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気候変動への対応

冷媒の環境負荷低減

気候変動への対応


冷媒の環境負荷低減

多様な次世代冷媒の実用化を推進

空調機器には、室内機と室外機の間で熱を運ぶための「冷媒」が使われています。現在多くの先進国で主力冷媒であるHFCは、オゾン層破壊係数はゼロですが、大気に排出されると地球温暖化に影響します。

ダイキンでは、現行冷媒に比べて地球温暖化への影響が小さい「次世代冷媒」を用いた空調機の実用化を加速しています。冷媒選択にあたっては、冷媒の直接的な温暖化影響だけでなく、その冷媒を用いた空調機の使用時のエネルギー効率などライフサイクル全体での影響を考慮しています。また、環境影響だけでなく、燃焼性・毒性といった安全性や、冷媒自体の価格はもちろん、その冷媒を用いるエアコンの製造コストなども考えて、総合的に判断しています。

冷媒選択時の総合的な評価項目(すべての機器に共通)

冷媒選択時の総合的な評価項目(すべての機器に共通)

環境負荷低減に向けて適材適所の冷媒を選択

住宅用、業務用、暖房・給湯機器と冷凍冷蔵機器など機器によって冷媒に求められる性能が異なるため、用途に応じて最適な冷媒を選択できるよう、過去から自然冷媒やHFC冷媒などの候補冷媒を研究し、空調機への採用検討を進めてきました。

これらの検討から得た知見をもとに、冷媒の温暖化影響と対策について、国際会議や学会、展示会、論文発表などを通じてグローバルに情報を提供しています。

ダイキンが考える冷媒選択の方向性

ダイキンが考える冷媒選択の方向性

ダイキングループが現在販売している代表的な製品についての冷媒選択の方向性を示しています。その他の製品では上図で示す冷媒以外も使用される可能性があります。

オゾン層保護と温暖化抑制への取り組み

代替冷媒への転換と、冷媒の回収に注力

1980年代、当時の主力冷媒であった「HCFC」は、オゾン層破壊物質である疑いが強まり、モントリオール議定書により、先進国でのHCFC生産を2020年までに全廃することが定められました。ダイキン化学事業でもオゾン層に影響を与えない代替冷媒の開発に取り組み、1991年にはオゾン層破壊係数ゼロの「HFC」の量産プラントを日本で初めて稼働、1995年からは空調事業としてHFCを冷媒とした空調機器を開発、販売を開始するなど、オゾン層破壊防止に向けた取り組みを推進してきました。

冷媒にかかわる取り組みとめざす姿

冷媒にかかわる取り組みとめざす姿

キガリ改正に向けて

2016年10月のモントリオール議定書第28回締結国会議において、オゾン層破壊係数はゼロであるものの高い温暖化係数を持つHFCを温暖化係数(GWP)総量で削減することが決定されました。これまでHFCは気候変動枠組条約のパリ協定で取り扱われており、モントリオール議定書の適用範囲外でしたが、HCFC全廃に向けた取り組みが成功したことを受けて、CO2換算でのHFC生産消費規制も同議定書で実施することになりました。この決定は会議開催地であるルワンダの首都キガリの名前をとり、キガリ改正と呼ばれています。2017年末までに発効条件である20カ国が批准したことで、2019年1月1日に発効されました。

キガリ改正は、従来のHCFCのオゾン層破壊係数(ODP)にもとづく段階的全廃とは異なり、HFCの温暖化係数(GWP)にもとづく段階的削減であることが大きな特徴です。HFCを数量ベースで制限するのではなく、CO2換算(GWP×数量)のGWP総量を削減していくものです。低いGWPのHFCを使用することにより、温暖化影響を全体的に低下させつつ、HFCの量自体は確保あるいは増加させていくことが可能となります。先進国では2019年から共通のスケジュールにもとづいた削減を開始し、また途上国は3つのグループに分かれて削減を実施する予定です。

また新たな冷媒を導入する際には、機器の効率の向上を同時に達成することを求めており、GWP値だけを物差しとしないよう配慮されています。

このキガリ改正に向けて、ダイキンは以下の方針で取り組みます。

  1. ダイキンは、モントリオール議定書における、HFCのCO2換算での削減を求めるキガリ改正を歓迎します。
  2. ダイキンの方針は「冷媒の多様性」です。すべての機器に適用できる理想冷媒は残念ながら存在しません。冷媒の選択は、オゾン層破壊係数や、温暖化係数の数値だけでなく、機器ごとに安全性、エネルギー効率、経済性、環境性、回収と再生可能性、など多面的に地球温暖化への影響を評価することが必要です。
  3. これらの評価を踏まえ、ミニスプリットやマルチスプリット、パッケージエアコンなどの空調機には、R32 が適していると判断しました。R32 のこれら空調機への適用は、HFC削減スケジュールの達成、また現在進行中の HCFC全廃スケジュールの達成に大きく貢献します。 その他の機器に最適な冷媒は、鋭意研究を進めています。
  4. 将来の温暖化影響を抑制するには、「Sooner, the Better」(可能な施策はできる限り早く実行する)というアプローチが必要です。ダイキンは、われわれが考える最適な冷媒を、機器ごとに特定でき次第、どんどん商品化を進め、普及を促すことで、地球温暖化抑制に貢献してまいる所存です。
  5. ダイキンはまた、冷媒メーカーとして、将来において、地球温暖化にさらにもう一歩貢献すべく、機器ごとに適材適所の最適冷媒の探索を継続してまいります。

地球温暖化抑制の取り組み

低温暖化冷媒R32の採用を促進

2012年11月、世界で初めて、国内向け住宅用エアコンで、温暖化係数が従来冷媒R410A(HFC)の約3分の1であるR32(HFC)の採用を開始しました。さらに2013年3月には、インドでもR32を採用した住宅用エアコンを発売。グローバル各国への展開と、店舗用・業務用エアコンや家庭用給湯機でのR32の採用を進めています。

世界でR32の採用を促進するため、R32を使用した空調機の製造・販売にかかわるのべ93件の特許を、2011年9月から新興国において、2015年9月から先進国含む全世界において無償で開放しています。2019年には、2011年以降に申請した約180件のR32を使った空調機の製造・販売関連特許を無償で利用可能とする宣言をしました。この宣言により、より広くR32を活用できるようにし、地球温暖化抑制を後押ししています。

加えて、政府や国際機関と協業した新興国での技術支援を各地で展開し、冷媒の温暖化影響と対策について、国際会議や学会、論文発表などを通じて情報提供や技術支援を行っています。例えばインドやタイ、マレーシアでは、政府関係者や冷凍空調工業会などを対象にセミナーを開催し、R32 への理解促進を図るとともに、現地のエアコン据付・サービス技術者に対してR32を適切に扱うための研修を実施しました。メキシコ、ブラジルにおいても、JICA(独立行政法人国際協力機構)による民間技術普及促進の事業を受託し、R32エアコンの普及と省エネ市場創出に向けて取り組みを開始するなど活動の範囲を拡大しています。

これらの結果、ダイキンはR32エアコンを世界100カ国以上で2,500万台以上を販売し、他メーカーも含めた世界のR32エアコン市場は1億台を超えていると推測しています。(2020年6月時点)

ダイキンのR32エアコン累計販売台数(2020年6月現在)

世界100カ国以上で2,500台以上を販売
(日本:約1,100万台、海外:約1,400万台)

販売国(限定販売国含む)

TOPICS

低温暖化冷媒R32を使用した機器の特許権不行使を宣言

ダイキンは現在、住宅用・業務用エアコンの冷媒には低温暖化冷媒R32が最適と考え、製造・販売にかかわる93件のR32機器応用特許を全世界へ開放しています。さらなる普及に向け、2019年7月には、約180件を無償で利用可能とする誓約を行いました。

さらに、2019年12月に「WIPO GREEN(ワイポグリーン)」へ参加し、2020年3月にこれらの特許をWIPO GREENのデータベースに登録しました。持続可能な技術を広く世界に紹介し、技術共有・相互活用を促すこのしくみに参加してR32を早期に普及させることで、冷媒による環境負荷を世界中で低減させていきます。

環境問題に対するソリューションの加速度的な採用をミッションとした国連の世界知的所有権機関(WIPO)の1組織

冷媒の回収・再生・破壊スキームづくり

ダイキンはエアコンおよび冷媒メーカーの責任として、ライフサイクルで冷媒の大気への放出を防止する活動にも取り組んでいます。

例えば欧州では、サーキュラーエコノミーが提唱され、資源循環の重要性や冷媒供給の安定という観点から、使用済みエアコンからの冷媒回収再生の需要が高まっています。ダイキンは、欧州で市場の使用済みエアコンから冷媒を回収して再生、再利用するスキームを構築しています。

回収した冷媒の品質状態に応じ、油分・水分などの不純物を除去する「簡易再生」と、冷媒を成分別に分離したうえで成分の再調整をプラントで実施して新品の品質に戻す本格的な「再生」、再生できない冷媒を「破壊」するという3つのルートを構築しました。
このルートを構築にあたっては、ダイキンヨーロッパ社は、簡易再生装置をダイキンブランドで発売を開始。ダイキンリフリジランツヨーロッパ社は、ドイツに保有する破壊プラントに加え、再生プラントを整備して運用を開始しました。
このスキームを自ら活用し、再生冷媒を使用したエアコン「VRV L∞P by Daikin」の販売を2019年度に開始しました。

ドイツの冷媒再生設備

ドイツの冷媒再生設備

ドイツ・オステンド工場での再生冷媒封入作業

ドイツ・オステンド工場での再生冷媒封入作業

CO2コンビニパックの普及を後押しする新技術の開発および実証

ダイキンは、コンビニエンスストアやスーパーマーケット向けに、空調と冷凍冷蔵機能を一つのシステムに統合した「コンビニパック」を2007年から販売しています。「コンビニパック」は、ダイキン独自のインバーター&冷媒制御技術を用い、冷凍冷蔵用ショーケースの排熱を回収して暖房に利用するシステムです。空調と冷凍冷蔵機能がそれぞれ独立している従来方式に比べ、欧州の気候条件では約50%も年間消費電力を抑制できます。

「CO2コンビニパック」は、使用冷媒を従来の冷媒R410Aではなく、温暖化係数が1のCO2冷媒を採用したもの。2020年1月、ダイキンはEUの補助金を得て「CO2コンビニパック」の実証試験を開始しました。3カ年の計画で、ベルギー、ドイツ、スペインの小売店舗で順次、システムの安全性や効率性を検証していきます。

EUが環境と気候変動対策を目的・対象に実施するLIFEプログラムに認定、費用の55%が補助される。
CSR・環境
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