吉良川町の「石ぐろ」。最大風速85mを記録した第二室戸台風からも家を守った。
写真:椿雅人/アフロ
古くから家族を見守ってきた石の壁
剣山から連なる山並みが、東西の海岸線を収斂して忽然と太平洋に没する室戸岬は、多くの嵐が上陸する「台風銀座」でもある。荒れ狂う風から家を守るために築かれたのが、川石を大人の目の高さほどに積み上げた「石ぐろ」と呼ばれる塀だ。そよ風は家に取り入れて暑さをしのぎ、強風ははね上げてやり過ごす。絶妙な高さのさじ加減といえるだろう。
土佐湾に面した吉良川町に残る古い「石ぐろ」は、どれも頼もしくも柔和なシルエットを見せる。家族を見守ってきた威厳と自信のなせる業かもしれない。