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空気と環境に関する社会課題を解決しサステナブルな成長をめざします

変化する事業環境に強みを発揮

原材料・物流費の高騰、インフレの高進や景気減速など、事業環境が想定以上に悪化するなか、変化をチャンスと捉え販売網の拡充や製品の安定供給など柔軟に手を打つことで、2022年度は売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました。これは当社がこれまで培ってきた強みを最大限に発揮した成果と考えています。

空調メーカーの社会的使命を果たす

当社は世界で唯一、空調機器と冷媒の両方を製造する企業として、環境技術を活かした製品・サービスを世界中に提供しています。主力事業である空調は、社会に欠かせないインフラの一つです。暑い地域の室内環境を変革するとともに、熱中症の予防や空気質の改善を通じて人々の健康に寄与し、労働効率の向上にも貢献してきました。

半面、空調使用に伴う電力需要の増大が大きな課題です。世界の空調需要は、2050年に現在の3倍に拡大するとの予測もあります。コロナ禍で高まったニーズに応え、安全・安心で健康・快適な空気環境を提供しながら、将来にわたって温暖化影響を限りなく低減することが当社の社会的使命です。環境・社会課題の解決を事業の成長につなげていくために、自らのなすべきことを真摯に考え、実行する企業であり続けます。

事業を通じた環境・社会課題の解決に向け戦略経営計画を推進

2025年度を目標年とする戦略経営計画「FUSION25」において、当社は重点テーマの一つに「カーボンニュートラルへの挑戦」を掲げています。ライフサイクルを通じた温室効果ガス実質排出量を、2019年を基準としたBAU比で2025年に30%以上、2030年に50%以上削減する目標を定めています。インバータ技術や低温暖化冷媒などを用いた環境調和製品の普及拡大を進めており、2022年度は14%削減しました。

中間年度にあたる2023年、「FUSION25」後半3ヵ年計画を策定しました。世界で加速度を増すカーボンニュートラルへの動きを成長の絶好の機会とし、グローバルでのインバータ製品普及の加速などの従来施策に加えて、2030年をめざした自社空調事業拠点での温室効果ガス排出実質ゼロ化を新たに打ち出すと同時に、カーボンニュートラルの実現に貢献できる事業に一層注力します。

その一つが暖房・給湯事業です。脱炭素の機運の高まりに加えて、エネルギーの価格高騰や化石燃料の調達不安などから、欧州を中心に、燃焼式からヒートポンプ式への暖房転換が推進されています。空気中の熱を利用するヒートポンプへ置き換えることで、CO2排出量を大幅に減らせます。高まる需要に応え、当社は2024年に欧州新工場を稼働し、ヒートポンプ暖房給湯機の生産能力を2025年に従来の4倍に増強する計画です。

加えて、循環型経済への移行も重要な時代の要請です。再生材料の活用はもちろん、空調に欠かせない冷媒を回収・再生する「冷媒エコサイクル」の構築が、その実現に向けた当社の最大の貢献と考えています。事業化は容易ではありませんが、まず欧州、日本、米国で、回収・再生網の構築を進めます。また一方で、コロナ禍を経て、人々の空気・換気ニーズ、室内空気質への意識も高まっています。独自技術を活かして、感染症のリスクを低減する空間、アレルゲンフリーの空間など、お客様への新たな価値提供をめざします。

Business As Usualの略。ここでは、未対策のまま事業が成長した場合の排出量を指す。
売上高 温室効果ガス実質排出量の削減率
温室効果ガス実質排出量=製品ライフサイクルでの温室効果ガス排出量ー温室効果ガス排出削減貢献量。

企業の競争力の源泉は「人」

今、人材をコストではなく重要な資本と捉える「人的資本経営」が注目されています。当社は従来、企業の競争力の 源泉は「人」であるという信念を持って経営基盤を築いてきました。グループ経営理念のなかにも「一人ひとりの成長の総和がグループの発展の基盤」を掲げています。

当社の持続的な成長を支えているのは、経営トップと現場の距離が近く、一体感を持った組織運営を旨とする「フラット&スピード」の経営と、「ダイバーシティマネジメント」の実践です。経営陣と現場の一体感・信頼感に裏打ちされた、世界中で9万人を超える従業員の多様な価値観が当社の競争力の源泉であり、文化・民族・世代・生活習慣などの異なる人材を糾合し、一人ひとりの個性や強みを組織の力として活かしてきました。

2024年の創業100周年を見据え、これからも多様な人に働く喜びや挑戦の機会を提供し続ける企業であり続けるとともに、「人」の力を、社会と当社の持続的な成長発展につなげていきます。

ステークホルダーの期待に応え続ける

当社は、国連グローバル・コンパクトの10原則を支持しています。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同しています。

2023年には新たに、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)に加盟しました。セクターや地域を超えて、多くの企業とともに、気候変動をはじめとする社会課題の解決に尽力します。政府・自治体や国際組織、NGOなどと双方向のコミュニケーションを重ね、相互に協力して社会に価値を創造し成長する企業として、さまざまなステークホルダーの期待にこれからも応え続けます。

ダイキン工業株式会社
代表取締役社長兼CEO
十河政則

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