ダイキン工業株式会社と国立大学法人 長岡技術科学大学は、連携して取り組んできた「省エネルームエアコンの電源高調波規制※1適合ローコストインバータの開発」において、内閣府による第15回 産学官連携功労者表彰「文部科学大臣賞」を受賞しました。
産学官連携功労者表彰は、企業・大学・公的研究機関等における産学官連携活動において大きな成果を収めた成功事例に対し、その功績を称えるものです。わが国の産学官連携の更なる進展に寄与することを目的とし、内閣府が2003年より実施しています。今回受賞した「文部科学大臣賞」は、内閣総理大臣賞をはじめとする13の賞のうちのひとつです。
今回、長岡技術科学大学が発案した、PFC回路※2と電解コンデンサをなくした「電源高調波規制※1適合ローコストインバータ」を実用化するにあたり、実務訓練として学生も当社の現場に加わるなど、緊密な連携で理論検証を確実に進め、高度な制御技術の商品化を短期間で実現できたことが高く評価されました。また、本技術を搭載した省エネルームエアコンを、中国・アジアを中心にグローバルで普及させ、地球規模での省電力化、温暖化抑制、環境負荷の軽減に寄与したことも、今回の受賞に繋がりました。
受賞名 |
第15回 産学官連携功労者表彰 ~つなげるイノベーション大賞~ 「文部科学大臣賞」 |
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受賞案件 | 省エネルームエアコンのグローバル普及を実現する電源高調波規制※1適合ローコストインバータの開発 |
受賞者 |
国立大学法人 長岡技術科学大学 大学院工学研究科 教授 大石 潔 国立大学法人 長岡技術科学大学 大学院工学研究科 准教授 芳賀 仁 ダイキン工業株式会社 テクノロジー・イノベーションセンター 主任技師 関本 守満 |
インバータ技術とは、エアコンの心臓部である圧縮機のモータ回転数をコントロールする技術で、エアコン運転の省エネに大きく関わるものです。今や日本国内のルームエアコンはすべてインバータを搭載していますが、ノンインバータ機に比べてコストが2~3割高いため、世界ではまだ普及が進んでいない国・地域も多くあります。
また近年、インターネット接続等による無線通信の普及で、電波に関する規制はますます厳しくなってきています。電解コンデンサなど基板上の部品を少なくすればコストを抑えられるものの、これらの部品を少なくすると高い周波数の電流が流れてしまい、他の家電機器に悪影響を与えるノイズ発生の要因になるという課題がありました。
当社と長岡技術科学大学は、部品を少なくした分、安価でありながら、高調波電流を規制する国際規格にも適合する省エネ性の高いルームエアコン用インバータの開発を目指して、共同開発を推進してきました。長岡技術科学大学が発案した、PFC回路※2と電解コンデンサを使わない「電源高調波規制適合ローコストインバータ」を実現するために、緊密に連携しながら商品化に向けた技術検証や開発を行いました。長岡技術科学大学の教育プログラムである実務訓練制度を活かし、学生も当社の現場に加わりながら、現象の理論的な解明や制御のアルゴリズム作成などを着実に進めてきました。これら取り組みの結果、2011年には本技術を搭載したルームエアコンを世界で初めて発売しました。
本技術は、インバータがまだ普及していなかった中国・新興国向けのルームエアコンのコア技術として、順次適用機種を拡大し、本インバータ技術を搭載したエアコンの累計生産台数は2016年度末で400万台を達成しました。今後も、グローバル規模での省電力化、地球温暖化の抑制を目指し、アジア向け冷房専用インバータエアコンや、北米向けインバータエアコンの普及拡大に向け、更なる改良を続けていきます。
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