人材
ダイキンは、グループ経営理念や「人を基軸におく経営」の実践が当社グループの成長に欠かせないと考えています。「国籍・年齢・性別にかかわらず、一人ひとりの成長の総和がグループ発展の基盤」であるという考え方を企業理念の一つとして掲げ、「人は仕事の経験を通じて成長する」という考えのもと、人材育成は一人ひとりの適性を見極めて仕事を任せチャレンジさせるOJT※1を基本にしています。また、OJTを補完するものとして、グローバル事業の第一線で活躍できる経営幹部層を育成する「ダイキン経営幹部塾」や若手をグローバル人材として育成するための「海外拠点実践研修」など、Off-JT※2も含めた育成の機会の充実を図っています。また、語学研修、通信教育などの受講を支援し、自主的に学ぶ機会を提供しています。
2015年度からは、グループ経営や海外拠点の経営を任せられる外国人経営幹部の育成策として、「グローバル経営幹部塾」を開催しています。次代の幹部候補を含めた幹部人材に対して、ダイキンの企業文化や独自のマネジメントの考え方を学ぶための研修プログラムとなっています。
グローバルな事業展開を背景に、異なる価値観を持つ人々を一つの方向にまとめるリーダーシップとマネジメント能力を持つ人材を育成することが重要であると考えています。
そこでダイキンは、下記施設などで、さまざまな研修を行っています。
今後、グローバルな採用力の強化、国・地域を越えた人材の配置、競争力ある評価・処遇制度の構築など、人材力の強化を加速する人事制度の構築や、部門・拠点間のコミュニケーションの促進など図っていきます。
グローバル研修所 「ダイキンアレス青谷」 |
2008年5月、鳥取県に設立。 2018年には「技能・技術・サービスエンジニア研修機能」を備えた施設を増築。 2019年度は16,750人以上の従業員が利用しました。 |
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セミナーハウス 「オー・ド・シエル蓼科」 |
人材力強化に向けたグループ全体の研修ニーズに対応するため、2014年6月、長野県のダイキン工業の従業員保養施設に研修所を増築。合宿や研修の場として利用。 |
グローバル研修所
「ダイキンアレス青谷」
セミナーハウス
「オー・ド・シエル蓼科」
新人社員研修 | 毎年、グローバル研修所「ダイキンアレス青谷」で、5泊6日の新入社員合宿研修を実施しています。 2019年で第47回目となる合宿研修は、4週間にわたり、定期採用者・全キャリア入社者537人を対象に行いました。 また、200人を超える経営陣・先輩社員がリーダーとして参加しました。 新入社員とリーダーが寝食・プログラムをともにしながら、従業員のベースとなる「人を基軸におく経営」「求める社員像」について、ディスカッションや行動プログラムなどの体験を通して学び取ることをめざしています。 |
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海外拠点実践研修 | 将来、グローバルに通用する人材を育成するため、若手メンバーを対象に、海外に1年から最大2年間派遣する研修を実施。 通常の海外出向とは異なり、現地の販売代理店・取引先、事業提携先、大学などにおいて実践的なテーマを持ち、既成概念に捉われないチャレンジ精神と異文化のなかでのコミュニケーション能力を身に付けることが目的です。 2019年度は29人が参加し、1999年度からの累計派遣人数は313人になりました。 |
海外人材対象の「グローバル・トレーニング・プログラム」 | 2015年度から、海外の若手従業員を研修生として日本に受け入れる「グローバル・トレーニング・プログラム」を開始。ダイキン工業本体での研修を通じて、技術・品質・生産技術などへの理解を深め、今後の各国・各事業での業務に役立ててもらうことが目的です。 2019年度は、8人(タイ7人、ベトナム1人)の研修生を開発、生産技術、品質管理、グローバル戦略本部で受け入れ、2015年度からの累計研修生人数は33人となりました。 |
国内留学 | 技術力の向上、MBAの取得、視野の拡大、幅広い人脈の構築などを目的に、国内の大学に若手従業員を派遣し、その育成に努めています。 2019年度は、豊田工業大学に5人の従業員を派遣しています。 |
ダイキン経営幹部塾・グローバル経営幹部塾 | ダイキン経営幹部塾はダイキン工業の幹部候補者層を対象に、グローバル経営幹部塾は海外拠点の幹部層(外国人)を対象にした、次世代経営者育成のための研修です。グループ経営理念や「人を基軸におく経営」にもとづくリーダーシップを発揮して、グループ全体最適の視点で経営・事業をリードする幹部の育成をめざしています。 2019年度までの累計受講者数は、ダイキン経営幹部塾253人、グローバル経営幹部塾191人となりました。 |
グローバル経営幹部塾
ダイキンはモノづくりの基本となる技能を伝承する人材の育成にも取り組んでいます。ダイキンは、高い技能と知識、指導力を持つ「卓越技能者および高度熟練技能者」を生産に携わる従業員のうちグローバルで4人に1人にするという目標を掲げており、国内では2019年度の認定者数は3.2人に1人でした。海外での事業拡大に伴い、グローバルでの育成も強化しています。
ダイキン工業は「卓越技能伝承制度」を設け、モノづくりのベースとなる熟練技能を次世代に継承していく取り組みを続けています。
空調部門では、ろう付け、旋盤加工、板金加工、アーク溶接、金型製作、治工具仕上げに関する卓越技能者を「マイスター」として認定しています。
化学部門では、卓越技能者を「エキスパート」に認定しています。これらの「マイスター」「エキスパート」は、国内外の拠点で、その卓越した技能を伝承し、技能者・指導者の育成にあたっています。
2010年4月には、製造支援を担う人材の不足を補うために、将来の「マイスター」「エキスパート」候補人材を育成する制度として「トレーナー制度」を新設しました。
2017年には、化学部門として、化学オペレーショントレーナを追加しました。 これら「マイスター」「エキスパート」「トレーナー」を講師に迎え、国内外の生産拠点から選抜された従業員を対象に、技能研修会を定期的に開催しています。
2019年度末現在で空調部門の「マイスター」は34人、「トレーナー」は115人(国内31人、海外拠点84人)、化学部門の「エキスパート」は8人、「トレーナー」は10人(国内6人、海外拠点4人)が登録されています。
海外での新工場建設やM&Aによる拠点の拡大に伴い、海外拠点での技能水準の向上が急がれます。2020年度までに「トレーナー」を129人に増やし、対応する予定です。
TOPICS
製造現場での技能力向上を目的に、国内外の生産拠点を対象とする「技能オリンピックグローバル大会」を2年ごとに開催しています。組み立て・解体などの実技に加え、作業現場で起こるアクシデントに適切に対処できるかを確認するペーパーテストも行います。
「技能オリンピック」を開催しない年には、次期指導者育成に向けた「技能研修会」を開催しています。「マイスター」「エキスパート」「トレーナー」が講師になり、国内外の生産拠点から選抜された従業員にダイキン流「人づくり・モノづくり」を伝授します。 2019年度は国内の生産拠点から10人、海外からは11人の従業員が参加しました。化学部門からは国内の生産拠点から3人、海外からは2人が参加し、シミュレータによる化学工学(蒸留、物質収支、熱収支)の基礎を学びました。
また、海外のグループ会社やエリアごとに技術コンペを開催し、拠点ごとの技能伝承の進捗状況や課題、目標を共有しながら、グループ全体で高い技能を有する人材育成に努めています。
技能オリンピック
ダイキン情報技術大学は、産業構造や社会構造の大きな変革期に対応するために、「AI・IoT人材」※の育成のために設立した機関です。
大阪大学を中心とした教育機関、先端研究機関などの講師を招いて、数学などの基礎知識からプログラミング、機械学習やAI応用まで幅広い教育を行っています。
管理職、既存社員、新入社員それぞれの育成を加速し、2020年度末に700人、2021年度末に1,000人のAI・IoT人材育成を目標に取り組みを進めています。
2019年度には新入社員100人が新たに入学し、2018度の実施内容を踏まえ、内容をブラッシュアップした研修を行いました。
また、2019年9月には全役員を対象とし、「AIは企業の可能性をどのように広げ得るのか」を議題にAIの研修(講演)を実施しました。
講座名 | 目的 | 講座内容 |
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新入社員向けAI・IoT人材育成講座 | 空調技術などがわかるダイキン独自のAI・IoT専門人材の育成 | 【1年目】 AI知識講座(大阪大学によるAI技術の活用講座)、実データ分析AI演習、IoT知識講座、事業部知識・ビジネスモデル講義 ほか 【2年目】 PBL(現場データを活用したプロジェクトベースの演習) |
AI技術開発講座 | AIの技術手法の開発や、AI開発を外部に委託・発注できる人材の育成 |
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システム開発講座 | AIを既存システムに導入するために必要なシステムの開発、システム開発を外部に委託・発注できる人材の育成 |
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管理職向けAI活用講座 | AIを用いた事業・業務改善の立案・推進ができる人材の育成 |
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全従業員向けAI活用講座 | AIリテラシー向上のための啓発教育 |
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ダイキン工業では、1994年から生産現場の改善活動に取り組むベテラン層で構成する「カイゼンチーム」に、生産部門の若手従業員を「社内留学」させる取り組みを続けています。
4~6カ月の留学期間中、若手従業員1人に2~3人のベテラン従業員がついて指導にあたります。電気回路設計などの座学をはじめ、板金加工、アーク溶接、回路の応用など、その年のテーマに応じた実習を受講させています。
留学の対象は当初の中堅従業員から、最近は技術・技能伝承を目的とした若手従業員に移行しています。社内留学は技術・技能の継承にとどまらず、日頃交流の少ないベテラン従業員と深くかかわる機会となり、若手従業員の意識向上にも役立っています。
特に空調製造部においては、現場の従業員が自ら改善保全活動を素早く実行できるようになり、生産性向上に役立っています。
2019年度までで、堺製作所ではのべ173人、滋賀製作所ではのべ128人の従業員が社内留学を経験しています。
化学部門では2018年度には新規トレーナーが認定され、技能教育(異常・変調)や、基本動作の教育等を実践しています。さらにトレーナーを増やし、引き続きオペレーターを対象に技能教育を継続しています。
ダイキンは、空調を普及するうえで欠かせない技術者の育成のため、特に新興国の技術系学生の育成や就業支援に取り組んでいます。