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ブランドデザインをかたちに

「Daikin Emura 3」というクリエイティブがもたらすもの

入社以来、ベルギー、ドイツでの駐在の欧州での経験を踏まえ、現在は日本とヨーロッパ、その他の拠点をつなぐべく、デザインやブランド開発において地域と連携しながら仕事をしています。

今回は、ヨーロッパ向けエアコンのフラッグシップモデル「Daikin Emura 3」のデザイン開発について語ります。

日本とヨーロッパのデザインの土壌の違い

日本向けとヨーロッパ向けの仕事での違いは何ですか?とよく聞かれることがあるのですが、素地として「デザインが重要な要素になっているかどうか」というのが大きいのではないでしょうか。これまで、悶々とそのあたりの違いを考えてきたのですが、そのヒントが商品を選ぶ時の違いがあるのではないか?と思っています。たとえばヨーロッパ生活が長い人は、購入時に必ずデザインを重視します。家電も同じ感覚で、機能はもちろん大切ですが、「使いやすい」とか「便利」ということ以上に、自分の価値観として「美しい」とか「かっこいい」のであれば「家に置いてみたい」と思って購入しているように感じています。日本であれば、まず、機能を優先する傾向が強いのではないでしょうか。

たとえば家庭のリビングにインテリアとして絵画を飾るとか、間接照明をいくつか使って部屋を彩るといった、デザインとともに暮らす習慣に馴染みがある。そういう感性が、何世代にもわたって受け継がれてきているんですよね。デザインを特別なものとして見るのではなく、普通のものとして見ています。そういう環境、価値観なので、エアコンに対しても求められているものが同じです。デザイナーとして共感する部分は当然多いのですが、その分市場の期待値も高く、非常にチャレンジングなテーマだととらえ、取り組みました。

「空気で答えを出す会社」としてのアプローチとは?

まず考えたのは、「ダイキンのエアコンとしてあるべき姿とは?」ということでした。CMでも「空気で答えを出す会社」という説明をしていますが、空気を軸に考えた時、「空気を吸い込んで届ける」というエアコンの核になる基本的な動作について見つめ直してみました。

エアコンは、ただ壁にかかってインテリアになじめば良いというものではありません。お客様に温冷の心地よい空気を送り届けるという使命があります。その空気の状態を、いかに「らしさ」をもって伝えるのか?が最も大切な要件でした。

性能はもちろんですが、薄さや可動のパネルの動きなども含めて、徹底的にこだわろうと考えていました。最終的には、エアコンとしての振る舞い、佇まい、設置環境、使用方法までを考えてデザインを行いました。

「Daikin Emura 3」の要素、空気を届ける室内機

「Daikin Emura 3」の具現化で重要だったのは、陰影の活かし方にありました。それを実現するために苦労したのが、正面のパネル裏、パネルのデザインです。通常、背面にパネル形状は設けないのですが、技術者とともに、何度も何度もトライして理想の面を作り上げました。これが実現したことによって、運転時、そして、停止時においても、多くの視覚効果をもたらすことが可能になります。

運転時は、表のパネルが持ち上がることで、その動きによって、裏パネル側に影を強く落とします。そうすることで、内部の複雑な機械的な要素をすべて和らげてくれ、シンプルに風を吸い込んで、届けるという形が際立ちます。

停止時、つまり閉じた状態では、前パネル、裏パネルが共に矩形(くけい)として収まった状態になります。その時には、面の方向が異なるので、自然に面と面とのコントラストが出来上がります。これが横幅の制約がない欧州の市場において、ゆったりとしてみえるプロポーション、インテリア性を実現してくれます。そういうものが生み出す空気の方が、ユーザーにとってより心地よいと感じてもらえるのではないかと考えました。

世の中に、閉じた時は非常に美しいというデザインのエアコンは、たくさんあります。ただ、それは「空調機能が使われていない時の方がきれい」ということであり、個人的に矛盾しているのではないか?と常々感じていました。新しい「Daikin Emura 3」では、運転している、その最中さえも美しくしたかった。パネルが開く、羽が動く、そして閉じる、その全てがかっこいい、美しいと思ってもらえるデザインにするために、動きも含めて、無駄のない構成を考え抜きました。

「Daikin Emura 3」の要素、室内機を操作するリモコン

今回、忘れてはいけないのが操作する側での体験です。室内機に変化をもたらすもの、実際に人に触れるのはリモコンになります。一緒にリモコンのデザインができる機会でしたので、本体、全体のデザインコンセプトを意識し、リモコンのサイズや色、液晶フォント等など細部に至るまで、全てが一貫した体験になるように意識して、設計をしました。一見、小さく見えるリモコンの表示部であっても、必要な情報のみを表示することで旧来のリモコンよりも情報が整理され、見やすくなっています。

追い求めたのは、純粋にリモコンのボタンを押すと、室内機から美しい空気が流れてくること。リモコンから始まる、心地の良い空気のストーリーが「これからのダイキンらしい空気の体験」ではないかと思います。

「Daikin Emura 3」を通して、ブランドデザインを目指す

今回、「Daikin Emura 3」を開発するにあたって、私はブランド・デザイナーとしての立ち位置で関わらせてもらいました。デザイン文化が深く根付いているヨーロッパのお客様に対して、ただ、かっこいいデザインをするだけでは彼らの心には強く響きません。単なる見た目だけでなく、デザインを通して、その企業のフィロソフィーを発信する、そこにブランドとしての意味があると思います。

世界中で通用するプロダクトには、それと共にブランド力がありますよね。国や文化の違いにとらわれない普遍的なデザイン、それが共通の言語となって世界に広がっていく、それが真のブランディングだと思います。それをダイキンに置き換えると、エアコン本来のピュアな空気の体験、それもシンプルに体験してもらうことではないかと思っています。その上で涼しくしたい、あるいは、温かくしたい、という根源的な感覚の上に、ダイキンらしい空気の体験をしてもらう。この「Daikin Emura 3」の開発では「これがダイキンの体験である」というフラッグシップを掲げるところが目標です。

ダイキンは日本から海外まで、幅広く、様々な活躍のフィールドを持っています。我々の対象とする「空気」は、世界中、あまねくつながっています。とらえ方を変えるだけで、正直、すごく面白い環境なのではないかと思っています。もし、その中で、たくさんチャレンジしていければ自然とそこに色々な答えがあり、その答えで多くの方の環境を、リッチに豊かなものにしていけるのではないかと……。そういう一つひとつの答え、チャレンジを積み重ねて、ブランドデザインを築いていければと思います。

reddot winner 2022iF design award 2022

iF DESIGN AWARD 2022

https://ifdesign.com/en/winner-ranking/project/daikin-Daikin Emura 3-iii/346595
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