人材
ダイキンは、企業の競争力の源泉は「人」であると考えています。多様な人材が互いの価値観の違いを認め合い組織力を高め、大きな目標に挑戦していくことが、企業の力になると考えています。
そこで、「多様な価値観、勤労観を尊重しながら、お互いが違いを認め合い、協調し、持てる力を結集し、一人ひとりが常に夢を語りながら、熱い情熱とたくましい執念を持って果敢に実行するグループ」をめざすとグループ行動指針に定めています。
10.人権・多様性の尊重
私たちは、一人ひとりの人権を尊重し、「国籍」「人種」「民族」「宗教」「肌の色」「年齢」「性別」「性的指向」「障害の有無」等による差別となる行為は行いません。多様な価値観を受容し、一人ひとりの個性・強みを組織の力にまで高めていきます。
こうした考え方にもとづき、国籍、年齢、性別、性的指向、性自認、障がいの有無、定期採用・キャリア採用等にかかわらず、多様な人材の活用を進めるダイバーシティ・マネジメントに取り組んでいます。
ダイキンは、現地での雇用を基本としており、グループを構成する従業員は年々多様性を増し、外国籍の従業員や女性の比率も拡大しています。
2018 | 2019 | |||
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男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
従業員数 | 7,180 | 1,368 | 7,352 | 1,440 |
平均勤続年数 | 17.9 | 11.9 | 16.9 | 11.0 |
平均年齢 | 42.6 | 35.2 | 42.4 | 35.2 |
管理職数 | 1,063 | 59 | 1,100 | 63 |
役員数 | 47 | 1 | 48 | 1 |
外国人数 | 54 | 30 | 62 | 31 |
2018 | 2019 | |||
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会社数 | 従業員数 | 会社数 | 従業員数 | |
ダイキン工業(単独) | 1 | 7,254 | 1 | 7,499 |
国内グループ(ダイキン工業除く) | 30 | 5,243 | 29 | 5,380 |
米国 | 55 | 16,686 | 58 | 17,497 |
中国 | 33 | 19,194 | 36 | 18,996 |
欧州 | 80 | 9,034 | 78 | 9,407 |
アジア・オセアニア | 50 | 15,686 | 51 | 16,456 |
その他(中南米、中東、アフリカなど) | 43 | 3,387 | 61 | 5,134 |
合計 | 292 | 76,484 | 314 | 80,369 |
2018 | 2019 | |
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男性 | 55,415 | 58,229 |
女性 | 21,069 | 22,140 |
計 | 76,484 | 80,369 |
女性比率 | 28% | 28% |
ダイキンでは、国籍や性別等にかかわらず、すべての従業員が働きやすい職場づくりをめざしています。
ダイキン工業では、2018年度、役員・管理職およびリーダークラス約500人を対象に、LGBT※の基本知識や職場での対応など、実務に即した研修を開催し、LGBTへの理解を深めました。また、人事に関する規定で「結婚」と「性別」の定義を明らかにし、「事実婚(同性パートナーを含む)」や、「性自認による性(自分が自覚する性別)の選択」が認められるようになりました。
ダイキン工業は、2011年より、会社の重要施策のひとつとして、女性の活躍推進の取り組みを加速させています。
2019年度末現在、女性管理職は63人で、管理職および従業員の意識改革、仕事と育児の両立支援策の拡充などを実施しています。その結果、育児休暇から1年未満で復帰する人数は年々増加傾向にあり、女性活躍推進の取り組みを本格始動した2011年の約3割(9人、32%)から2019年3月時点で約5割(31人、49.2%)になりました。
また、2019年度も引き続き、女性管理職の早期育成のため、管理職やリーダー候補の女性を対象に、リーダー育成研修を実施しています。
その他にも各種研修やセミナー、交流会を実施し、女性活躍を推進しています。
こうした女性社員のキャリアプラン形成をサポートする取り組みが評価され、2020年3月、経済産業省と東京証券取引所が共同で女性活躍推進に優れた企業を評価し発表する「なでしこ銘柄」に、6年連続7度目となる選定を受けました。
なでしこ銘柄
TOPICS
ダイキン工業は、2019年10月に大阪大学と二つの教育プログラムを開始しました。「女性エンジニアリーダー育成プログラム」では、当社の若手女性技術者が理系女子大学院生とともに自分らしいリーダーシップを学びます。また、「育休中キャリアアップ支援プログラム」では、当社従業員が育児休暇中に大阪大学の授業を受講します。大学と企業が共同で行う教育プログラムの先駆けとなる事例で、女性のキャリアやスキルアップにつながっています。
ダイキン工業の女性の従業員比率は2020年3月末現在で16.4%(1,440人)となりました。
2013年度から技術系・技能系分野でも女性の採用を増やし、積極的に女性を採用する方針を掲げた結果、新規採用者全体に対する女性の定期採用者数の割合は、6年間30%以上を維持してきました。
2015年度からは大学と連携し女性のキャリア育成につながる講演会、懇談会、インターンシップを実施し、女性の採用強化に努め、従業員女性比率を製造業平均17%を目標に毎年100人規模の定期採用を実施してきました。
2018年からは、理系女性対象のインターンシップ、社員との懇談会を実施し、女性のキャリアを共に考える機会を持っています。
ダイキンでは事業のグローバル化の進展に伴い、経営のグローバル化を推進し、海外現地従業員の現地経営幹部への登用を積極的に進めています。また、グループ経営や各拠点の経営を任せられる幹部の育成策として、グローバル拠点の現地経営幹部向けの「グローバル経営幹部塾」を開催しています。
2019年度末現在、海外拠点の現地人社長の比率は47.1%、取締役の比率は48.6%にのぼるなど、外国人幹部の登用が進んでいます。
また、海外現地採用の従業員からも優秀な人材を発掘・育成し、ダイキン工業(グループ本社)の役員へ登用しています。
事業のグローバル化に伴い、ダイキン工業でもインド、中国等海外の大学を卒業したメンバーを積極的に採用しています。
2020年3月末現在、ダイキン工業で働く外国籍社員は93人で、国籍のダイバーシティの取り組みを進めています。
ダイキン工業では、事業のグローバル化に伴い、従業員の国籍も多様になってきており、ダイバーシティ推進の取り組みの一環で、外国籍社員の活躍推進の取り組みにも力を入れています。本社で働く外国籍社員も増加していることから、2018年10月に海外の新入社員・海外からの研修生向けに日本でスムーズに生活・仕事をスタートするための情報が記載された「Japan Living Guide」、2018年11月に外国籍社員を受け入れる職場向けにコミュニケーションや育成の仕方のヒントが記載されたハンドブックを作成しました。また、外国籍社員向けに日本語研修も実施しています。
TOPICS
外国籍社員向けワークショップを実施
国籍、人種、民族、宗教、言語に関わらず、多様な価値観を受容し一人ひとりの個性や強みを発揮できるような環境作りにつなげることを目的として、外国籍社員同士で自分自身の個性や強みを議論するワークショップを行いました。
他社共催外国籍社員向け「異文化・コミュニケーションセミナー」開催
川崎重工業株式会社、株式会社神戸製鋼所、住友電気工業株式会社と合同で、2019年11月「異文化・コミュニケーションセミナー」を開催し、「ホフステードの6次元モデル」という異文化を比較するツールを用いて自分の出身国と日本文化の違いを理解し、自分たちの個性や強みを日々の業務に生かす方法を学びました。
また他社の外国籍社員とのディスカッションや交流を通して新たな学び・気づきを得ることで視野を広げ、自身の仕事に対する意識を深めるきっかけにつながりました。
ダイキンは、「一人ひとりの成長の総和がグループの発展の基盤」との信念のもと、人の持つ無限の可能性を信じ、障がいの有無や程度にかかわらず、すべての人が能力を最大限に発揮し、意欲と誇りを持って働き続けられるグループをめざします。
ダイキン工業は1993年、「障害者の雇用の促進等に関する法律」にもとづき、大阪府、摂津市と共同出資して、特例子会社「株式会社ダイキンサンライズ摂津(DSS)」を設立。当初は障がい者16人でスタートしました。
2018年6月にはDSSの新事務所棟が完成。
障がい者にとって働きやすいよう配慮された事業所で、障がい者の能力を最大限に発揮できる機会を拡大しています。
日本国内グループでは法定(2.2%)を上回る2.5%の雇用率を目標にしています。
また、障がい者雇用をDSSだけではなく、ダイキン工業およびその他関係会社を含むグループ全体での取り組みとして強化しています。
2020年4月、ダイキン工業に障がいがある新入社員が3人入社しました。
2019年度末現在での障がい者雇用率は法定を上回る2.44%となっています。
ダイキンサンライズ摂津
海外グループ会社でも障がい者を積極的に雇用
中国の大金空調(上海)有限公司でも障がい者を積極的に雇用し、現在55人が在籍しています。2014年4月には、政府から身体障がい者の職業訓練基地と認められました。
また、2016年11月上海開放大学と上海教育テレビ局が共催する国際会議で“青春火焰”を踊り、内外ゲストの好評を得ました。
このように障がいがある従業員が自ら、社会活動にも積極的に参加しています。このほか、ダイキンインダストリーズタイランド社では25人、ダイキンコンプレッサーインダストリーズ社では17人の障がい者を雇用しています。
ダイキン工業では、2001年に希望者全員を65歳まで再雇用する制度を世に先駆けて導入しました。短時間勤務や登録型勤務など柔軟な雇用形態を整備し、定年後もスキル・ノウハウを生かせる場を提供しています。
制度導入以来、毎年100人を超えるベテラン層を再雇用し、2019年度には486人が在籍しています。そのうち24人は海外拠点で勤務し、優れたスキル・ノウハウを海外拠点においても伝承しています。
なお、高い成果を挙げた従業員に対しては再雇用後も業績に応じて賞与に加算する定額加算型報酬で処遇するなど、仕事への意欲向上を図っています。
2006年度の高齢者雇用安定法改正以降は国内関係会社でも再雇用制度を導入。本人が希望し、出勤率・評価など労使で決めた基準に適合する従業員を65歳まで再雇用しています。
今後、少子高齢化が進むなかでベテラン層の活躍推進の必要性はさらに高まると認識しています。ベテラン層一人ひとりの意向や専門性を十分に把握し、役割を明確にして活躍してもらうため、上司との対話の充実、適正な再配置などの施策を実施しています。
1979年 | 定年を55歳から60歳に延長 |
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1991年 | 希望者全員63歳までの再雇用制度 |
2001年 | 希望者全員65歳までの再雇用制度 |
2004年 | シニアスキルスペシャリスト契約社員制度 |
2005年 | ベテラン層活性化プロジェクト |
2006年 | 国内関係会社再雇用制度スタート |
ダイキン工業では、多様な人材がより一層力を発揮できる風土醸成・意識改革の取り組みとして、2019年度もさまざまな教育を行いました。
管理職については、自らのチームや組織を「多様な人材の能力・個性を最大限生かし、イノベーションを次々と生み出して成果を上げる組織」へと変革するために何をすべきかを考え、実行することを目的とし、前年に引き続き「マネジメント研修」を開催。計31人が受講しました。
若手社員については、自らのキャリアを自律的・長期的に考え、自己成長を加速するためのヒントやスキルを学ぶ「入社2年目対象 自己成長力強化研修」を2019年12月に開催。311人の若手社員が講義や同期とのディスカッションを通じて刺激を受け、改めて自分自身に向き合う場となりました。また、2019年6月には「入社4年目対象 自己成長力強化研修」も開催し、238人が参加しました。
また、海外赴任を予定している日本人従業員を対象に赴任前研修を開催しました。これは、現地に少しでもスムーズになじめるように、赴任する各地域の現状、人々の意識や価値観、ビジネスの際の留意事項などの知識の強化を図るとともに、グループ全従業員が共有すべき求心力としてのグループ経営理念について理解を深めることを目的としたものです。2019年度は計88人の従業員が受講しました。