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ニュースリリース

2026年3月17日

  • 研究開発 研究開発

次世代空調制御「スイッチレス空調」を用いZEB物件で年間約25%の省エネ効果を確認

ダイキン・大阪大学・アイティフォー・東急不動産がオフィスビルで共同実証

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ダイキン工業株式会社
国立大学法人大阪大学
株式会社アイティフォー
東急不動産株式会社

ダイキン工業株式会社と国立大学法人大阪大学は、東急不動産株式会社が運営する一番町東急ビル(東京都千代田区)に入居している株式会社アイティフォーの区画にて、省エネと快適性の両立をめざす「スイッチレス空調」について実証実験を行いました。1年間にわたる実証実験の結果、快適さを維持しながら空調機の消費電力量を年間で24.6%削減する効果を確認しました。

プロジェクトの概要

近年、脱炭素化への要請が高まる中、オフィスビルや工場施設など、建物の消費電力削減は重要な課題となっています。一方で、多くの建物では居住者による過剰な温度設定や退室時の切り忘れなどにより、無駄な電力が生じています。空調機の高効率化に加えて、建物全体で空調の運用を最適化することはさらなる省エネ効果につながると期待されています。

「スイッチレス空調」は、温湿度やCO₂濃度など、建物内外の環境情報を各種センサで取得し、自動的に空調制御を行うシステムです。建物内は、熱負荷として、人の在室状況や照明、日射などの影響を絶えず受けています。この熱負荷の変化をリアルタイムで把握し、最適な空調制御を行うことで、省エネルギー性と快適性を両立します。

今回の実験では、2025年1月から同年12月の間、東急不動産が運営する「一番町東急ビル」において「スイッチレス空調」を導入し、実際に稼働している環境での省エネ性を評価しました。本システムを導入した結果、空調・換気に関わる消費電力量を年間で前年比24.6%削減しました。特に暖房を使う期間では52.1%削減しました。また、実証実験後に行ったアイティフォー内のアンケートでは、省エネ効果を実現しつつ、快適性も維持されていることが分かりました。

一番町東急ビル外観・エントランス

本建物は改修工事を経て、2023年に建物の省エネルギー性能を示す建築評価「ZEB Oriented」※1を取得しています。実証実験を通じて、「スイッチレス空調」は、省エネルギー設計が施されたビルにおいても、運用面の効率化によりさらなる省エネ性向上を実現することを確認しました。

※1
延床面積10,000m2以上の非住宅建築物において、一次エネルギー消費量を40%以上(用途により30%以上)削減した建築物。
詳細は、2023年12月18日付リリース(https://www.tokyu-land.co.jp/news/2023/001136.html)をご参照下さい。

スイッチレス空調の概要

「スイッチレス空調」は、建物内外の環境情報を外部センサ※2で常時取得し、エッジサーバ※3で解析・判断した結果を、既存のビル用マルチエアコンや換気・調湿設備へ指令※4を出すことで、人がリモコンを操作することなく空調を自律的に最適制御する仕組みです。センサ群は温湿度、CO2、気象データなどを収集し、エッジサーバ上で最適な空調制御を推定、スケジューリングを行います。サーバは予冷・予熱制御、室内機台数・風量制御、換気量制御などのロジックを統合し、快適性を維持しながら低負荷時の非効率運転等を抑えます。

今後、本システムをダイキンのソリューションサービスの追加オプションとして導入することを視野に入れ、今回の実験結果を活用していきます。

実証実験の概要

本実験は、東急不動産が運営する「一番町東急ビル」のアイティフォーが入居するフロアの一部(約500m2)を対象に、2025年1月から1年間実施しました。ダイキンと大阪大学※5が共同研究を行う「スイッチレス空調」を導入し、外部センサとエッジサーバを活用した自動制御により、運用段階での省エネ効果と快適性の両立を検証しました。

【 導入した主な制御機能 】

省エネ
予冷・予熱制御
日々のデータから、部屋の冷えやすさ・暖まりやすさ、および空調機の負荷率ごとのパフォーマンスを算出。その日の室温や外気温を考慮し、従業員が出社する前に行う予冷・予熱を行うことで、開始時間および負荷率が最も省エネルギーとなるよう自動制御。
室内機ファン
動力低減制御
温湿度・CO2センサ等、室内の外部センサ情報をもとに室内機を必要台数のみ稼働させ、室内機ファンの動力を低減。
CO2換気量制御
( DESICA連携 )
CO2センサをもとに換気量を自動で調整し、DESICA※6の運転時間を削減。
低負荷時
最適運転制御
低COP帯で系統を一時的に輪番・停止制御し、高効率運転を維持。
※2
センサ情報収集部:EnOcean通信規格のセンサと連動して室内環境情報を収集。
※3
エッジサーバ: LINUX OSの制御用ボックスPC。室内環境と空調情報をもとに各機能の演算を実行。
※4
信号転送部:ダイキン製集中リモコン経由で各機能の制御結果を実際に実行。
※5
大阪大学 大学院工学研究科 下田吉之教授、大阪大学 サステイナブルキャンパスオフィス 鈴木智博准教授らが、Di-CHiLD「ダイキン情報科学研究ユニット」の取り組みの一環で実施。
※6
DESICA:水配管なしで加湿・除湿を行えるダイキン製の調湿外気処理機。

実証結果(詳細)

夜間の空調つけっぱなし運転や過剰な予冷・予熱を防止する「省エネ予冷・予熱制御」、ならびにDESICAの無駄な運転を抑制する「CO2換気量制御」などを導入した結果、年間を通じて空調総消費電力を24.6%削減しました。特に、室内のCO2濃度および湿度に応じて風量を自動調整する「CO2換気量制御」は、在室状況や室内環境に応じた最適な換気量制御を可能とし、不要な換気運転を抑制することで、消費電力削減に大きく寄与しました。さらに、冬期には室内の外壁や窓に近いエリアと中央部との温度差により、冷房運転と暖房運転が同時に発生する冷暖混合ロス※7が生じ、無駄な消費電力が発生していました。今回、「低負荷時最適運転制御」を導入し、室内温度を均一化することで冷暖混合ロスを解消した結果、暖房期における消費電力量を52.1%削減することができました。同時に、室内のセンサ情報からは、快適な室内温度が維持されていることも確認しています。

期間 消費電力量の変化 削減率
年間 −7,912 kWh −24.6%
暖房期(1,2,3,12月) −4,969 kWh −52.1%
冷房期(6,7,8,9月)※8 −1,637 kWh −9.4%
中間期(4,6,10,11月)※9 −1,306kWh −25.3%

年間 -24.6%

暖房期 -52.1%

冷房期 -9.4%

中間期 -25.3%

【 実証実験の条件 】

実証場所 一番町東急ビル(東急不動産管理運営)
対象区画 アイティフォー区画(一部)
実証面積 約 500m2
実証期間 2025年1月 ~ 2025年12月(1年間)
空調機の種類 ビル用マルチエアコン:室内機15台、室外機2台
換気・調湿設備:DESICA4台
導入した制御機能 ①省エネ予冷・予熱制御 ②室内機ファン動力低減制御 ③CO2換気量制御 ④低負荷時最適運転制御
外部センサ種別 温湿度、CO2、外気象データなど
※7
同じ空間・同じ時間帯に、室内の温度ムラにより冷房運転を行う室内機と暖房運転を行う室内機が同時に稼働し、エネルギーを相互に打ち消してしまうことで生じる無駄な消費電力。
※8
4,5月:-395kWh(-15.1%)、10,11月:-911kWh(-36.1%)
※9
夏季においては、従来の利用方法が既に高効率な稼働状態。

【アイティフォーコメント】

サステナビリティ推進の一環として、省エネと快適性の両立をめざす本実証に参加できたことを意義深く受け止めています。実証実験後の社内アンケートでは、社員からも、業務への支障なく快適に執務できたとの声が寄せられました。今後、制御精度をさらに高めていただくことで、より快適な職場環境の実現につながると期待しています。未来のオフィスに向けた貴重な検証として、引き続き積極的に協力してまいります。

今後の展望

建物性能の向上に伴い、空調機単体の高効率化にとどまらず、建物全体の省エネルギーを見据えた空調運用の最適化が重要となる局面を迎えています。本実証実験により、既存ビルに後付けセンサとソフトウェア制御を組み合わせることで、新たな省エネの可能性を確認しました。今後は得られた知見を基に適用範囲を拡大し、空調によるエネルギー負荷低減と快適性の両立を通じて、建物運用の脱炭素に貢献していきます。
また、入居テナントの快適性を損なうことなく省エネ制御を行うために、既存機器や既存システムを利用したシステムの構築を確立したいと考えています。

既存ビルZEB化

国内では、新築ビルでのZEB水準目標が先行し竣工事例が出ているものの、既存ビルでのZEB化はまだ事例が少なく、既存ビルの環境負荷低減は社会課題とされています。東急不動産では、既存ビルにおいても計画的にZEB化を進めており、この度実証実験をした一番町東急ビルでは2021年1月にZEB化改修工事を完了し、2023年12月に「ZEB Oriented」を取得しています。改修工事前と比較して、電気使用量を39%削減※10し、省エネとエネルギーコスト削減に寄与しています。

東急不動産は、オフィスビルの稼働を維持しつつZEB水準のビルとしての付加価値を高める改修工事を実施することにより、入居企業とその価値を共有しながら良好なパートナーシップを構築し、さらには施設の長期安定した運営にも大きく貢献することを目指し、脱炭素社会実現へ向けた取り組みを本格化してまいります。

※10
改修前後で同一の企業が使用している区画を選定して比較(6フロア)。

ダイキン工業株式会社について

ダイキンは世界に130以上の生産拠点を持ち、170以上の国・地域で事業を展開する空調のリーディングカンパニーです。従業員は全世界で約10万人を擁しています。生活に欠かせない社会インフラである空調事業を通じて、さまざまな気候において室内の空気環境を改善し、快適な空間づくりと人々の健康に貢献しています。現在、世界の空調台数が2050年までに3倍になると予測される中、空調の使用に伴う電力需要の増大が大きな課題となっています。ダイキンのミッションは、安全・安心で快適・健康な空気環境を提供しながら、地球温暖化の影響を可能な限り抑制することです。「空気で答えを出す会社」を掲げるダイキンは、多様なにニーズや文化に対応した商品・サービスを世界に提供していきます。

ダイキンと大阪大学は、2017年に情報科学分野を中心とした包括連携契約を締結しています。ダイキンがもつ空調技術や産業技術に関する幅広いノウハウと、大阪大学の先進的な情報科学分野の知見を結びつけ、世の中に新たなイノベーションを生み出すことを目的とした取り組みです。

公式HP:https://www.daikin.co.jp

国立大学法人大阪大学について

大阪大学は、大阪の政財界ならびに大阪府市民の強い要望を受け、1931年に帝国大学の一つとして創立されました。その精神的源流は江戸時代の学問所であった懐徳堂と適塾に見出すことができます。2007年には大阪外国語大学と統合し、外国語学部のある総合大学になりました。人文・社会科学系、医歯薬学系、理工学系の充実した11学部、15研究科、6附置研究所等を擁する我が国有数の研究型総合大学です。2031年に創立100周年を迎える大阪大学は、「地域に生き世界に伸びる」をモットーに、社会との共創により、地域から世界に及ぶさまざまな課題に果敢に挑戦し解決を図ることで「生きがいを育む社会」を実現していきます。

公式HP:https://www.osaka-u.ac.jp/

株式会社アイティフォーについて

アイティフォーは、社会や人々の多様なニーズにITサービスで応える企業です。金融機関や地方自治体、小売業/EC事業者向けサービスをはじめ、キャッシュレス決済、コンタクトセンター、セキュリティ・基盤など幅広い分野におけるサービスの提供を通じて地方創生を支援し、「寄り添うチカラ」で人々の感動と笑顔を生み出す社会づくりに貢献します。

公式HP:https://www.itfor.co.jp

東急不動産株式会社について

東急不動産は環境先進企業として、RE100の認定や再エネ事業など事業に則した環境課題への取り組みを行っています。「環境で選ばれる施設」となるオフィスビルや商業施設を目指すべく、25社のパートナー企業との廃棄物削減・再生利用等を目的とした「ゼロエミッション倶楽部®」の設立、難易度の高い既存マルチテナントビルにおけるZEB化改修工事などの取組み、屋上菜園活動「Vegetable Smiles(ベジスマ)」を通じ交流機会創出などを行っています。また、都市部の魅力をさらに高め、ネイチャーポジティブ化を推進する「GREEN UP&COOL DOWN PROJECT」に取り組んでおり、今後も様々なステークホルダーと協業しながら環境課題の解決に向けた取り組みを推進し、共創による事業機会の拡大を図ってまいります。

公式HP:https://www.tokyu-land.co.jp/
GREEN UP&COOL DOWN PROJECT:https://www.greenup-cooldown.jp/

報道機関からのお問い合わせ先

ダイキン工業株式会社 コーポレートコミュニケーション室

本社
〒530-0001 大阪市北区梅田一丁目13番1号(大阪梅田ツインタワーズ・サウス)
TEL (06)6147-9923(ダイヤルイン)
東京支社
〒104-0028 東京都中央区八重洲二丁目2番1号(東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー)
TEL (03)3520-3100(ダイヤルイン)
E-mail
prg@daikin.co.jp
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