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社会の変化とデザインの関係性

空気によってお客さまの生活を彩る

ダイキン工業は業務用空気清浄機「UVパワフルストリーマ空気清浄機 ACBF15Z-S」で、グッドデザイン賞を受賞しました。その開発の背景には、コロナ禍によって変化した社会を見つめるデザイナーの視線がありました。アフターコロナにおけるデザイナーの役割について、2人のデザイナーが思いを語りました。

コロナ禍における製品開発のあるべき姿

開発の経緯やねらい、どのような製品かを教えてください。

齋藤:
経済活動が活発化している今、不特定多数の人々が集まる商業施設など、大空間における感染症対策が広く求められています。この製品は、大空間に対してパワフルに空気清浄しながら除菌を行い、公共屋内空間での感染症対策や空気清浄化のニーズに応えることができる製品です。

仁木:
商業施設などには厚生労働省が定めた感染予防に関するガイドラインがあります。その基準を満たすため、本機種では独自の放電分解技術によるストリーマに加えて、新たにUVC LEDと抗菌HEPAフィルターを搭載しました。3種類の機能により、集塵フィルター上の付着しているウイルスや細菌を30分間で99%以上も抑えることができます。

齋藤:
製品自体のバージョンアップはもちろん、ユーザー視点でも安心して使っていただける仕様になっています。操作表示部は抗菌仕様とし、使用時の安全性にも配慮しました。また、オプションとしてカスタマイズできるフィルターを用意しました。靴・下駄箱臭用やペット臭用、トイレ臭用など、さまざまな場所での除菌や空気清浄ニーズに対応できる5種の特化型脱臭フィルターです。
この製品は新規開発製品ではありますが、構造部品モジュール設計によって圧倒的な開発期間短縮を実現したことも特徴です。併せて国内の自動化生産ラインを活用し、いち早く、広く、お客様にお届けできるよう心がけました。

仁木:
新型コロナウイルスの感染者数の増加に伴い、少しでも早く公共空間で安心して過ごしてもらえるように、通常よりかなり短期間での開発~発売でした。それを実現できたのは、開発グループ、生産技術部、品質管理部、営業部など各関連部門での努力があってのことです。デザイナーとして、ものづくり・開発面とお客様視点、どちらも大切にしながら、製品開発全体が円滑に進められるよう取り組んできました。

空気清浄機のデザインに必要な要素

デザインに込めた思い、こだわった点をお聞かせください。

仁木:
公共空間に設置されることから、デザイン面においては、高級ホテルやカーディーラーなどインテリアにこだわった空間になじむようにスクエアなフォルムデザインを心掛けました。汚れやホコリを拭き取りやすいフラットな全面パネルを採用し、清潔性を維持しやすいのも、安心感を持って使っていただけるための工夫です。従来機や他社製品に比べ背が低いのも一つ特徴です。機器の大きさを意識させず、転倒リスクを下げる狙いがあります。

齋藤:
空気清浄機には、実際の機能だけでなく、「この空間が清浄されていますよ」ということを伝える役割があると考えています。空気がきれいになっていることを、そこにいる人たちに存在として示すということです。コロナ禍を経て、空間の空気が清浄されているかを意識する人が増えていると考えます。そのため、空気が清浄されていることを伝えるデザインを目指しました。

仁木:
そうですね。空気を扱う製品を提供する企業の責務として、すべての人が健康で安心できる空間を提供したいという想いがあります。安心な公共空間づくりと同時に、こだわってつくられた室内内装に調和する製品を意識してデザインしました。
室内内装に調和させるため前パネルはシルバー、側面はグレーのグリルとすることで奥行き方向の存在感を軽減しました。

齋藤:
デザインは「虫の目」「鳥の目」「魚の目」を行き来しながら製品をより良いモノにしていく仕事であると感じています。つまり、流れを意識しつつ俯瞰的に全体を見て詳細を詰めていく、そしてユーザーにより良い価値を提供する、ということです。製品のライフサイクルを考えると、withコロナ、SDGsといった全世界的な社会事象を踏まえ、未来を見据えたデザインをしなくてはなりません。普遍的なものと時代性とのバランスを取りながらデザインしていく。それがデザイナーとしての責務かもしれません。

仁木:
その点は私も常に意識しています。我々は空気の専業メーカーのインハウスデザイナーとして、ものづくり側とお客様双方の視点を理解し、より良い製品にすべく心掛けています。

これからのデザイナーが目指すもの

まだこれからも新型コロナウィルスによる先行きが不透明不安な状態は続くかもしれません。空気・空間に関わるデザイナーに求められることは何でしょうか。

仁木:
このシリーズの機器が設置されている空間は、そこにいる方々に、感染リスクが低く、安心できる空間だと認識していただきたい。多種多様な空間で活用していただき、安心して会話や食事ができる空間づくりに貢献できればいいなと考えます。

齋藤:
空気清浄機が置かれることの大きな価値は、その空間にいる人が、安心して心地いい時間を過ごす土台を築くことにあると思います。そうした安心感や心地よさの体験を今後も提供していきたい。そして、空気というレイヤーを通して、人々の人生をより豊かにするさまざまな体験を、今後の製品でも提供できればと考えています。

仁木 健太郎
仁木 健太郎 ダイキン工業株式会社 テクノロジー・イノベーションセンター プロダクトデザイン担当
入社後、業務用空調機器のデザインを担当した後、国内外の家庭用エアコンや空気清浄器のデザインに多数携わる。テクノロジー・イノベーションセンターの開設と共に、業務用空調機器のデザインに加え、医療機器や産業機器のデザイン開発も担当。
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