ページの本文へ

 
トップ > 活動のお知らせ > 2013年10月-2014年3月の活動レポート

活動のお知らせ

活動レポート

2013年10月-2014年3月の活動レポート

事業の成果を発表し、皆さまから意見・助言をいただきました

カツラの森、命あふれる川の復元事業

河原の防鹿柵が完成、カツラの苗も元気に育っています

2013年の夏に着手した岩尾別川沿いの河原の防鹿柵が、多くのボランティアの方の協力を得て11月中旬に完成しました。2014年春からは、この防鹿柵の中で、これまで大切に育ててきたカツラの苗を植えています。

2012年の冬に引き続き、2013年の冬も記録的な大雪に見舞われ、設置した防鹿柵の一部の場所で、ほぼ柵の高さに迫る積雪を確認しました。今年はかさ上げ作業をせずに、柵内にシカが入っていないかを確認するための巡視の回数を増やして対応しました。

河原に総延長約270メートルの柵が完成しました    河原に総延長約270メートルの柵が完成しました

2014年春から柵の中でカツラの苗を植えていきます2014年春から柵の中でカツラの苗を植えていきます

川の構造が少しずつ本来の姿に戻りつつあります

2013年7月、岩尾別川流域の3ヵ所に岩石を配置することで、本来の流れからずれてしまった河道を中央に誘導しました。10月から11月にかけて、数回の大雨があり、配置した岩石の一部が押し流されてしまいました。

しかし、川の流れに変化があったものの想定の範囲内ですみ、川の環境がうまく改善されつつあることがわかりました。

事業の進捗報告をし、皆さまから意見や助言をいただきました

2013年11月に、斜里町主催の「しれとこ100平方メートル運動地森林再生専門委員会議」が開催されました。年に1~2回開かれるこの会議では、動植物の専門家や地元の有識者が参加するほか、環境省や北海道森林管理局などの関係行政機関の職員がオブザーバーとして加わり、森づくりの成果の確認や課題について議論が繰り広げられています。

今回の会議では「カツラの森、命あふれる川の復元事業」について進捗報告をしました。専門家やオブザーバーの皆さまに、河原の防鹿柵や、河川を本来の姿に戻す取り組みを実施している作業地を視察していただき、「林業的には難しいとされるカツラの苗木の育成に期待している」といったご意見が寄せられ、それぞれの分野から助言をいただきました。

専門家やオブザーバーの皆さまに現地を視察いただきました専門家やオブザーバーの皆さまに現地を視察いただきました

知床の人とヒグマの共存事業

地域の方々に電気柵の成果をお知らせしました

2013年10月、これまでに設置した電気柵を北と南に延長し、キキリベツ地区からルサ川右岸と、昆布浜地区から相泊地区の区間に合わせて約2.1キロメートルの電気柵を新たに設置して試験稼働を開始しました。

また、12月初旬には、電気柵の設置区間で昆布漁や定置網漁を営む78世帯の皆さまに、電気柵の設置状況やその効果を報告するためのチラシをお送りしました。電気柵の設置場所や、柵を設置してからクマやシカの出没が減ったこと、電気柵に関するお願いごとなどを掲載し、地域の皆さまにご理解とご協力をお願いしました。

電気柵を新たに約2.1キロメートル延長しました電気柵を新たに約2.1キロメートル延長しました

ヒグマたちにも食欲の秋が到来しました

2012年はカラフトマスが産卵のために川に上がってくるのが異常に遅れたため、飢餓状態に陥ったヒグマが多数みられました。2013年はカラフトマスやシロザケ(アキアジ)が順調に川を遡上し、さらにまれにみるヤマブドウの豊作年でもあったため、9月に入るとヒグマたちはみるみるうちに太っていきました。

ヒグマのように、半年ほどの短い期間で、太り方がこれほど大きく変化する動物はそういません。人間が肥満体からシェイプアップをしてスマートになるには、並々ならぬ努力が必要ですが、ヒグマは、激太りの状態で冬眠に入り、やせた状態で目覚めるというサイクルを毎年、繰り返しているのです。

はち切れんばかりにまるまると太ったヒグマはようやく今年の冬支度を終え、長い冬眠に入っていきました。

地面につきそうなほどお腹がふくらんだ「超肥満」のヒグマの立派なお尻地面につきそうなほどお腹がふくらんだ「超肥満」のヒグマの立派なお尻

ヒグマの遺伝子分析の研究結果を発表しました

ヒグマが冬眠する冬は、遺伝子分析を精力的に行いました。ダートバイオプシー(特殊な注射器を発射して針に残った組織を分析)、ヘアートラップ(有刺鉄線に引っかかった体毛を分析)、背擦り木(ヒグマが背擦りした木に付着した体毛を分析)によって2013年に採取したサンプルのほか、過去に採取されたヒグマのサンプルもあわせて、分析をしました。その結果、強いオスが半島内を広く動き回り各地で多くの子どもを残していること、若いオスは生まれた場所から移動する過程で命を落とすことが多いといったことが明らかになってきました。

2014年3月、こうした研究成果を、ヒグマを研究対象にしている研究者や学生が集まる「ヒグマ研究ワークショップ」で発表し、有益なアドバイスをいただきました。

「ヒグマ研究ワークショップ」で成果を発表しました「ヒグマ研究ワークショップ」で成果を発表しました

※ 本WEBサイトに掲載されている写真は、公益財団法人 知床財団のご協力によるものです。

ページ上部へ戻る

ページの先頭へ