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入社5年目の社員が語る、新たな圧縮機開発の日常と魅力とは?
FEATURE
2022.10.25
 エアコンの基礎技術や試作開発を手掛けるテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)に新卒として入社して5年目となる岩田有弘さんは、いま新しい圧縮機を開発すべく、チームリーダー補佐として日々奮闘中だ。そんな岩田さんに、社員の能力を引き出すTICの雰囲気や、開発現場のリアルな日常や、自身の夢などについて語ってもらった。

まず驚いたことは、
開発サイクルのスピード感

 「機械関係のメーカーに向けて就活していたのですが、特に業種を絞らずに世界No1.のシェアをもつ企業に入りたいと思っていました。シェアが世界で1番なら、技術も世界で1番優れたものを持っていると考えたからです」とダイキン工業に入社した経緯を語るのは、今年(2022年)でテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)に配属されて5年目になる岩田有弘さん。

 学生時代は機械やバイクをいじり倒すのが大好きで、ツーリングにも出かける根っからのメカ屋気質だった岩田さん。大学生のころから、ダイキン工業の良いうわさを先輩から聞いてよく知っていた。そんなダイキン工業がTICを設立したのは2015年のこと。岩田氏が就活を始めて間もない時期だった。

 岩田さんは「ダイキン工業はTICで何か新しいことを始めるという話でした。私は以前から環境ソリューションに興味があり、これからダイキン工業も環境問題を解決する技術を積極的に育てていくというので、これは面白そうだ!と思いました」と入社動機について語る。

 そして2017年、念願だったTICに配属になり、この5年は圧縮機一筋で研究開発に携わってきたという。岩田さんがTICで仕事を始めて最初に驚いたことは、開発のスピード感だった。研究開発という業務柄、仕事に明確な納期があるというわけではない(注)。しかし、プロトタイプひとつ作るにしても、試作サイクルのペースがとにかく速いのだ。

注:研究開発の対象による
 「限られた時間のなかで、アウトプットを少しでも多く出すために、計画を都度修正しながらみんなで日々議論して、知恵を絞り合って開発を進めていこうとする雰囲気がTICにはあるのです」。

 もちろん良いアイデアを出すためには、若手社員であろうが、年配社員であろうが、議論の場で分け隔てなく、積極的な発言が求められる。議論百出となって進展しないときは、トップクラスのベテラン社員が議論に入って、助言をすることも日常的な風景だ。

 岩田さんは「横(部門間)の垣根だけでなく、上下の垣根もなく、開発サイクルを回そうと、社員が一丸となっている点は、TICの大きな特徴だと思います。エンジニア目線でも見ても、フラットに議論できる点が好きです」とTICの魅力を語る。

若手にもチャレンジの機会あり、
5年で全体の構造設計の担当も

 いま岩田さんは、TICで圧縮機の開発を担当している。圧縮機は、エアコンのなかでも特に重要な要素技術のひとつだ。室外機に組み込まれ、エアコンの血液ともいえる「冷媒」を循環させる心臓の役割を果たしている。その設計や加工精度は自動車のエンジンに近いものがあるという。

 入社前はCADをあまり触ったことがなかった岩田さんだったが、先輩社員の指導を受けながら、部品設計の一部を担当。ほどなくして自分でやれることもどんどん増え、3年後には重要部品の設計を任せてもらえるようになった。その設計とは圧縮機の回転軸と軸受だ。加えて現在は、チームを統括する仕事も少しずつ任されるようになり、モデルチェンジに伴うプロトタイプの全体的な構造設計の担当者にも抜擢された。
 「軸・軸受設計だけでなく、全体を俯瞰しながら、圧縮機の形状や部品配置、冷媒流路をどうすべきか?また、どんな冷媒を装填し、どのように効率を上げていけばよいのか?といったことを、メンバーの意見を盛り込みながら試作機を作り、それを評価しているところです」。

 このようにエアコンのコアとなる要素部品であっても、早ければ岩田さんのように入社5年で重要な仕事に挑戦する機会が与えられるのもTICの魅力といえるだろう。

 「若いエンジニアにどんどん仕事を任せてもらえるのがTICの特色です。自分のメインの仕事以外に、他の仕事も振ってもらえて、スキルを磨き上げてくれます。自身の成長のために、上司が良い機会を与えてくれていると感謝しています」と岩田さんは語る。

世界に前例のない“謎のターボ型圧縮機” その開発に奮闘中の毎日

 岩田さんのチームは、自身も含めて7人おり、そのうち中途採用のキャリア組は1人だ。ダイキン工業では新たな知見を得るために、積極的に外部からキャリアを採用しているという。リーダーを含め30代前半の若手が中心の構成で、チームの日常的なルーチンは、個々の役割を担当しながらミーティングで進捗を報告し合い、コミュニケーションを取りながら、全員で次の方針を決めていくことだという。

 これまでダイキン工業では主に「スイング型」「スクロール型」「スクリュー型」「ターボ型」という4タイプの圧縮機を開発してきた。これらは、コストと容量で用途別に適用範囲が分けられている。いま岩田さんのチームが開発中の圧縮機は、世界に前例のない、まったく新しいコンセプトのターボ型だ。そのため、ここまで数年をかけて開発を進めているそうだ。
これまでダイキンが自社開発してきた圧縮機の種類。用途別に容量とコストで分けられているが、岩田さんらのチームではターボ型の、まったく新しい圧縮機の開発に挑んでいるという。
これまでダイキンが自社開発してきた圧縮機の種類。用途別に容量とコストで分けられているが、岩田さんらのチームではターボ型の、まったく新しい圧縮機の開発に挑んでいるという。
 「新しいターボ型圧縮機にチャレンジしているのは、室外機の設計自由度を上げることと、低振動化と低騒音化を狙っています。これによりユーザーの満足度が上がり、防音材の削減によりコストも低減でき、組み立てもしやすくなるというメリットがあります」。

 設計段階では、シミュレーションや解析技術を駆使しているという。これによって圧縮効率や制振性などに開発方針の当たりをつけながら、それに沿って実際にプロトタイプを製作して評価する。もし狙いどおりの性能が出なければ再検討して、また作り直し、完成度を高めていくという地道で泥臭い作業の繰り返しだ。

 岩田さんは「やはり圧縮機の場合は、事前の解析だけでは終わらず、実機でしっかりと検証する必要があります。そのためプロトタイプを作ることが大切であり、そこが面白さです」と圧縮機開発の醍醐味について力説する。
 とはいえ未知の分野の製品開発では、思ったとおりいかないことが多いのも事実だ。当初の目論見と異なる結果が出たときは、チーム内での検討はもちろん、冒頭のように他グループの人にも意見をもらうことが多い。

「特に圧縮機は、モータやインバータなど多くの要素技術の集合体です。上手くいかなった点を各所に報告し、早ければその日のうちに原因を追究しています。自分たちだけでは限界があるため、他グループを巻き込んで開発することが大切です」。

 TICは、ワンフロアーに他グループも含め集まっているため、チーム間での連携もしやすい。席にいる人にさっと声をかけて、気軽に相談できる。開発時の困り事だけでなく、次のプロトタイプ設計でも「これくらい効率が欲しい」というような要望を出せる。他社が要素ごとに個別最適で開発するところを、全体最適で開発できる点がTICの大きな強みだ。

将来の夢は、超効率の革新的なエアコンの心臓部を作ること!

 さまざまなハードルを乗り越えながら、新たな圧縮機を開発中の岩田さんだが、今回初めて圧縮機の全体設計を見るようになって、これまでと違った達成感も味わっているという。

 「いま手掛けている圧縮機は、自動車でいえばフルモデルチェンジにあたります。設計したものが、本当に回るかどうかも分からないところからのスタートでした。最初にプロトタイプが動いたときは嬉しかったですね。ハードルは低く見えますが、やはり自分が最初から関わって作った圧縮機が、ちゃんと回って、冷媒を圧縮している様子が確認できたときは、『やったぞ!』という達成感がありました」と振り返る。
 近年、世界的にもカーボンニュートラルの流れが加速しており、ダイキン工業も成長戦略の筆頭に掲げている。もちろん圧縮機の開発でも、脱炭素は重要な視点だ。そこで影響のある冷媒に着目し、これを酸素や炭素を含まないものに置き換える動きがあり、新たな冷媒を探索して評価しているところだという。

 学生時代から環境問題に興味があった岩田さんは、自身の夢について「本当に実現できるかは別として、超効率の革新的な圧縮機を作りたいですね。電力消費が大きいエアコンのなかで、ほとんどの電力消費は圧縮機が占めています。圧縮機がエコになれば、世界全体で使う電力が大幅に削減でき、火力発電や原子力発電の稼働率を下げることで地球環境改善に貢献できるかもしれません。まだまだ先の話になるかもしれませんけれども」と抱負を語る。
 最後に岩田さんは読者に次のようなメッセージを投げかけた。

「ダイキン工業の良さは、エンジニアとしてこだわりを持ち、この設計開発をやらせてください!と、声を上げれば、任せてもらえる風土にあります。就活・転職を考えている方や、何か世に製品を送り出したいと考えているエンジニアにとって、自分の意志を反映でき、やりたいことを叶えられる会社だと思います。思いきりご自身の力を試してみたいチャレンジ精神旺盛な方は、ぜひTICにお越しください。」
Arihiro Iwata

テクノロジー・イノベーションセンター

2017年4月入社。愛知県出身。新形式圧縮機の開発チームに所属。世の中にまだない、超高効率な新型圧縮機を作り出すために、日々努力を重ねている。
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