写真:アフロ
見ても楽しい、人に風を当てない道具
貴人に風を当てないための道具として、周の時代から使われていたとされる屏風。7世紀には、新羅の国から大和朝廷に献納された記録が残っている。奈良の正倉院には山鳥の羽根を貼り付けた「鳥毛立女屏風」も伝わっており、古くから一種のカンバスとして使われていたことがうかがえる。室町時代に入ると武家、公家、禅僧らの間で流行した東山文化の影響を受けて、ダイナミックな山水面も多く描かれるようになった。日本製の屏風は中国で「軟屏」と呼ばれ珍重されたことから、盛んに輸出されて外貨獲得にも一役買ったとされている。深山幽谷の趣を居ながらにして楽しめる屏風は、さながら現在の大画面薄型テレビといったところかもしれない。