アシストサーキュレータはエアコンと連動することで、温度ムラのない快適な空間が実現できる製品です。
「エアコンの死角に風を届けるためにサーキュレータを置くのはどうか」というアイデアは昔からありましたが、社内で議論を繰り返すうちに、アイデアそのものが消えてしまうことがありました。それらニーズのあるアイデア商品を実際に発売して「世に問うてみよう」というプロジェクトが社内で立ち上がったことで今回の開発が実現しました。
今回はデザインにこだわっていくためにファンなどはすべて中に隠して、見た目はすっきりとしたデザインにしました。市場にはすでにタワー型のサーキュレーターはたくさんありますが、風を通すための切れ込みが入ったものが多く、すっきりとした形状のものはありませんでした。
苦労した点は、少し触っただけで凹んでしまわないような強度を守ること。穴が大きければ風もよく通りますが、中身も見えてしまうのでそのバランスの取り合いもありました。
短期間での開発を可能にしたデザイン
デザイン案が決定してから製品になるまでは3ヶ月と短い期間でした。弊社の住宅用のエアコンであれば開発期間が1年というのがスタンダードです。
開発の現場でよく使われるQCDという言葉があります。クオリティ、コスト、デリバリーですが、今回の開発はDにあたる納期が一番重要でした。
例えば円筒を支えるキャップの部分は塗装にしています。表面のツヤを落とすことが目的なのですが、従来行う金型へのツヤ消し加工は納期が間に合わないため、コストのかかる塗装で表面仕上げを行いました。
もうひとつスピード開発を可能にしたのはシンプルなデザインを選んだことにあります。やはり私たちデザイナーと設計担当者がやり取りしていく中で、少しずつデザインは変わっていきます。
『ここが入らないからどうにかしよう』『もっと風を吹かせたいから大きくしよう』など、ディティールのやり取りがありますが、今回に限って言えば、パンチング、キャップという誰にも想像しやすいアイコニックなデザインだったため、ディティールを詰める期間は短縮できました。量産設計しても形が大きく崩れないことを最初から意図していました。
これからの製品開発の変化
弊社の主力製品であるルームエアコンなどは年間20万台生産しますが、アシストサーキュレータの製品の企画台数は3000台です。
今回のスピード開発ではアルミ金型など、工期を短くできる金型を使っています。台数が多いと不具合が出てしまうのでロット数を抑えたつくり方をしています。大量消費大量生産ではなく、個別にカスタマイズした少量生産の流れは今後ますます増えていくと思います。