一般財団法人 省エネルギーセンターが主催する2019年度省エネ大賞の省エネ事例部門で、ダイキン工業株式会社の『多店舗型アミューズメント施設での快適性を維持した持続的な省エネ実践』が「資源エネルギー庁長官賞」を、『新空調方式の採用とビッグデータ活用による新工場の省エネ取り組み』が「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。また、製品・ビジネスモデル部門で『省エネ住宅対応型ルームエアコン』が「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。
省エネ大賞は、優れた省エネルギー活動や製品・ビジネスモデルを推進する国内の事業者を表彰し、省エネ意識を浸透させ、省エネ製品の普及促進に寄与することを目的としています。表彰式および受賞案件の展示は2020年1月29日(水)に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されるENEX2020「第44回地球環境とエネルギーの調和展(1/29~1/31)」で行われます。
当社は今後も、快適な空気・空間を実現しながら、環境とエネルギー問題の解決に貢献します。
「快適性と省エネを両立したエンターテイメント空間」を目指して、年間で20%の消費電力を削減し、ピーク時の電力を21%抑制※1することに成功した事例です。複数店舗を運営する事業者にとって、業務の効率化や大規模な省エネ施策は大きな関心事です。また来場者の満足度を高めるためには快適性の維持も欠かせません。こうしたお客さまのニーズを全方位から実現するのが、本事例で導入した『エネルギーマネジメントサービス』です。当社の空調遠隔監視・故障予知診断システム『エアネット』が収集するデータを活用し、複数店舗の空調設備を一括管理できるようにしたほか、細分化された施設内の利用実態をリアルタイムで把握し、エリアごとに最適な運転制御を遠隔から行えるようにしました。さらに、蓄積された運転状況データから改善点を見える化し、今後の計画的な省エネ施策を提案していきます。
夏は涼しく、冬は暖かい、理想の工場空間の実現と、74.3%※2のエネルギー削減を達成した事例です。工場などの大空間における空調方式の主流はアンビエント(ゾーン)空調とタスク(作業者へのスポット)空調ですが、快適性と省エネ性の面で一長一短があり、工場で働く人々の共通の悩みになっていました。そこで2018年6月に竣工した堺製作所 臨海工場では、作業ラインごとに最適な空調方式を採り入れる『タスク&アンビエント方式』を導入しました。外気処理空調機も併せて活用することで、快適性と省エネ性をさらに向上させました。また空調監視システム『D-BIPS』によるビッグデータ分析で、迅速な省エネ改善・最適制御の実施につなげています。
受賞モデルの『うるさらX』他は、近年増加する高断熱の省エネ住宅において、快適性を向上しながら一次エネルギー消費量を最大13%※4削減できるルームエアコンです。省エネ住宅のように外気温の影響を受けにくい環境では、エアコンにかかる負荷が低くなり、圧縮機が低速で運転する時間が長くなります。受賞モデルは独自開発の圧縮機と制御技術の搭載により、低速運転時においても、高い省エネ性を発揮します。また省エネ住宅では、「夏場はムシムシするけれど設定温度を下げると冷えすぎる」ことや「冬場は暖房時に吹出す風が冷たく感じる」といった体感温度の課題がありました。これらの課題を進化した除湿機能と気流制御により解決し、快適性をさらに向上させました。
(1) 『エアネット』データの活用で、複数店舗の空調を集中監視・制御し、蓄積データから最適運転をご提案する『エネルギーマネジメントサービス※5』
インターネット回線を通じて、事業者本部と各店舗および当社の遠隔監視センターをつなぐエネルギー管理体制を構築しました。空調機の使用状況を365日24時間的確に把握することで、リアルタイムでの細やかな運転制御が可能となるほか、蓄積された運転状況データを当社が分析し、改善ポイントなどを見える化したうえで、今後の計画的な最適省エネ施策をご提案します。
(2)エリアごとの使用用途に合わせた細やかな電力デマンド制御
空調需要の低いエリアは省エネ優先、需要の高いエリアは快適性重視、と制御の強弱を割り振り、快適性への影響が少ないエリアから段階的に電力消費を抑制することができます。本事例では、遊技場などのエリアにおいて快適性の優先度を高く、廊下など共用部においては優先度を低く設定するなど、快適性を損なわない電力削減を実現しました。
(1) 大空間での『タスク&アンビエント空調』による省エネ性と快適性の両立
作業ラインごとに異なる作業者の活動域や、発熱機器の数などにより変動する熱負荷に着目し、それぞれの工程に最適な空調方式を採り入れました。各作業者に直接送風するタスク方式と、エリア全体を冷暖房するアンビエント方式を組み合わせることで、快適性を確保しつつ、全館空調方式を採用した場合と比較し、消費電力を74.9%削減することに成功しました。
(2) 空調監視システム『D-BIPS』による空調一括管理
多様な空調システムを集中制御することで、機器のスケジュール管理、温度管理、消し忘れ防止、デマンド制御などが一括で行えるようになり、利便性が大きく向上しました。また屋内外の温湿度情報を元に空調の発停や、外気の取り入れをリアルタイムで自動制御し、省エネかつ快適性の高い空調運用を可能にしています。さらに工場内外のあらゆる箇所に設置されたセンサーからエネルギー情報を収集し、集約されたビッグデータを分析することで、さらなる省エネ改善施策につなげています。
(3) 外気侵入対策による空調負荷の低減
製品や部品の運搬時に外気が侵入することで空調負荷が大きくなる現象を、外気処理空調機の採用で低減しました。外気処理空調機の吹出し位置をシャッター上部に設けることで、吹き下ろされる風にエアカーテンの役割も兼ねさせます。また給気量に対し、排気量を少なくすることで工場内の気圧を高く保ち(陽圧化)、出入り口からの外気侵入をさらに抑制しました。
(1) 空調要素技術の省エネ設計 ダイキン独自の『スイング圧縮機』
空調機の心臓部分と呼ばれる圧縮機は、エアコンの省エネ性を大きく左右します。当社独自の『スイング圧縮機』は少ないエネルギーで高効率に動作する機構が特長です。インバーター技術『ワイドレンジ磁束制御』との組み合わせにより、省エネ住宅のような外気温の影響を受けにくい低負荷の環境でも高効率な運転が可能になります。『スイング圧縮機』は高性能化技術として、受賞モデル以外の当社ルームエアコン全機種にも搭載されています。
(2) 夏はしっかり除湿 新ハイブリッド方式『さらら除湿』
断熱性の高い省エネ住宅では、室温が安定するというメリットがある一方で、エアコンを稼働して室内が目標温度に到達したあとは、湿度コントロールがうまくできないという課題がありました。そこで室内の熱負荷の変化に合わせ、効率よく除湿できる新技術を開発しました。空調負荷に合わせて冷媒流量をコントロールすることで、冷えすぎることなく、また消費電力を抑えた運転が可能になります。
(3) 冬の不快な風あたりを快適にする新しい気流制御
暖房運転時は、吹き出し口から出る風が周辺の冷たい空気を巻き込みながら流れるため、風が人に当たると肌寒く感じられます。そこで、風を上下左右にワイドに拡散させる新気流制御を開発しました。不快な風あたりを感じにくくすることで、吹出し温度を上げることなく体感温度を高められるため、省エネにつながります。
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