2日間で60万人が浅草寺を訪れ、植木鉢と風鈴を下げて家路につく。
かすかな風でも涼感を届ける知恵
下町に夏の到来を告げるのが、浅草寺のほおずき市。7月の9日と10日に観音様にお参りをすると四万六千日分の功徳があるとされていることから、参詣に訪れる多くの善男善女が求めるのが、縁起物の「千成ほおずき」だ。境内に並ぶ店は約200店。よしず張りの店先では、いなせな若い女性の売り声が響き渡る。この喧騒のなか、ひときわ鳴りわたるのが、透明なガラスで作った江戸風鈴の音色である。享保年間に長崎に伝わったといわれるガラスを使った風鈴は、かすかな風にも凛とした音色を響かせ、ひと時の涼感を届けてくれる。