き合えば向き合うほど、新たな魅力を発見して困ってしまう、という感じでしょうか(笑)。
関:
最後に、佐藤さんが今回の展示、あるいはミラノデザインウィーク2018全体を通じて得た新しい発見や今後の展望があれば教えてください。
佐藤:
ダイキンをはじめ、さまざまな日本の企業や職人の方々とコラボレーションをさせていただき、あらめて日本のモノづくりの先進性や特有の繊細さなどを感じました。
と同時に、まだまだ潜在化している価値があると思いますので、デザインを通じて今後も引き続き海外に向けて発信していきたいです。
関:
我々もこの「nendo : forms of movement」に関わることができたことがとても光栄です。
ダイキンが空調だけでなく、化学素材の分野でも顧客の目線に近い存在になる重要な機会でしたし、「人を取り巻く空気から人が触るものまで快適にする」ことへの挑戦を具現化したnendoに感謝しています。ありがとうございました。
ミラノデザインウィーク2018 nendo×ダイキンが創る快適とは ー前編ー
2002年同大学大学院修了、デザインオフィスnendo設立。
建築、インテリア、プロダクト、グラフィックと多岐に渡ってデザインを手掛け、Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」に選出され、Wallpaper*誌(英)、ELLE DECOR誌をはじめとする世界的なデザイン賞の数々を受賞。作品はニューヨーク近代美術館(米)・ポンピドゥーセンター(仏)・ビクトリアアンドアルバート博物館(英)など世界の主要美術館に多数収蔵されている。