顧客満足
ダイキンでは、お客様がどのくらいアフターサービスに満足されたかを測り、お客様満足の向上に生かしています。保守・メンテナンスなどを担うサービス部門では「最高のサービス品質(速さ・確かさ・親切さ)の実現」を基本方針に、サービスエンジニアの技術力アップや、お客様への応対レベルの向上に取り組んでいます。
またダイキンは、グループ経営理念で『お客様自身も気づいていない「次の欲求」や「夢」を見つけ出し、新たな価値を具体化すること』が使命であるとしています。高品質の製品、素材、サービスを提供するだけでなく、積極的な提案やアプローチをしていくことで、お客様にとっての利便性と快適性を高め、満足度の向上につなげたいと考えています。
ダイキンではエンジニアの技術力や、応対レベルの向上に取り組み、高品質の製品・サービスを提供するだけでなく、積極的な提案やアプローチをしていくことで、お客様の利便性と快適性を高め、満足度の向上につなげたいと考えています。
日本では、お客様からの修理依頼・技術相談・購入情報などすべてのご相談を、総合窓口である「ダイキンコンタクトセンター」が24時間365日体制で受け付け、ご要望に応じたご提案に努めています。
また、海外でもアフターサービス体制を整え、「速さ・確かさ・親切さ」をスローガンに、多様なご要望にお応えしています。コールセンターの設置や、WEBサイト上での技術情報の提供などにより、お客様の満足度向上に努めています。
コンタクトセンター(イギリス)
総合カスタマーセンター(中国)
ダイキンでは、基準年度に比べお客様のアフターサービス満足度がどのくらい向上したかを指標として、サービス満足度を把握しています。
(基準年度) | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | |
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日本 | (2015) | 1.07 | 1.11 | 1.13 | 1.14 | 1.14 |
スペイン | (2016) | 1.00 | 1.21 | 1.15 | 1.12 | - |
中国 | (2018) | - | - | 1.00 | 1.04 | 1.04 |
インド | (2016) | 1.00 | 1.06 | 1.09 | 1.13 | 1.15 |
インドネシア | (2017) | - | 1.00 | 1.03 | 1.03 | 1.10 |
シンガポール | (2015) | 1.01 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.01 |
ベトナム | (2015) | 1.02 | 1.04 | 1.09 | 1.11 | 1.17 |
オーストラリア | (2015) | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
国内では、アフターサービスでのお客様対応を評価いただく「ふれあいアンケート」を実施し、2020年度の総合満足度は5点満点中4.60という高い評価をいただきました。これは、「受付から完了までの速さ」「一度の訪問での修理完了」を重点施策とし、「技術力向上」「お客様対応力の向上」などの教育訓練に取り組んできた成果と考えています。
ただし、前年度比0.03減となった主な原因は、業務用製品に関する点数・回答率の低下だと考えています。
高いサービス品質を実現するためにはサービスエンジニア一人ひとりの技術力が重要です。サービスエンジニアに対して、空調サービス品質の基礎研修のほか、各階層や職種別にさまざまな研修や資格取得教育を実施しています。
国内では、サービスエンジニア全員を対象とした講習会や技術力評価試験を実施し、一定水準以上の技術力を認められるサービスエンジニアでなければ一人で修理作業ができないようルール化しています。
また、より高い技術レベルを有するチーフエンジニアの育成にも取り組み、チーフエンジニア認定試験の合格者数はのべ2,000人以上になりました。現在この認定試験の制度を見直しており、2021年度には認定基準にサービス品質の実績「速さ、確かさ、親切さ」にもとづく定量評価を追加予定です。2020年度は、新制度移行段階のため認定試験は実施しませんでした。
さらに、現場作業時の安全を確保し、的確で確実な作業を行う技能力向上にも取り組み、技術・技能両面でお客様に満足いただけるエンジニア育成をめざしています。
海外においても、サービスエンジニア認定制度や育成プログラムの導入など地域統一制度化を進めており、中国では2016年、アセアン・オセアニア地域では2017年より運用を開始しました。さらに、欧州地域においても導入を進めています。
また、各国のサービス品質向上のキーマンを対象に、日本のサービスエキスパートを派遣して、ろう付け・故障診断・修理技術などの指導を展開。キーマンが継続して自国展開できるサポートを行い基盤を整えています。2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、エキスパートの派遣はありませんでした。
2016年に世界20カ国の海外各社から選抜された28人のサービスエンジニアが集結して開催した第1回サービスオリンピックを皮切りに、中国やアジア各国、欧州各国で修理技術や顧客応対などのサービス品質を競い合う技能大会を開催し、従業員同士で切磋琢磨できる環境を整えてきました。
2019年度には中央ヨーロッパ、イギリス、タイなどで独自開催が進み、アセアン・オセアニアに続き、欧州でも初の地域大会を開催しました。
さらに2020年度には、全地域から予選を勝ち抜いた40人のエンジニアを集め、日頃の成果を競って披露する第2回サービスオリンピックを開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2021年10月頃に延期することとなりました。開催が困難な場合には、リモート技術イベントの実施を検討しています。
今後も国・地域の従業員やエンジニアが切磋琢磨できる環境を整えていきます。
国内のサービスエンジニアが4年間にわたる研修プログラムを受講する「サービス大学」では、大学さながらに職種ごとに受講科目を決定し、定期的に試験を行いながらステップアップを図っています。2020年度は、1年生52人、2年生38人、3年生29人、4年生30人が受講しました。コロナ禍においても、既存のTV会議システムを利用して運営を行っています。
また、全国各地に設けたサービスステーションごとにチームを編成し、「速さ・確かさ・親切さ」などのサービス品質を競い合う「サービスアワード」を毎年開催し、各サービスステーションが楽しくやりがいを持ちながら、お客様満足度を高めています。
お客様に満足してエアコンをお使いいただくためには、据付工事の品質も重要な要素です。設計・施工技術やサービス技術を習得するための研修所を国内6カ所に設け、当社エンジニアだけでなく、販売店様の施工技術やサービス技術を向上するための研修制度を整えています。
各研修所では、お客様に「役に立つ・わかりやすい・親切に」をモットーに、最新の製品や動画教材を導入し、現場に即した研修を実施しています。とりわけ需要が拡大している寒冷地で、販売店様の技術者育成を図るため、近年「ダイキン研修プラザ東北」と「ダイキン研修プラザ札幌」を開設し、空調工事やサービスの実習研修を充実させています。
研修内容は、販売代理店様やサービス協力店様向けに個々の要望に合わせた専用コースを設定しています。計画的なレベルアップをめざすステップアップ研修や、販売店様の多様化するニーズに応えるソリューション研修、お客様満足度向上を図るソリューションセミナー、資格取得・準備コースなどの全57コースです。新型コロナウイルス感染症対策として、対面型講習はLIVE配信に切り換えて開催しています。
2020年度は、高所作業時に用いる墜落事故防止器具を正しく安全に使用するためのフルハーネス特別教育と、オンライントレーニング DOT(Daikin Online Training)空調基礎の2コースを追加しました。DOT空調基礎は、社内外含め約1,600人が受講しています。
環境保全の重要性について理解を深める環境関連のソリューション研修については、2020年度より開催対象を従来の5コースからすべてのコース(資格取得・準備コース除く)に拡大しています。研修内容には地球温暖化・オゾン層破壊問題の一般知識、フロン類の取り扱いの注意、地球温暖化防止への取り組み要請などが含まれるため、より多くの受講生を輩出することが「環境先進者」を育成することにつながると認識しているためです。
また、研修内容をまとめて配布していた冊子については、2020年度よりWEBテキスト化することで、冊子約9,000部に相当する紙使用量の削減を実現しました。
国内グループ会社での新入社員向け講習会、海外グループ会社での販売店様向けの技能研修なども充実させ、お客様満足の向上や作業者の安全確保に努めています。2020年度は、空調営業本部と連携し、冷媒破壊認定を受けた販売店様向けの「ダイキン版フロン類取扱更新講習」を開催。環境への意識改革PR活動を強化しました。
販売代理店様向けの技能研修
全受講者に配布する環境冊子
海外展開を加速しているダイキンがお客様満足度を高めていくためには、海外各地域でのニーズを的確・迅速に把握し、商品開発に生かしていくことが重要です。そこで、エアコンの開発体制を日本一極集中型から、地域拠点でも商品開発・リサーチを行う自立分散型に転換し、世界でマーケティングリサーチ機能を強化しています。中国、欧州のR&Dセンターを筆頭に、アジア・オセアニア、北米拠点での開発機能強化を順次進めています。
IAQ商品のマザー拠点である中国のR&Dでは、社会問題になっているPM2.5対応のエアコンや、激しい油煙に対応したキッチン専用の室内機、除湿乾燥を強化した浴室専用の室内機など、生活スタイルやニーズに応じたさまざまな商品を開発しています。2020年度は、TICと連携した商品開発を推進したほか、深圳(DOSZ)や清華大学との外部協創による空気質改善技術の開発や、空気質・生体センサから得られるデータを活用したサービスの構築を行いました。今後は、それらの技術・サービスを中国国内からトライアル予定です。
暖房給湯商品のマザー拠点である欧州のR&Dでは、2020年度、低温域の運転範囲を拡大したエアコンや、出湯温度を高めたH/P暖房トップグレードなどの差別化商品を開発。今後は、FUSION25の暖房給湯戦略の重点テーマである「燃焼暖房のHP暖房への置換」を軸に、TICと相互乗り入れで開発を行うなど連携を強化していきます。
北米においては、R&Dセンターを開設し、2017年度にDaikinOpenInnovationLabSiliconValleyを開設。北米特有の空調製品に当社に強みのある技術(インバータ、マルチ、冷媒など)を融合した差別化製品を創出するとともに、北米で先進するAI/IoT技術を活用した新たな価値創出を推進していく予定です。
また、シリコンバレーや深圳ではオープンイノベーション・ラボを活用して現地のベンチャー企業・スタートアップ企業と連携したり、日本でも東京大学や大阪大学などの大学と産学連携するなどして、新しいビジネス開発・技術探索に取り組んでいます。
さらに、CVC室の設立により、スピード経営を実践する世界中のスタートアップ企業との協業が可能になりました。素早く仮説を検証することで、新たな製品・サービス・ビジネスモデルのスピーディーな創出をめざします。
ダイキンは、お客様の生活をより快適にする最適なソリューション提案をめざしています。
多様化するお客様のライフスタイルに合った「次の欲しい」を先取りするためには、商品開発者や技術者が、お客様とコミュニケーションを深め、直接ニーズを感じ取ることが不可欠であると考えており、実際の製品やエネルギーマネジメントシステムをご覧いただきながらコンサルティングを行う「ソリューションプラザ」を東京、大阪、上海、ニューヨーク、トルコのイスタンブールなど、世界各地に開設しています。
2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でご来館が難しいなかでも、ショールームを体感いただき、お悩みをご相談いただけるよう、WEBサイト上に「バーチャルフーハ」を開設しました。バーチャルフーハでは、お客様のお悩みやお探しの製品に合わせて役立つ動画を視聴できるようにしたほか、「オンライン空調相談」で専門スタッフに直接相談することも可能です。
また、遠方のお客様にもオンラインで製品を見学いただける「オンラインLIVEツアー」など、フーハを身近に感じていただける取り組みを開始しました。
ダイキンソリューションプラザ「フーハ大阪」
コンタクトセンターなどに寄せられるお客様のご要望・クレームなどの情報は、データベース化して記録しています。お客様のご意見・ご要望は、品質部門と関係部署が共有し、原因究明や対策を講じ、製品・サービスの改善につなげています。
お客様の満足度向上を実現するために、各部門でお客様アンケートを実施しています。
お客様のニーズ・満足度を把握するために、ホームページなどを通じて製品に対するご意見を収集するほか、量販店の店頭でお客様の生の声を聞くとともに、製品を購入されたお客様には会員数約30万人のダイキン会員サイト「CLUB DAIKIN」への入会をお勧めし、そちらでアンケートを実施しています。
いただいたご意見は商品開発に生かしています。
2017年度、「リノベーションで部屋をおしゃれにしたいのにエアコンだけはどうしようもない」というスタイリッシュなエアコンを求めるお客様の声に応え、インテリアとの調和を追究しデザインと最新機能を兼ね備えたエアコン「risora(リソラ)」を開発しました。奥行185mmの薄厚のボディでありながら、省エネエアコン「うるさら7」で培った垂直気流・天井気流やプレミアム除湿などの最新機能を搭載し、空間の心地よさも追求したモデルです。
2018年度はさらにインテリアデザインの多様化に対応し、600色の中から好きな色にフロントパネルを塗装できるオプションを追加しました。
「2017年度グッドデザイン賞」や国際的デザインアワード「iFデザインアワード2018」などを受賞、国内外からそのデザイン性と機能性が評価されています。
デザインと機能性を両立する「risora」
2017年度に発売した小空間用マルチエアコン「ココタス」は、エアコンが設置されていない、洗面所やキッチン、書斎などの小空間で、これまで暑さや寒さを我慢していたお客様の声(ご不満)から生まれました。
「暑いキッチンで揚げ物をしていると食欲がなくなる」「お風呂上がりの洗面室でドライヤーをすると汗をかくのがすごく困る」という声に応えた、小空間向けのエアコンです。
「グッドデザイン賞」において「グッドデザイン・ベスト100」に選出されました。
また発売後も、販売店様、工務店様から製品の使われ方をフィードバックするアフターマーケティングを強化し、近年の住宅事情からみた今後のニーズも先取りしていきます。
2018年度は国内向けに「長時間不在にしている住まいの湿度対策が不安」という声に応え、水捨て不要で住まいを除湿する「カライエ」を発売しました。
住まいの除湿ニーズに応える「カライエ」
オフィスや店舗、ホテルなどで使われる業務用エアコンは、快適性や省エネ性、利便性を考慮した多くの機能を搭載しながら進化してきました。
それと同時にリモコンの使い方は複雑化し、特に近年増加する高齢者や訪日外国人にとって分かりづらく、エアコンを思うように使えない要因の一つとなっています。
店舗・オフィス用エアコン「FIVE STAR ZEAS」シリーズで2017年4月に採用した直感リモコンは、操作ボタンの数を最小限に抑え、さらに液晶画面を利用者自身が使いやすい表示に変更できます。
また、表示する言語も日本語や英語、業界初の中国語、言語に制約されないピクトグラムに切り替えられます。「FIVE STER ZEAS」だけでなく「業務用マルチエアコン」でも使用でき、より幅広いシーンで誰もがわかりやすい直感的なリモコン操作を実現します。
ダイキングループでは年齢や障がいの有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が使いやすい商品を開発するためにユニバーサルデザイン(UD)の考え方を開発に取り入れています。
ダイキン工業は、UDとはそれを使うあらゆる人への配慮を怠らないという、モノづくりの発想そのものであると捉え、この考え方が当然のこととして開発に生かされるよう、地道な努力を続けていきます。
ダイキン工業は2012年12月、スマートフォンでエアコンの操作ができるアプリ「Daikin Smart APP」の提供を開始し、室内からだけでなく、外出先からも簡単に家のエアコンの運転状況の確認や停止、運転切り替えができるようにしました。
どんな人でもストレスなく自然に使えるアプリになるよう、ユニバーサルデザインに関するガイドラインを作成。ユーザビリティテストを通じて、操作ミスが起こりにくいボタンサイズやレイアウトなどを追求しました。
2014年4月には、エアコンのほかエコキュートや床暖房など、複数の機器をスマートフォンや携帯情報端末で操作できるアプリ「Daikin Home Controller APP」の提供も開始しました。
複数の機器を操作できるアプリを提供
化学部門では、満足度向上のポイントを「品質向上」「安定供給」「コミュニケーション」「お客様のニーズへの対応(新商品開発)」「環境対応」と定め、お客様満足度に関する情報を継続的に評価、改善していくことで、お客様の信頼と満足を得られる企業をめざしています。
化学部門のフッ素化学製品は、高機能・高性能な材料であるため、加工方法が特殊な場合があります。テクニカルサービス部門がお客様を訪問し説明するだけでなく、お客様向けに「フッ素塾」と題したフッ素材料の特性や当社設備を使った加工方法の製品勉強会を定期的に実施しています。
2020年度は,ご要望をiいただいたお客様向けに「WEBを活用したフッ素塾」を8回開催しました。
また、例年開催していたトップ層同士の交流会である「化学お客様感謝の集い」や「ダイフロンガス会」では、用途開発の取り組みや、新たな用途開発につながるフッ素の機能を紹介するなどして交流を深めておりましたが、2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で開催を見送りました。
さらに、WEBサイトでは各種製品情報を幅広く公開し、製品の特長や安全に関する情報を提供しています。WEBサイトを通じて寄せられたお客様からのお問い合わせについては、営業担当者が窓口となり、テクニカルサービス、研究開発、品質保証、環境・安全の各部門と連携して対応しています。
化学部門の営業担当者には、お客様である企業の研究者や開発担当者が求める機能をヒアリングして、最適な製品を提案する力が求められます。お客様の業態に応じて、製品の持つ機能を発揮させるための加工方法、添加量、温度など多種多様な知識が必要となります。
そこで月に1回の営業・研究・製造一体の会議や研修会を通じ、営業情報だけでなく、製品知識や関連法規や特許の情報も共有しています。具体的な用途、採用事例の紹介やお客様のニーズを伝えることで、商品開発、用途開発に生かすとともに、開発商品の特長を深く理解することで、お客様への新たな提案にも役立てています。2020年度、営業部門では「環境(SDGs・PFAS)」「AI・Iot」「コンプライアンス」などに関する研修会・教育も加えて実行しました。
今後も、フッ素をさまざまな業態に活用できる幅広い知識を習得した従業員の育成を続けていきます。