ニュースリリース
ダイキン工業株式会社は、一般財団法人省エネルギーセンターが主催する平成28年度省エネ大賞の製品・ビジネスモデル部門において、既設ビル用マルチエアコンの主要部品を入れかえるだけで、省エネ性を大幅に向上させる世界初のメンテナンスサービス『レトロフィットシステム』が最高賞の「経済産業大臣賞」を受賞しました。
また、同部門で、『床暖房接続可能な住宅用マルチエアコン』が「省エネルギーセンター会長賞」を、省エネ事例部門において、『老人福祉施設におけるIoTを活用した空調省エネ運用改善』が「省エネルギーセンター会長賞」をそれぞれ受賞しました。
省エネ大賞は、国内の省エネを推進している事業者や、省エネに優れた製品を開発した事業者の活動を表彰することで、省エネ意識の浸透、省エネ製品の普及促進等への寄与を目的としたものです。
「経済産業大臣賞」を受賞した『レトロフィットシステム』は、設置から5年以上経過した当社の既設ビル用マルチエアコンの圧縮機と省エネ制御ソフトを最新仕様のものに交換する世界初のメンテナンスサービスです。従来型メンテナンスのメリットを活かしつつ、主要部品を入れかえるだけで、消費電力を年間最大15%まで削減できる点が高く評価されました。本商品に対応する当社の既設ビル用マルチエアコン※1は、世界で約100万台あり、グローバルで本商品を展開することで、温室効果ガスの削減が期待できます。
「省エネルギーセンター会長賞」を受賞した『床暖房接続可能な住宅用マルチエアコン』は、エアコンと床暖房を連動制御することで、床暖房のみの運転と比較して、起動時から部屋全体が暖まるまでの時間が1/2以下となり、消費電力を約33%削減※2できます。また、室温がエアコンの設定温度に達すると、エアコンの運転を最小限に抑えた、低温水を使った床暖房中心の運転となり、省エネ性と快適性を維持できる点が評価されました。
「省エネルギーセンター会長賞」を受賞した『老人福祉施設におけるIoTを活用した空調省エネ運用改善』では、高齢の入居者の快適性が求められる老人福祉施設において、人の手をかけずに省エネを実現しました。インターネットを介する空調機の遠隔監視システムで集積した空調機の運転データをもとに、職員と定期的に話し合いながら日々の温度設定や運転の入り切りなどを見直し、作成した空調機の運用ルールに基づいて運転を自動化することで、消費電力を最大約33%削減※3しました。
表彰式は2月15日に東京ビッグサイトで開催されるENEX2017 「第41回地球環境とエネルギーの調和展(2/15~2/17)」で行われ、今回受賞した商品も展示されます。
当社は今後も、省エネ性、環境性に加え、快適性にも優れた技術を追求し、グローバルに展開できる商品やサービスの開発に取り組んでまいります。
『レトロフィットシステム』は、設置から5年以上経過した当社ビル用マルチエアコンの圧縮機と制御ソフトを、省エネ性の高い最新仕様のものに現地で交換することで、消費電力を年間最大15%まで削減できるメンテナンスサービスです。空調機器の性能維持や故障リスク抑制等、従来型空調メンテナンスのメリットを活かしつつ、交換部品も少なく済むため、比較的安価かつ容易に既設機の高効率化が図れる点が特長です。
本商品は、室外機と室内機を最新型に全て入れ替えた場合に比べると、交換する機器・部品の重量は約67%低減※4でき、省資源にも大きく貢献します。
ソフト面では、気温から空調機の必要能力をリアルタイムに把握し、最適な冷媒温度をコントロールすることで無駄な運転の入り切りを減らす制御技術を搭載しました。
ハード面では、低負荷運転時においても冷媒を十分に圧縮できるハイメカスラスト機構の圧縮機を搭載し、高い省エネ性を実現しました。さらに、安全性と耐久性を向上しつつ、振動、騒音などを抑えました。
当社は冷媒の開発、生産から、空調機器の設計、製造、販売、サービスまで一貫して事業を展開する空調総合メーカーとして、世界各国でビジネスを展開しています。これまで当社独自の省エネ技術を搭載した製品を国内外で販売し、日本の高い省エネ技術を世界に発信し続けてきました。今後はグローバルに広がる膨大な既設機器のストック市場にも、新技術を組み合わせた当社独自のメンテナンスサービスを提供することで、省エネニーズに応え、新たなサービスソリューションを構築していきます。
室内の温度とエアコンの設定温度の差が大きい起動時は、いち早く「快適範囲」※5に到達するようエアコンと床暖房を同時に運転します。同時運転時には、エアコンと床暖房の2つの熱交換器を活用できるので、高効率な運転が可能です。床暖房のみの運転と比較して、起動時から部屋全体が暖まるまでの時間が1/2以下となり、消費電力も約33%削減します。
最近の省エネ住宅では高気密・高断熱化が進み、室温がエアコンの設定温度に達した後は、エアコンの運転を最小限に抑え、低温水を利用した床暖房中心の運転により省エネ性と快適性を維持します。室内の温度が低下した際は、エアコンで補助し、室温を保持します。
高齢化社会の進行に伴い、室内の温度差によって生じるヒートショックを緩和するため、家全体を暖房するニーズが増えてきています。本製品は1台の室外機で室内機と床暖房を合わせて5台まで接続可能で、利用者のライフスタイルに応じ、多様な室内機器を自由に組み合わせ可能です。また、室外機1台で複数の部屋をまとめて管理できるので、全体としての消費電力を抑えることができます。
さらに、昨年10月には、デザイン性に優れインテリアにも調和しやすい住宅用マルチエアコン室内機『UXシリーズ』を新たにラインアップし、住宅のデザインに対する多様なニーズにも応えます。
老人福祉施設の多くは、省エネ意識を持っていても空調機の日々の運用管理に時間をかけられず、高齢の入居者の快適性が最優先されるため、やむをえず空調機を24時間運転してしまうといった課題を抱えています。本事例では、該当の老人福祉施設において、IoTを活用した当社独自のエネルギーマネジメントサービス(EMS)を導入し、入居者の快適性を維持しつつも、消費電力を最大約33%削減しました。
今回、当社は該当施設にインターネットを介した空調機の遠隔監視システムを導入し、空調機の運転データと職員からのフィードバックにより、施設に応じた改善点を見つけ出し、日々の温度設定や運転の入り切りなど空調機の運用を自動化していきました。また、遠隔からでも当社が空調機の運用設定を変更できるよう改善し、急な要望にも、スピーディーに対応できるようにしました。
今回の受賞は、老人福祉施設でのサービス提供事例ですが、本事例は当社がこれまで発売したビル用マルチエアコンに展開でき、新たなビジネスモデルとして、病院や商業施設等、様々な業種でも応用可能です。既に老人福祉施設以外でも同等の省エネ実績があり、今後のさらなる普及と省エネ効果が期待できます。
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