A. R32は環境性/エネルギー効率/安全性/経済性のすべてに
バランスの取れた冷媒だからです。
ダイキンはこれまでさまざまな冷媒(R32、混合冷媒、自然冷媒、HFOなど)について、4つの基本的な指標(環境性、エネルギー効率、安全性、経済性)をもとに、多面的な評価を実施してきました。
その結果、現時点ではスプリット型エアコンや一体型エアコンではR32が最適な冷媒であると考え、順次商品化を進めています。
R32はオゾン層破壊係数(ODP)がゼロで、地球温暖化係数(GWP)が675であるため、従来冷媒のR410AやR22に比べて環境への影響が低減されます。また、R32は効率の良い冷媒であるため冷媒充填量もR410Aと比べ30%削減させることが可能です。したがって、R32への冷媒転換だけで76%削減(GWP×機器の充填量)できる可能性があります。
R32はR22やR410Aに比べて1.5倍の冷凍能力を有します。このような特性から、R32の期間エネルギー消費効率は従来の冷媒よりも高く、ピーク電力使用量も少ないため、夏場の電力需要ピーク時の電力不足の緩和にも寄与します。
冷媒の安全性を規定する国際規格、ISO 817:2014では、燃焼性の区分は4つ(不燃性:Class1、微燃性:Class2L、燃焼性:Class2、強燃性:Class3)に分類されており、R32は微燃性:Class2Lに区分されています。Class2Lは最も弱い燃焼性区分であり、燃焼速度が10cm/秒以下と遅く、燃焼したときの火炎が水平方向に伝播しないことが特徴で、万一燃焼したとしても、爆発燃焼が生じないことを意味しています。また、機器に使用する際は、リスクアセスメントを実施し、安全に使用できることを確認しています。
燃焼性区分 | 低毒性 A | 高毒性 B | |||
---|---|---|---|---|---|
Class 3 | 強燃性 | A3 | プロパン(3), イソブタン(4), その他 | B3 | n/a |
Class 2 | 燃焼性 | A2 | R152a | B2 | R40, R611 |
Class 2L | 微燃性 | A2L | R32(675), R1234yf(4), R1234ze(E)(6), その他 | B2L | アンモニア |
Class 1 | 不燃性 | A1 | R410A(2090), R134a(1430), R407C(1770), その他 | B1 | R123, R245fa |
A2LとB2Lは燃焼速度10cm/秒以下の微燃性冷媒に区分されます。
括弧内には、IPCC4次レポートに基づくGWP値を記載しています。
括弧内に安全性区分を記載しています。
出典:一般社団法人日本冷凍空調工業会(JRAIA),微燃性冷媒リスク評価研究会 2013年プログレスレポート,
2014年4月,日本冷凍空調学会
燃焼区分 | Class 3 | Class 2 | Class 2L | |
---|---|---|---|---|
A3 | A2 | A2L | B2L | |
冷媒 | プロパン | R152a | R32 | アンモニア |
GWP | 3 | 124 | 675 | 0 |
燃焼速度 | 39 cm/sec | 23 cm/sec | 6.7 cm/sec | 7.2 cm/sec |
燃焼熱 | 46 MJ/kg | 16 MJ/kg | 9 MJ/kg | 19 MJ/kg |
燃焼時の状態 |
2L冷媒は燃焼速度が遅いため、水平方向に火炎伝播しません。
また、R32の燃焼熱は小さく、燃焼炎による衝撃の範囲も限定的です。
注記: GWP値は、IPCC第4次評価報告書を参照
より詳細な燃焼性のリスク評価については、以下のウェブサイトもご覧ください。
A. 世界で約2.8億台以上※1のR32機が普及しており、
CO2排出抑制効果は約4.5億トン※2となっています。
2012年11月、ダイキンは世界に先駆けてR32を使用した住宅用空調機を日本で上市。これを皮切りに、現在では130以上の国と地域へR32を使用した空調機を4,900万台以上投入しています。空調機にR32を選択するメーカーは増え続け、他メーカーを含めるとグローバル累計販売台数は約2.8億台以上※1と推定しており、R32空調機のCO2排出抑制効果は約4.5億トン※2になると試算しています。冷媒がすべてR410AからR32へ転換された場合、2030年における温暖化削減効果はアマゾン熱帯雨林が1年間に吸収するCO2の半分以上に相当する約8億トン(CO2 換算値)に達すると予測しています。今後もダイキンはR32を使用した機種拡大に向けて、技術開発を進めていきます。