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ニュースリリース

2021年3月9日

  • 研究開発 研究開発

純国産・医療用高性能マスクの共同開発について 
~量産試作品の院内評価開始~

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国立循環器病研究センター
株式会社クロスエフェクト
ニプロ株式会社
ダイキン工業株式会社

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:小川久雄、略称:国循)の西村邦宏予防医学・疫学情報部長及び白石公教育推進部長と、株式会社クロスエフェクト(京都府京都市、代表取締役:竹田正俊、以下クロスエフェクト)と、ニプロ株式会社(大阪府大阪市、代表取締役社長:佐野嘉彦、以下ニプロ)と、ダイキン工業株式会社(大阪府大阪市、代表取締役社長兼CEO:十河政則、以下ダイキン工業)は、令和2年9月2日付プレスリリースでお知らせした通り四者による開発チームを結成し、純国産・医療用高性能マスクの共同開発を行っております。この度、新たに作成した量産試作品(図1)について、国循において評価試験を開始することになりましたのでご報告致します。

なお、本開発は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和2年度医療研究開発推進事業費補助金(補助事業名:ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援)、研究開発課題名:新型コロナウイルス感染防止用新型高機能マスク(N95相当)の開発および実証化に向けた研究)のもとで実施しており、国産で生産性が高く、日本人の顔面形状に適したN95(注1)相当マスクの早期提供開始に努めます。

開発状況

コロナウイルス診療における医療関係者の感染防御には、米国・国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health: NIOSH)の規格を満たしたN95マスクが必須ですが、今なお爆発的需要増大のもとで世界的に枯渇した状況にあります。

開発チームによる共同開発の結果、N95相当の医療用高性能マスクの量産試作モデルの仕様が確定しました。ダイキン工業は息がしやすくかつ高性能のフィルター効果が持続する濾材(フィルターを構成する空気濾過用の材料)の開発に世界で初めて成功し、この濾材を用いてマスク用フィルターを製造しました。クロスエフェクトは上記フィルターをもとに、国循内のオープンイノベーションラボ(注2)を活用し、精密 3D プリンティングを応用した特有のRapid Prototype 技術(金型を使わずに迅速に試作品を製作する技術)を用いた試作を繰り返しました。N95規格を制定するNIOSHの規格に従いながら、マスクの機能性、デザイン性、小型化などの課題を解決し、洗練されたデザイン設計に至りました(図1)。ニプロは量産化を目指し、各部材の最適化設計を行いました。量産を考慮した部品等の考案や各部材の構造見直し、成型方法の検討を行い、生産・量産に適した設計及び量産体制の構築に至りました。

このように開発された新規開発マスクについてN95規格に準じた試験を外部試験機関において実施した結果、N95規格で定められた値より粒子捕集効率が高く(=エアロゾル等の微細粒子を通しにくい)、かつ吸気抵抗が低い(=呼吸がしやすい)ということを示す結果が得られました(図2)

試験評価方法

国循では、国循病院内にて約300名の医療従事者を対象にして、令和3年2月10日から約1カ月の間、新規開発マスクの評価アンケートを実施しております。対面による患者の診察対応時や、エアロゾルが発生するような手技(気管内吸引、気管内挿管、下気道検体採取、内視鏡検査等)を伴う診療場面等で新規開発マスクを着用し、連続作業可能時間、使用者の主観による呼吸のしやすさ等の評価を行っております。

また、3月中に新規開発マスクを用いたボランティアによる心肺運動負荷(CPX)試験を実施します。ボランティア20名に新規開発マスク及び既存メーカー複数社のN95マスクを着用していただき、軽度の労作下における血圧、心電図、呼気ガス運動耐用能および連続作業可能時間等について評価を行うことで、新規開発マスクと既存品との比較を行います。

さらに、3月以降には飛沫挙動シミュレーションによる評価も予定しております。

今後の展望

上記の国循における評価を通じて、開発品の臨床での使用上の問題点を追及し、改良を行ったうえで最終的な形状を確定します。形状確定後、ニプロにて量産を行う予定です。なお、当面は1サイズですが、将来的には複数サイズでの展開をする予定です。

日本国内での販売は2021年6月上旬を予定しております。国内販売開始に向け、国内での安定供給を最優先に設備投資等の準備・強化を進めてまいります。

注釈

(注1)
N95規格(米国労働安全衛生研究所が制定した呼吸器防護具の規格基準)を満たすマスク。
5μm以下の微細粒子(飛沫核等)を95%以上捕集することで、着用者のウイルス等病原体の感染リスクを減じることができる。
(注2)
国循と協働する外部機関を“一つ屋根の下”に結集した研究拠点。民間企業、大学などの外部機関が、循環器疾患等の様々な疾患の治療、健康維持・増進に関する幅広い分野における共同研究(産学連携活動によるアカデミア発研究成果の社会実装)を促進する。 現在約20社(組織)が入居している。

図1:量産試作品の外観形状

図2:国立循環器病研究センターで行う評価項目

報道機関からのお問い合わせ先

ダイキン工業株式会社 コーポレートコミュニケーション室

本社(06)6373-4348/東京支社(03)6716-0112
E-mail: prg@daikin.co.jp

国立循環器病研究センター

総務課広報係 (06) 6170-1070(内線番号31120)


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予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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