由良:省エネが重視される背景には、昨今の大きなテーマとしてエネルギーの安定供給と地球温暖化防止の推進、更にはカーボンニュートラルの実現があります。その中で、エネルギーを多く消費し、環境負荷が高いものの1つに空調機があり、建物(オフィスなど)の消費電力の大半は空調機で占められていることから、政府や企業が掲げる環境目標の達成には空調機の省エネが特に重要となっています。
由良:省エネが重視される背景には、昨今の大きなテーマとしてエネルギーの安定供給と地球温暖化防止の推進、更にはカーボンニュートラルの実現があります。その中で、エネルギーを多く消費し、環境負荷が高いものの1つに空調機があり、建物(オフィスなど)の消費電力の大半は空調機で占められていることから、政府や企業が掲げる環境目標の達成には空調機の省エネが特に重要となっています。
由良:今回開発した遠隔自動省エネ制御には、3つのコア技術が活かされています。
● 建物の熱負荷予測モデル自動構築/更新技術
● 熱負荷予測技術
● 先回り制御(フィードフォワード制御)技術
この遠隔自動省エネ制御では、運転データに基づき空調空間の熱負荷を予測し、空間の熱負荷と空調能力がバランスする最適な制御設定値を先回りして自動でチューニングします。これにより実運用条件下の空間の熱負荷に合わせた空調能力を供給することができ、機器単体よりも更に省エネな運転を実現しました。
吉田:実際の熱負荷を物件ごとに考える際、まずは図2のような部屋を想定します。部屋の内外での熱の出入りに関連する主な要素は次の通りです。
● 窓から入る太陽光による熱
● 室温と外気温の差によって出入りする熱
● 隙間風や換気装置によって出入りする熱
● 人やオフィス機器から発生する熱
これらを総じて空調機が処理すべき熱負荷として考慮することで、高精度な熱負荷予測を実現します。これらの熱負荷要素を計算するには、窓や壁のスペックを把握する必要がありますが、こういった情報を建物図面等から調査し、システムへのデータ登録を行うには多くの工数がかかるため、事業化の大きな障壁でした。また、入手できた図面情報も、その後のレイアウト変更や改修工事等が反映されていないこともあり、正確性に欠けるといった課題もありました。
これら課題の解決のため、手間をかけずに熱負荷モデルを構築する新たな方法を検討しました。実運用条件下の空調機の空調能力を正解データとして蓄積し、正解データとの誤差が小さくなるように窓や壁のスペックを学習する方法です。この方法は全自動のため、定期的にモデル更新を行うことで、モデルの性能劣化を防ぐことも可能です。その結果、人手をかけずに熱負荷モデルを構築/更新することに成功しました。結果、運用工数を約9割削減することができ、事業化に繋がりました。この徹底した省エンジの追求が、ブレイクスルーの要因だと考えています。
由良:今回開発した技術は、業務用マルチエアコン向けにエアネットサービスシステム(※1)として2024年秋に、DK-CONNECT(※2)として2025年春に正式にリリースしています。
このようなAIやIoT技術を活用した省エネ技術を、ルームエアコンのような小規模のものから、ターボ冷凍機のような大規模な領域まで適用していきたいと考えております。このような展開を通じて、グローバル全体で空調機の省エネ化を行い、カーボンニュートラル実現に貢献していきたいと考えています。