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ダイキン工業(以下、ダイキン)のテクノロジー・イノベーションセンター(以下、TIC)は、将来を見据えた技術開発を担う拠点(R&D)です。一方でいま、そのTICでは「商品開発」が大きなキーワードになっています。市場や顧客の声を起点に、要素技術を組み合わせ、事業化につながる差別化商品を生み出す。研究だけで終わらせず、社会や市場に届く価値へと変えていくために、2025年に商品グループが立ち上がりました。
今回は、住宅用商品グループの小野、業務用商品グループの山野井、暖房・給湯グループの門脇の3名が集まり、TICで商品開発に挑む面白さ、グループの雰囲気、そしてこれから一緒に働きたい人材について語り合いました。
今回話を伺った3名
テクノロジー・イノベーションセンター グループリーダー主任技師
2008年入社。福岡県出身。
スカイエア(業務用パッケージエアコンシリーズ)の室外機の構造設計開発、住宅用のエコキュートやマルチエアコンの開発を経て、2025年からTICの住宅用商品グループに着任。グローバル全ての地域に新たな差別化商品を広めていきたい。
テクノロジー・イノベーションセンター グループリーダー主任技師
2010年入社。兵庫県出身。
設備向け・ビル向けの業務用商品開発を経て2021年よりTICでビル用マルチをはじめとする、比較的大きな市場向けの商品開発を担当。2025年からTICの業務用商品グループに着任。10年後の「当たり前」になる新たな価値の創出に挑戦したい。
テクノロジー・イノベーションセンター グループリーダー主任技師
2023年入社。大分県出身。
総合家電メーカーでの開発業務を経て、2024年にTICにキャリア入社。産業用冷凍機の研究、業務用の暖房給湯機器の開発を経て、暖房・給湯グループにて暖房給湯機器の開発に携わる。水を用いた独自の差別化技術で新しい価値の創出に挑戦したい。
ポイントは事業化という出口戦略。
私たち商品グループは、ときには無理を言いながら新しい価値を作っていく役割を担う。
山野井:もともとTICは、5年後・10年後を見据えた要素技術の開発に強みを持つ組織です。ただ、どれほど優れた技術があっても、市場や顧客の声を直接聞き、その技術をどう商品に落とし込むかを考えなければ、本当に世の中に役立つものにはなりません。
そこで、市場ニーズ起点の技術を組み合わせた差別化商品の創出を強化するため、商品グループが設立されました。
小野:ポイントは事業化という出口戦略です。短期だけでなく、中長期の技術開発をやっていくことは、先を見て取り組める一方で、将来的に事業につながらない、いわゆる絵に描いた餅で終わってはいけません。
私たち商品グループは、要素技術のメンバーに「こういう差別化商品を作りたいから、この技術が欲しい」と伝え、ときには無理を言いながら一緒に新しい価値を作っていく役割を担っています。
山野井:以前は、TICが性能を担保できるところまで技術を固め、その後に各拠点へ引き渡す流れが一般的でした。これからは、明確な事業化が決まる前の段階でも、TIC自らプロトタイプを作り、フィールド試験まで実施していきたいと考えています。これなら事業として貢献できると自分たちの手で証明していく。そうしたアプローチが今後はより重要になっていくはずです。
ファシリテーター:技術開発の出口に商品がある、というよりも、最初から市場や顧客を見ながら開発テーマを育てていく。その変化が、TICの商品開発の大きな特徴なのですね。
未来を見据え新しい価値を創出できることが、TICならではの魅力。
小野:一番大きいのはタイムライン、つまり時間軸です。通常の開発では、来期の商品をどう仕上げるか、既存商品の市場対応をどう進めるかといった、目の前のお客様に確実に価値を届ける仕事が中心になります。一方でTICは、もう一段、二段先の未来を見据えて、開発に取り組めるところが魅力です。
山野井:ただし、技術の先進性だけを追いかけても事業にはなりませんし、逆に既存商品の延長線上だけを見ていても、10年後の新しい価値は生まれません。TICでしかできない事業化を見据えた差別化商品をどう作るか。ここが一番難しく、同時に一番面白いところです。
門脇:私は2023年にキャリア採用で入社しましたが、TICに来て強く感じたのは、グループ間の垣根の低さです。本人のやる気と思いがあれば、すぐに他の専門グループへ相談に行ける。
新しい機器を作るときにシミュレーションや熱交換器の知見が必要になれば、「ちょっと手伝ってほしい」と直接話しに行けます。しかも、自分のプロジェクトメンバーではない人たちも、とても真剣に協力してくれます。
門脇:開発した商品が発売され、市場に流通する瞬間はもちろん嬉しいです。ただ、それだけではありません。営業担当者と商品のコンセプトを創出し、熱意を持ってお客様に提案してくれたとき、開発と営業の思いがお客様へとドミノ倒しのように伝わっていく手応えがあります。
ファシリテーター:技術開発拠点でありながら、市場を見て、事業化を考え、さらに専門グループを横断して進められる。TICの仕事は、技術の深さと事業への近さが同時に求められる仕事なのだと感じます。
技術者自らが商品企画をリードし、市場に出向いて開発テーマを決める。
こうした開発組織は、なかなかないのではないか。
山野井:開発テーマの生まれ方にはトップダウンとボトムアップの両方があります。例えば、地球温暖化に対応するための環境冷媒への移行のように、企業として必ず取り組むべき開発テーマはトップダウンで決まります。一方で「市場のこんな困りごとを解決したい」、「こういう価値なら提供できるのではないか」という現場発のアイデアから、小さな調査テーマとして始まり、徐々に大きな開発テーマへ育っていくボトムアップのケースも多くあります。
小野:新しく、面白く、夢のある開発テーマを自分たちの手で作り出せるかが大切だと思っています。正直、私たちのグループはまだまだ人数が足りていません(笑)。でも、まずみんなで魅力的な次の開発テーマを作り、後から人を惹きつけていく。それくらい強い気持ちで、少し背伸びをしながらでも、私たちのグループ以外の関係者も含め全員がワクワクできる開発テーマを意図的に設定するようにしています。
門脇:私たちの強みは、技術者自らが海外の現地営業会社や販売店に足を運び、徹底的にお客様や現場の声を聞きに行くところです。技術者が市場のリアルなニーズを掴み、そこで得た確信をもとに「これをやらせてほしい」と開発テーマを立ち上げる。技術者自らが商品企画をリードし、市場に出向いて開発テーマを決める。こうした開発組織は、なかなかないのではないかと思います。
ファシリテーター:現場を知ることが、技術開発の出発点になるのですね。
小野:そうです。たとえば快適性の感じ方一つとっても、国や地域でまったく違います。日本では静かに風を当てて快適な環境を作ることが好まれる一方で、インドではしっかり風を当てて涼しさを実感したいというニーズがあります。文化や生活スタイルの違いを現地の人と直接議論しながら理解し、それを商品コンセプトに落とし込んでいく。そこにグローバル開発の面白さがあります。
少人数のグループだからこそ、若いメンバーが年々目に見えて成長し、
グループとして対応できる開発テーマの幅が広がっている。
門脇:少人数のグループだからこそ、若いメンバーが年々目に見えて成長し、グループとして対応できる開発テーマの幅が広がっていることを実感しています。「去年はここまでだったけれど、今年はさらに開発テーマを増やせた」というように、若手の伸び代がグループ全体のパワーアップに直結している。そこにグループ長として大きなやりがいを感じています。
小野:若手メンバーは、新しいことに恐れずチャレンジしてくれます。勢いがあって、グループ全体を活性化してくれています。もちろん、進む方向を私たちが少しサポートする必要はありますが、非常に伸び代が大きく、さらに強い集団になってきていると感じます。
山野井:人数も開発テーマも増えていますし、若手自身も自分たちの成長を日々実感しながら働いていると思います。この勢いと活気のある雰囲気は、TICの大きな魅力ですね。だからこそ、私たちも熱い思いを持っている方に来ていただきたい。自分のやりたいことや夢を自分の言葉で語り、周囲に伝播させ、人を巻き込んで一緒に走れる人と働きたいです。
従来の延長線上にはない、10年後には当たり前になっている新しい価値を生みだしたい。
山野井:業務用商品の領域では、建物の価値そのものを高める商品開発に挑戦したいです。お客様自身もまだ気づいていない潜在ニーズに対して、私たちが先回りして提案を仕込んでおきたい。例えば、20年、30年前は、エアコンはリビングに1台あるだけというのが普通でした。しかし今では、各部屋になくてはならない存在になっています。それと同じように、従来の延長線上にはない、10年後には当たり前になっている新しい価値を生みだしたいですね。
小野:住宅用商品の領域では、住宅用の快適性や省エネ性はもちろん、グローバル市場ごとの生活文化を理解しながら、差別化商品を考える必要があります。これからの5年・10年を考えると、エアコンとしての基本機能に加え、AIなどの制御システムを組み合わせたソリューション開発が主流になっていくと思います。
ただ、私はやはり機械屋ですので、そうした最先端の制御技術と調和し、新しい付加価値を生み出せるような、次世代のハードウェアを自分の手で作り上げたいです。そして、その開発した革新的な商品を、日本国内だけでなく、グローバルに一気に展開したいです。TICに来てから海外拠点とやり取りをする機会が増えました。ダイキンは世界中に強固な開発、販売のネットワークを持っています。現地の生の声を開発に生かせることは大きなアドバンテージです。
門脇:暖房・給湯の領域では、現在は欧州における住宅用での展開が多いですが、今後はこれを集合住宅や工場の熱源など業務用や産業用といったさらに大きな市場へと広げていきたいです。
私たちの暖房・給湯グループは空気ではなく水を扱う点が特徴です。機器の対象も住宅用、業務用という括りに縛られません。水を扱う機器は、設置や施工、稼働後の運用まで含めて考える必要があります。現在は商品の販売や搬入までが主な範囲ですが、今後は据え付けられて稼働し始めた後の運用のサービスやメンテナンスのライフサイクルまで、一貫してサポートできる仕組みを作りたいと考えています。
ファシリテーター:空気、水、建物、AI、制御、施工、サービス。TICの商品開発は、かなり幅広い専門性が交わる仕事なのですね。
門脇:その通りです。機械、制御、熱、水、建築、設備、施工など、多様なバックグラウンドを持つ人の知見が生きます。自分の専門を軸にしながら、周囲と協力して新しい価値に広げていける人には、とても面白い環境だと思います。
新しい価値を自分たちの手で作りたい。そんなチャレンジ精神があり、
チームで大きなものを作り上げることが好きな方にとって、TICはこれ以上ない最高のステージ。
門脇:私たちの組織では、可能性を広げて物事を考えることが常に求められます。暖房給湯の領域では、空調機器単体だけでなく、建物、施工、運用、サービスまでを含めた幅広い視点が必要です。そのため、機械・制御・熱・水・建築・設備・施工など、多様なバックグラウンドを持つ方の知見が生きる領域でもあります。自分の専門を軸にしながら、周囲と協力して新しい価値へ広げていける方と、一緒に働きたいですね。
山野井:まずは「変えたい」、「挑戦したい」という強い思いを持っている人です。商品というものは一つの技術だけでは絶対に完成しません。いろいろな技術を調整し、課題を一つずつ解決して、初めて商品になります。
だからこそ、自分の強い思いを周囲にも伝え、共感してもらい、人を巻き込めることが大切です。ユーザーや営業、技術者と一緒に戦いながら、最後までやり切れる人に来てほしいと思います。
小野:チームワークが求められる場所です。TICの内部はもちろん、グローバルの各拠点ともワンチームで開発を進めます。従来の延長線上にはない、もっと高い次元の新しい価値を自分たちの手で作りたい。そんなチャレンジ精神があり、チームで大きなものを作り上げることが好きな方にとって、TICはこれ以上ない最高のステージだと思います。
ファシリテーター:研究から商品へ、商品から市場へ、そして社会価値へ。TICの商品開発は、技術者が自分の専門性を深めながら、世界の暮らしや産業に価値を届けていく仕事なのだと感じました。本日はありがとうございました。
TICの商品開発の特徴は、単に新しい技術を生み出すことではなく、その技術がどの市場で、どのようなユーザーの課題を解き、どのように事業として育っていくのかまで、技術者自身が考え続ける点にあります。だからこそ、研究を深めたい人にも、商品として世の中に届けたい人にも、そして異なる専門性を持つ仲間と大きな開発テーマに挑みたい人にも、活躍の入口がある。3名の言葉からは、そんなTICならではのキャリアの広がりが伝わってきました。
