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空間を創造するプロダクトデザインの未来

プロダクトの価値転換のために

エアコンは室内空間に置かれるモノとして、家具や照明などと比べるとまだまだ歴史が浅く、そのあるべき姿はこれから形づくられていくものだと考えています。そういった新しい価値・文化を創造できる可能性にやりがいを感じ、エアコンのデザインに携わっています。

従来のエアコン開発では機能性を突き詰めることで、製品は厚みを増し重々しくなりがちでした。かといって性能を犠牲にすることで外観を優先させても、なかなか選んでもらえません。かっこよくても横幅が大きくて設置できない、部屋が広く容量が足りない、といった空調設備としてクリアすべき課題があるからです。

ユーザーの要望にインテリア視点・生活者視点から応える

より軽やかなデザインで、インテリアとして人びとから愛されるエアコンをつくりたい。しかも、心地よい空気を送り出す空調としての性能を犠牲にすることなく――。そのような構想から誕生したのが、デザインを担当したルームアコンrisoraです。
risoraは、薄型であり省エネ性や快適性を高いレベルで有しながらも、国内の住環境にフィットする半間に収まる横幅を持ち、設置性の課題を解決しています。ここで大切にしたのは、インテリア視点・生活者視点から、トータルにエアコンのあり方を見つめ直すことです。こうしてrisoraはインテリアにこだわりたいすべてのユーザーに届けられる製品になったと考えています。

機械工学で学んだ経験をプロダクトデザインに活かす

私は大学院で機械工学を専攻した後、さらにデザインを学び、ダイキン工業に入社しました。例えばrisoraのデザインにおいてエンジニアに対して一歩踏み込んだ提案をしたり、また先行提案のための実動プロトタイプを作ったりというように、デザイン以外のスキル、視点を持っていることはダイキンでの仕事に活かされています。先端デザイングループにも異なる専門性を持つメンバーが増えつつあり、多様な視点で新しい価値を作り出す集団になっていきたいと思っています。

インテリアの一要素としてのエアコンの未来像

室内空間で必要とされながらも、どこか「邪魔もの」として扱われていたルームエアコン。それをインテリアの一要素として、空気や空間の心地よさを生み出すプロダクトに変える"価値転換"を起こしたい。新しい暮らしのための家具や建材を選ぶときのように、ユーザーの想像力を膨らませ、"あこがれのライフスタイルを思い描かせる存在"へ、エアコンという家電をバーションアップさせたいのです。

私は古今東西を問わずいろいろな建築を見学していて、人間の環境に対する考え方についてインスピレーションを得ています。世界には多様な気候風土のなかでの住まいがあります。現在のルームエアコンには、おもに室内空間の温度や湿度を調整する機能しかありません。しかし部屋のなかは、周囲からもたらされる光や音でも満たされていて、さまざまな環境で生きる人が感じる「涼しい光」や「暖かい音」などをリサーチすることにも、プロダクトデザインの可能性を感じます。

温度、湿度、音、光、色を最適な状態で組み合わせ、総合的に調整することで、まったく別の次元で豊かな空気や空間を創造する――。それが、私が目指しているエアコンの未来像です。

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