サプライチェーン・マネジメント
ダイキンでは、1992年、購買基本方針を制定し、取引先様との公正な取引に努めています。
「主体性の尊重」と「協調と競争」
ダイキンは、サプライチェーン全体で社会的責任を果たすため、世界各地の取引先様とともに、責任ある調達に取り組んでいます。
原材料や部品などの取引先様を、重要なパートナーであると考え、オープンで公正・公平な取引を通じた信頼関係の構築に努めるとともに、グローバル企業として社会からの信頼を獲得するため、取引先様を含めたサプライチェーンにおいての環境、品質、労働安全、人権などに配慮したCSR調達を推進しています。
※2020年4月時点
※2020年4月時点
ダイキンでは、取引希望企業に対して、国籍や企業規模、取引実績を問わず広く門戸を開放しています。
空調部門では、WEBサイト上に部品スペックや品質・目標コスト・納期を公開し、複数企業からの見積や提案を受け付けることで、取引機会の均等を図っています。原則として、基準を満たしている企業はすべて取引対象としています。
化学部門においても、要求事項(仕様、品質、価格、納期)をクリアする企業であれば取引を制限していません。
ダイキンでは、取引開始にあたって、当社の購買基本方針を理解いただくとともに、一定の評価基準を用いて評価しています。また、取引開始後には、ISO9001にもとづいて定期的に再評価し、取引関係を見直しています。
空調部門では、取引先様のESG全般におけるリスク対応力を把握するために、グローバル共通の基準でCSR推進ガイドラインの遵守状況を調査し、継続取引の可否を判定しています。また、新規に取引先を選定する際に、各地域特有のリスクを考慮した「取引先評価基準シート」を使って、「経営」「品質」「価格」「納期」「環境」の5つの観点から評価しています。取引開始後も、年に1回、グローバル各拠点にて「継続取引評価制度」にもとづいて再評価を実施しています。なお、「環境」評価についてはグローバル共通の基準を用いています。
基準に満たない取引先様やリスクが高い取引先様に対しては、改善計画を提出してもらい、改善のサポートをしています。
化学部門においても、ISO9001にもとづいて「経営管理」「安全管理」「品質管理」「環境管理」「生産管理」の5つの観点で新規・継続取引先の評価するとともに、CSR取り組み状況の把握にも努めています。2020年度は11社と新規取引を開始しました。取引開始後は複数人で商談し定期的に責任者が訪問するなど、できるかぎり多数の公平な視点で取引先様を評価するよう心掛けています。
ダイキンは、購買基本方針にもとづき「よきパートナーの探求」をしていくなかで、将来にわたって取引先様とともに事業発展をめざす取り組みとして、CSR重点テーマに沿った中期計画「CSR行動計画2020」を策定し、CSR調達の実行を掲げ、サプライチェーンにおける環境、人権、労働面などのCSR取り組みを推進しています。
2017年4月、ダイキンは、サプライチェーンCSR推進ガイドラインを策定しました。これは事業の安定的な継続・成長に向け、取引先様を含めたCSR推進のためのガイドラインです。経営や法令遵守などの一般的な要求に加え、環境、品質、労働安全、人権、紛争地域との取引禁止など、CSR全般にわたって取り組んでいくことを、国内外の取引先様100%に要請することを目標としており、当ガイドラインにもとづいた教育を、社内および取引先様へ行っています。
調達金額が多い順に上位8割に相当する国内外の取引先様を対象に、ガイドラインの遵守状況をモニタリングするCSR調査を行い、取引先様に結果をフィードバックしています。また、CSR取り組みの向上のために、社内基準によってCSR取り組みをランク付けすることにより取引先様を評価し、取引先様に対して改善・指導を行っています。AランクはCSRの取り組みレベルが高い優良な取引先様、BランクはCSRに取り組んでいる取引先様、CランクはCSR取り組みテーマに一部課題がある取引先様、DランクはCSR取り組みが実行されておらず課題の多い取引先様と認識しています。社内基準を満たした、AランクからCランクの取引先様の割合を「CSR調達実施率※」と定めており、2020年度のCSR調達実施率は99%でした。
定量指標 | 2021年度 目標 |
2018年度 実績 |
2019年度 実績 |
2020年度 実績 |
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取引先様へのガイドラインに基づいた取組要請割合 | 100% | 100% | 100% | 100% |
CSR調達実施率の向上 | 94%(日本) | 99% | 99% |
サプライチェーンCSR推進ガイドライン「11.人権・多様性の尊重と労働関連法令の遵守」にもとづき、ダイキンはコンゴ民主共和国およびその周辺国で産出された材料の特定を行うべく、お取引先様には、紛争フリーの認証を受けた製錬所から鉱物を調達することを推奨します。また、2013年7月、紛争鉱物に関する基本方針を制定しました。
空調部門では、2016年度から最新の RMI※が定めるしくみやツールを用いた「紛争鉱物調査結果WEB登録システム」を開始し、紛争鉱物にかかわる調達源の調査体制を強化しています。
ダイキンは、コンゴ民主共和国とその周辺国における武装集団の非人道的な行為に加担することがないように、調達取引先の皆様と連携しサプライチェーンの透明性を高めて、適切な鉱物調達に取り組みます。
ダイキンは、事業のグローバル化に伴い増大する調達リスクの軽減に努めています。
取引先様の定期的評価で、リスクを抽出するとともに、影響を受ける取引先様を瞬時に判断できる社内システムを構築し、随時、データベースを更新することによって、問題発生時の対応力を強化しています。
取引先様の経営状況の悪化、自然災害や事故の発生等が起こった場合でも、原材料や部品等が安定的かつタイムリーに、また合理的な価格で供給されることを確保するため、調達先の複数化・地域的分散、部品の共通化・標準化等の対応を進めています。
また、ダイキンのコア技術に類する部品・材料を扱う取引先様のうち、「代替が困難」「取引金額の規模が大きい」「重要な取引品目」の3項目を考慮して「重要なサプライヤ」を設定しています。さらにその中から、以下の条件に対し一定以上のレベルにある取引先を「グローバルサプライヤ」と位置付け、グローバルでの取引を推進する取り組みを行っています。
《グローバルサプライヤの定義》
2020年度にグローバルサプライヤと位置付けているのは、グローバルで23社です。これら23社との取引に関して、「グローバル調達責任者合同会議」を通じ、発注量を調整し、コスト改善と安定調達に取り組んでいます。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、さらなる現地調達化を促進します。
ダイキン工業は、2008年10月、国連が提唱するグローバル・コンパクトに正式加盟するとともに、ローカルネットワークである、「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入しています。加入企業・団体から構成される分科会の一つである、「サプライチェーン分科会」に参画し、サプライチェーンにおけるCSR取り組みについて議論・情報交換を行い、他社と協業・連携しながら、サプライチェーン・マネジメントの強化や取り組み内容の向上に努めています。