資源の有効活用
サーキュラー・エコノミーとは、人口増加による資源不足に対処するために、生産から廃棄までの直線的なしくみがさまざまなレベルで循環していくよう設計やビジネスモデルの段階から抜本的に社会経済のあり方を見直し、無駄になっている資源や捨てられている素材などを活用して利益を生み出すことをめざす考え方のことです。
ダイキンは、より効率的に資源を使用するために、生産工程で発生する排出物の削減や再資源化、、製品や包装材の省資源化、リサイクルしやすい製品設計、グローバルな修理体制の強化などを実行しています。
ダイキンは、リデュース(省資源化)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源化)の3Rにリペア(修理)を加えた「3R&リペア」を指針として、資源の有効活用に取り組んでいます。
製品の開発・設計においては、この3R&リペアを重視しています。製品アセスメントにもとづいて、製品の小型化・軽量化をはじめ、部品点数やネジ本数の削減、分別や再資源化が容易な素材や構造の開発、メンテナンスのしやすい製品設計などに取り組んでいます。
リデュース | 製品の小型化・軽量化 再生材の使用 既設製品本体や配管の活用 | |
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リユース | 廃棄製品からの部品再利用 | |
リサイクル | 開発 | 分別・再資源化の容易な製品設計 ・ 再資源化の容易な樹脂の使用 ・ 素材の表示 ・ 分離解体が容易な構造 |
使用後 | 使用済み製品のリサイクル | |
リペア | 開発 | メンテナンスのしやすさを考えた製品設計 |
販売後 | 製品を長く使っていただくための修理サポート体制の充実 |
製品設計においては製品アセスメントにもとづき、3R&リペアを重視して設計しています。1997年から解体・分離が容易な構造の製品設計を進めています。
2019年度は、店舗・オフィス用エアコン「スカイエア」の室内機「スタイリッシュフロー」において、樹脂部品の塗装をなくすことでリサイクル性を向上させました。
資源使用量の削減(リデュース)には、製品の小型化・軽量化が有効です。空調機の場合は機種ごとに製品全体・部品の重量削減目標を設定し、軽量化に努めています。しかし、省エネルギー性などを低下させずにこれを実現することは技術的に非常に困難です。小型化・軽量化の結果、エネルギー使用量が増えるのでは、製品トータルでの環境性が高まったとはいえません。
ダイキン工業では、通年エネルギー消費効率(APF)を下げない範囲で重量の低減について製品ごとに目標を定めて新製品開発に取り組んでいます。
使用中の業務用マルチエアコンを対象に、空調機の頭脳にあたる「制御基板」と、心臓にあたる「圧縮機」だけを新型部品に交換することで、エアコンの性能を向上させるメンテナンスサービス「レトロフィットシステム」を提供しています。部品を新型にすることで省エネ性を向上させるだけでなく、必要部分だけを交換することで交換部品の重量を新規入れ替え時と比べて約3分の1に抑制できます。
2019年度は「レトロフィットシステム」の対象機器を拡充しました。今後も対象機器を増やし、製品・部品の省資源に努めます。
ダイキンは、「段ボールから発泡スチロールへの変更」「薄肉化」「部品点数・段ボール面積の削減」という観点から空調製品の包装材使用量削減に努めています。
ダイキン工業では、2019年度は、全熱交換器「ベンティエール」について、輸送姿勢を縦にすることで包装材使用量を大幅に削減し、包装材使用量を2016年度比で3%削減するという目標をを達成しました。
このほか、海外では、マレーシア製の室外機のコーナー部材を廃止することでコンテナへの積載可能台数を増やしました。包装材使用量を削減するとともに、輸送に伴う環境負荷低減にも貢献します。
TOPICS
業務用マルチエアコンのオプション品であるアクティブフィルタの梱包仕様を刷新し、包装材使用量を大幅に削減しました。製品基板の下部を段ボールの下敷きで浮かせ、かつ基板の枠を中敷きで押さえて固定するというシンプルな仕様を開発し、基板上で露出した電子部品を包装材と触れることなく保護することに成功しました。この包装材で、公益社団法人日本包装技術協会主催「2019日本パッケージングコンテスト」の工業包装部門賞、世界包装機構(WPO:World Packaging Organisation)主催「ワールドスターコンテスト2020」のワールドスター賞を受賞しました。
空調機の補修部品を輸出する際、世界の一部地域では、リターナブル化ができずに木枠を使って梱包していました。その木枠と同等の強度を保ちながら、梱包材をすべて段ボール化することに成功しました。
梱包用の木材消費を減らすことで、森林資源を有効利用できます。さらに、梱包自体を小型化・軽量化したことで輸送効率が向上し、輸送時の環境負荷低減にもつながります。 この梱包材で、公益社団法人日本包装技術協会が主催する「2019日本パッケージングコンテスト」でジャパンスター賞(経済産業省製造産業局長賞)を受賞しました。
ダイキンでは、資源の有効活用のためにプリント基板など複数の部品を組み込んだ修理交換済み部品を再利用しています。不具合修繕や消耗部品の交換を実施し、機能確認や動作試験を行って部品品質を確認したうえで、修理用部品としてお客様の了解を得て再利用しています。
製品をより長く使っていただくことは、資源使用量の削減(リデュース)につながります。そこで、ダイキンでは今、世界各国にサービス拠点を設け、修理のご要望をはじめ商品に関する疑問・質問などにも答える体制を強化しています。
国内では、「ダイキンコンタクトセンター」で24時間365日お客様からお問い合わせを受け付け、サービス体制を整えています。今後一層お客様に満足していただけるよう、エンジニア認定制度を導入しサービスエンジニアの技術力向上とサービスマナーの向上に力を注いでいきます。また、お客様からの修理のご依頼に対して、受付対応者が迅速に対応できるように過去の事例や実践的ノウハウ、経験則を言語化し閲覧できるシステムを導入しました。お電話口で必要な情報を伺い、適切に案内することで不必要な訪問を回避し、業務効率化と顧客満足度向上を図っています。
海外では、製品販売国が世界各地に拡大するのに伴い、各国におけるサービス体制の強化を進めています。今後はサービス業務管理システムの導入により、業務の効率化を図るとともに、自社エンジニアや、協力会社の従業員に至るまでサービス品質を見える化し、高品質なサービスの提供に努めていきます。
日本の家電リサイクル法では、メーカーは回収した自社製使用済み住宅用エアコンの80%以上を再資源化し、冷媒(フロン)を適正に処理するよう義務付けられています。
2019年度は当社製住宅用エアコン約41万台(回収重量17,197t)を回収、再資源化率は91%、フロン回収量は53万t-CO2でした。