ステークホルダー・エンゲージメント
ダイキンは、空調にかかわる有識者と「将来の空調のあり方」について意見交換する場として、1995年に日本で空調懇話会を立ち上げました。
2007年度以降、欧州、中国、米国、アジア・オセアニア、中南米地域にもその輪を広げ、各地域を代表する有識者と環境やエネルギー問題について意見交換を行い、技術や商品開発、事業展開に生かしています。2019年度は、世界5地域で計6回開催し、31カ国のべ125人が参加しました。
欧州懇話会は、グローバル研修所であるダイキンアレス青谷(鳥取県)にて日本との合同懇話会として開催。特別ゲストとしてEU委員会の元局長をお招きし、「環境ビジョン2050」などを紹介し、長期的な視点で脱炭素の取り組みをどう進めていくべきかについて活発な議論を行いました。
南米最大市場のブラジルで初開催となった2019年度の中南米懇話会では、持続可能な社会を実現するための空調ソリューションをテーマに、ブラジル・日本両政府、国際機関などから有識者24人にご参加いただきました。
中南米懇話会の様子
地域 | 意見交換の主なテーマ | 会議 | 外部出席者(大学教授・専門家など) | ||
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開催日 | 開催場所 | 国数 | 人数 | ||
アジア・ オセアニア |
グリーンビルディング、エネルギーマネジメント、IEQ、冷媒の環境課題に対するダイキンの方針 | 2019年 4月 |
シンガポール | 8 | 25 |
中南米 | エネルギー需要拡大問題、環境課題の解決とカーボンニュートラルな社会の実現に向けて | 2020年 1月 |
サンパウロ (ブラジル) |
6 | 24 |
日本 | 太陽放射と建築、都市環境、当社環境ビジョン2050、日欧建築動向 | 2019年 5月、10月 |
東京、鳥取 (アレス青谷) |
1 | 28 |
米国 | ビル省エネ・電化、脱炭素化に向けた取組、低GWP冷媒への転換実現と加速 | 2019年 8月 |
カリフォルニア | 3 | 25 |
欧州 | 欧州 Fガス規制および冷媒、欧州環境政策 、当社環境ビジョン 2050、日欧建築動向、TIC視察 | 2019年 10月 |
鳥取 (アレス青谷) |
13 | 23 |
環境やエネルギーなどさまざまな分野の国際機関、NPO・NGOなどと積極的に意見交換を行い、経営に生かしています。
2019年度は、アメリカのNPO法人「米日カウンシル」、アジア系議員などを日本のTICへお招きして、当社の先進技術の取り組みを紹介するとともに低温暖化冷媒R32やインバータなど空調機の環境技術についてのディスカッションを行いました。
今後も意見交換の頻度を上げて、ダイキンの取り組むべき環境活動の方向性を検討していきます。
IEA Dulac氏を交えたパネルディスカッション
ダイキンでは、各種イニシアティブに積極的に参画しています。CSRの考え方や取り組みについて議論・情報交換を行い、他社と協業・連携しながら、活動の強化や取り組み内容の向上に努めています。
国連グローバル・コンパクト
当社は2008年から、国連が持続可能な成長の実現をめざして提唱するグローバル・コンパクトに参加しています。グローバル・コンパクトは、参加する世界各国の企業に対して、人権、労働、環境、腐敗防止の4分野について10原則を支持し、実践することを求めています。
気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD)
気候変動に起因する事業リスクと事業機会の情報開示を促すために金融安定理事会が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD)に対し、当社は2019年5月に賛同を表明しています。
気候変動イニシアティブ (JCI)
気候変動イニシアティブ (JCI)は、気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどの情報発信や意見交換を強化するためのゆるやかなネットワークです。
当社は2020年9月からJCIに参加しています。
経団連「チャレンジ・ゼロ」
「チャレンジ・ゼロ」は、一般社団法人 日本経済団体連合会(経団連)が日本政府と連携し、「脱炭素社会」の実現に向け、企業・団体がチャレンジするイノベーションのアクションを、国内外に発信し、後押ししていくイニシアティブです。
当社は2020年9月から「チャレンジ・ゼロ」に参加しています。
エコ・ファースト企業認定
「エコ・ファースト制度」は、業界トップランナー企業の環境保全行動促進のため環境省が2008年に創設した、企業が環境大臣に対し自らの環境保全に関する取り組みを約束する制度です。
当社は2008年11月、環境大臣から「エコ・ファースト企業」の認証を受けました。
ダイキンは、世界各国で事業を展開するにあたり、社会的課題の改善・解決のために、政府・自治体や産業界と連携・協力し、適切な提言・提案・働きかけを行っています。
特に次世代冷媒の選択・実用化に向けて、国際会議・各種セミナー、学会や展示会などの機会に、業界団体や国連機関、各国の環境行政関係者なども交えて、各地の冷媒の動向や削減の取り組み、規制・規格などについての議論を交わしており、各国の新冷媒選択に役立つ情報を積極的に提供しています。
2019年4月には米国カリフォルニア州上院議員含む18名の議員団による視察を誘致し、当社の取り組みを紹介。同月のうちに、次は当社が渡米し、カリフォルニア州大気資源局との個別面談にて当社の環境技術を紹介し、脱炭素に向けて意見交換を行いました。
また、2019年5月にUNEP(国連環境計画)主催の「廃棄物管理に関する大阪国際会議」にて冷媒の回収・再生の取り組みについて講演。
6月にはG20エネルギー環境大臣会合併設展示会にて、R32とインバータの実機展示を行いました。
さらに11月には、ブラジル政府の要請により、マナウス環境フェアでR32とインバ―タについて講演しました。
今後も冷媒技術について、各国の関係者に情報を開示していく方針です。
2016年度・2017年度は、環境省の途上国支援を目的とする調査事業を共同受託し、スリランカで低GWP冷媒を使用した省エネ空調機の普及と冷媒の回収・再生・破壊スキーム作りに取り組みました。
2019年度は2018年度から引き続き、メキシコにてJICA民間技術普及促進事業によるR32冷媒を用いたインバータ空調機の普及事業を実施し、同国での低GWP冷媒転換や高効率空調機の普及支援を実施しました。
ブラジルでは2019年1月より同事業を開始し、国際機関等と連携の上、インバータ空調機普及に向けた活動を実施しています。10月にはブラジル政府関係者を招聘し、TICでの技術紹介に加え、経済産業省、省エネセンターとの意見交換を行いました。
サウジアラビアにおいても、2019年6月より経済産業省JCM実現可能性調査事業において実証試験を実施し、インバータ機の適正な評価に必要な国際規格の導入にむけた支援を行いました。