「屋内」から「屋外」まで
様々な情報が簡単に手に入り、モノやサービスが飽和している現代社会。だからこそ消費者の「商品」や「サービス」に対する期待値は非常に高く、良し悪しの判断基準もシビアになっています。商品やサービスそのものの価値だけではなく、そこから得られる体験に価値を見出す「コト消費」が消費者に重視されるようになってきました。特に屋外イベントやアクティビティの様な体験型のコンテンツは非常に勢いがあります。その一方で、猛暑続きの日本の暑さ対策は社会的課題となっています。とくに熱中症の対策に関しては自治体やイベント主催者達にとっても、無視できない問題です。
そこでダイキンは、空調専業メーカーとして「消費者ニーズ」と「社会的課題」に向き合い、課題解決と新たな価値創造を目的に、「屋外用エアコン」を開発しました。
機能性とデザイン性で課題を乗り越える
従来の屋外の暑さ対策でよく使用されるミストシャワーや気化式の冷風機は、日本の夏の様な湿度が高い環境下で清涼感が得にくい課題があります。さらにミストシャワーの水分は女性のメイクや髪を崩すので敬遠されたり、衛生面から飲食店では使用できない等の課題もありました。対してアウタータワーは除湿した乾いた冷風を届ける事で爽やかな涼感を得ることができ、水分を含まない分、衛生面の問題も無く、飲食店など様々な場所に設置して頂けます。
屋外用エアコンという特性上、真夏の炎天下という厳しい環境でも安全に使える仕様でなければなりません。そこにデザイン性を組み合わせて両立させるというところには苦心しました。安全性や耐久性の観点から、金属素材で構成する事が必須という条件下でカフェテラスの座席近くや駅のホームといった、人がくつろいだり多くの人が行き交う空間に合うデザインにする必要がありました。アウタータワーはエアコンの室内機と室外機が一体化した構造のため、外気を取り込む為に広い開口が必要です。性能の効率を優先して単純に板金の外装カバーに大きな穴を開けただけでは内部構造がむき出しになって、デザイン性や安全性に欠けてしまいます。そこで開口と目隠しの役割を両立させる為に整然と縦に通った立体的なアルミの格子を全体に施すデザインにしました。
企業の「想い」を表現する
アウタータワーは、世の中の生活スタイルや商品・サービスに求める価値が刻々と変化する中で、暑さで活用できなかった場所を活性化させ、人が集まるコミュニティの場づくりを促進させたいとの想いを込めて開発してきました。様々なモノや情報が簡単に手に入る中で、いかに「新しい価値を生み出せるか」という事が求められる時代です。企業は少しでも人々の暮らしを豊かに出来るように、より一層、モノづくりに対して誠実に取り組むことが重要ではないでしょうか。また、私達デザイナーも、魅力的な商品をつくるだけでは無く、企業の姿勢や想いを表現して伝える役割を担っていかなくてはならないと思います。