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室内の空気と、外の空気を入れ換えることで、室内の空気中にある汚染物資(人間に対して悪い物)を、室内から外へ出したり、薄めたりすることです。
汚染物質(人間に対して悪い物)は、⼆酸化炭素(CO2)、⼀酸化炭素(CO)、ホルムアルデヒド(HCHO)、ハウスダスト、花粉、細菌、ウイルスなどがあります。
換気をすることで、これらの汚染物質を屋外に出したり、薄めたりすることが期待できます。
閉めきった室内は、空気が屋外に出にくいため、汚染物質がずっと室内に存在したり、増えたりしたままの状態になってしまいます。そして、その空気が、人間に対して悪い影響を与えます。
これらの汚染物質を屋外に出したり、薄めたりするためには換気がとても大切です。
エアコンは、「室内の空気を吸い込んで」、その空気を冷たくしたり温かくしたりした後に「室内に戻す」ことで、快適な環境をつくるものです。室内の空気と外の空気を入れ換えてはいません。
そのため、ほとんどの店舗やオフィスのエアコンは、それだけでは換気ができません。
エアコン以外のやり方で、換気をする必要があります。
オフィスや店舗が入っている建物は、基本的には室内の換気がしっかりできています。 なぜなら、床面積とそこで過ごす人の数に応じて、建築基準法で定められた換気設備が設置されているからです。一般的に、オフィスでは働く人が快適かつ効率的に仕事ができるように、店舗ではお客さまが快適に過ごせるように、入口のドアや窓が閉め切られています。また大規模な建物では、窓がない場合や、窓があっても開閉できないこともあります。そのため、汚れた空気が建物にたまることがないように、機械(換気設備)が設置されているのです。
一方で、お店が混み合っている場合や、会議室で大人数が長時間の会議をする場合などには、換気設備に任せるだけでなく、窓やドアを開けて積極的に空気を入れ替えることも有効です。
まずは、自分のオフィスや店舗に設置されている換気設備がどのようなタイプで、どんな動作をするのか、どう稼働させるべきなのか、あらためて確認・理解しましょう。
オフィスや店舗が入っている建物によって、入居している人が換気設備を個人で操作できる場合と、建物の管理会社などが操作する場合があります。また、窓が開けられる場合と、開けられない場合などによっても、自分でできる換気の方法は異なります。「オフィス・店舗での換気の知恵」では、次の3つのケースに分けて換気の方法をご紹介します。
換気設備が設置されている小型の店舗では、働いている人が換気設備をリモコンで操作することがほとんどです。エアコンは、暑さや寒さに応じて日頃から温度や風量を調節して使用しているため、エアコン本体やリモコンがどこにあるかよくわかっていると思いますが、換気設備はどこにあり、どのように運転されているかご存じでしょうか。 リモコンで操作する換気設備には大きく分けて「天井換気扇※図1」と「全熱交換器※図2」の2種類があり天井裏など見えない場所に設置されています。
①リモコン・スイッチ ②換気フード ③換気口(排気)
④ドアガラリ ⑤ガラリ/ベンドキャップ ⑥排風機
①リモコン・スイッチ ②換気フード ③換気口(排気)
④ドアガラリ ⑤ガラリ/ベンドキャップ ⑥全熱交換機
まず、設置している換気設備がどんなタイプで、リモコンや換気設備、換気口がどこにあるか、どんな風に換気されているかなど把握しましょう。
換気に使う壁や天井の換気口には必ずフィルターがついていますが、フィルターなどのお手入れをしておらず、換気能力が低下していても気がつかないことがあります。フィルターがつまると換気の効率が落ちますので、定期的に清掃をすることも大切なポイントです。(フィルターは機械の保護や屋外から虫が入らないようにするためについていますので、絶対に外して運転させないでください。)
また、換気設備のリモコンにも注意が必要です。換気設備のリモコンは、エアコンのリモコンと一体になっていることがあります。春や秋などの過ごしやすい季節には冷房・暖房だけでなく、換気も停止させてしまっていることがありますのでご確認ください。
天井の換気口の汚れ
換気扇の汚れ
外壁の換気口の汚れ
電源がONになっているか、確認しましょう。
①のように「全熱換気」(もしくは普通換気、自動換気)という文字が標記されている場合は、エアコンと換気のリモコンが共通になります。
ご注意)エアコンを切ると換気も止まってしまいます。
②春や秋などの中間期には運転切替画面から「換気」モードを選択して、電源をONにしてください。
電源がONになっているか、確認しましょう。換気量を増やしたい場合は、風量を切り替えてください。
なお、換気設備の操作・運転方法や掃除・お手入れで困ったら、必ず専門の業者に相談をお願いします。
しっかり掃除・お手入れされた換気設備が運転している場合は、通常の換気ができています。さらに窓や入口ドアを開けて換気することで、より確実で効果的な換気をすることができるのです。
窓を開けて換気するときの時間と回数の目安は、1時間に10分程度と言われています。
また、1時間に10分の換気を1回するよりも、1時間に5分の換気を2回する方が換気の効果は大きくなります。
できるだけ、回数を多く換気をすると効果的です。
店舗の営業時間前や休憩時間なども有効に使って換気しましょう。
窓開けで換気をする時は、1か所の窓だけでなく、2カ所の窓を開けることで空気の通り道ができて効率的な換気ができます。窓から風が入る場合は、窓を開けましょう。2つの窓は対角線上にあるとさらに効率的です。
近い2つの窓を開けた場合、部屋全体の空気が流れないため、対角線よりも換気の効率は悪くなるので注意してください。
飲食店の個室などで窓がない部屋の場合は、まず、その部屋の周辺の天井にある換気口(排気)の位置を確認しましょう。部屋のドアを開けて、扇風機やサーキュレータなどを置いて部屋の外か中に空気が流れるようにしましょう。
換気口(排気)が 部屋の外にある場合は、ドアを開けて扇風機などでその部屋の外に空気を出すようにしましょう。
※その際には、個室奥とドア部分両方に扇風機やサーキュレータがあるとより効率的です。
換気口(排気)が 部屋(個室)の中にある場合は、ドアを開けて、扇風機などでその部屋の中に風を送り込むようにします。
おおむね10階建以下のビルに入っているような小型から中型のオフィスでは、働いている人が、換気設備をリモコンで操作できる場合とビルの管理会社しか操作できない場合の2つに分かれます。
まず、設置している換気設備がどんなタイプで、リモコンや換気設備、換気口がどこにあるか、どんな風に換気されているかなど把握しましょう。
①のように「全熱換気」(もしくは普通換気、自動換気)という文字が標記されている場合は、エアコンと換気のリモコンが共通になります。
ご注意)エアコンを切ると換気も止まってしまいます。
②春や秋などの中間期には運転切替画面から「換気」モードを選択して、電源をONにしてください。
なお、換気設備の操作・運転方法や掃除・お手入れで困ったら、必ず専門の業者に相談をお願いします。
①リモコン・スイッチ ②換気フード ③換気口(排気)
④ドアガラリ ⑤ガラリ/ベンドキャップ ⑥全熱交換機
①リモコン・スイッチ ②換気口 ③換気扇(排気)
④ドアガラリ ⑤ガラリ/ベンドキャップ ⑥全熱交換機
中型のオフィスでは、ビルの空調や換気設備は、ビルの管理会社が操作している場合が多く、このような場合は、入居している企業の総務部などの担当部門にて、換気設備の運転状況(時間や風量など)や、掃除・お手入れの状況を確認・把握することが重要です。
一方、小型のオフィスでは、入居者自身が換気設備の管理や掃除・お手入れをする場合があります。換気設備や換気に使われる壁や天井の換気口のダクト(風の通り道)には必ずフィルターがついています。換気設備はエアコンに比べて効果を体感しにくく、日ごろ意識しにくいこともあり、フィルターなどのお手入れを怠って換気能力が低下していても気がつかないことがあります。
フィルターがつまると換気の効率が落ちますので、定期的に清掃をしましょう。
フィルターの掃除・お手入れは、点検は1か月ごと、交換は1年ごとが目安※とされています。
フィルターは機械の保護や屋外から虫が入らないようにするためについていますので、絶対に外して運転しないでください。
換気設備の操作・運転方法や清掃・メンテナンスなどで困ったら、必ず専門の業者に相談しましょう。
オフィスでは、レイアウトや間仕切りが変更されることも多く、新築時に設計された空気の流れが制限され、いろいろな場所で空気のムラやよどみが発生しやすくなっています。小型~中型のオフィスで、入居している建物の窓が開閉する場合は、換気設備の使用と併せて、窓や入口ドアを開けて、空気の入れ替えをすることでより確実で効果的な換気をすることができます。
窓を開けて換気するときの時間と回数の目安は、1時間に10分程度と言われています。
また、1時間に10分の換気を1回するよりも、1時間に5分の換気を2回する方が換気の効果は大きくなります。できるだけ、回数を多く換気をすると効果的です。
オフィスでの始業時間前や昼休みの時間なども有効に使って換気しましょう。
窓開けで換気をする時は、1か所の窓だけでなく、2カ所の窓やドアを開けることで空気の通り道ができて効率的な換気ができます。窓から風が入る場合は、窓を開けましょう。2つの窓は対角線上にあるとさらに効率的です。
中型オフィスの場合
小型オフィスの例
近い2つの窓を開けた場合、部屋全体の空気が流れないため、対角線よりも換気の効率は悪くなるので注意してください。
中型オフィスの場合
小型オフィスの例
外の空気がどの窓からいつも部屋に入ってきているかは把握しているものの、少ししか空気が入ってきていないと感じるときには、空気が入ってくる窓を小さく開け、空気が外に出る側の窓を大きく開けると効率的な換気ができます。 空間に入ってくる空気の量と出ていく空気の量が同じ場合、空気の入口が小さいほうが勢いよく流れるという性質があります。空気の入口を小さく、出口を大きく開けることで、部屋の空気が攪拌され、室内のより広い範囲を換気することができます。
会議室などで窓がない部屋の場合は、まず、その部屋の周辺の天井にある換気口(排気)の位置を確認しましょう。部屋のドアを開けて、扇風機やサーキュレータなどを置いて部屋の外か中に空気が流れるようにしましょう。
換気口(排気)が 部屋の外にある場合は、ドアを開けて扇風機などでその部屋の外に空気を出すようにしましょう。
※その際には、会議室奥とドア部分両方に扇風機やサーキュレータがあるとより効率的です。
もし、換気口(排気)が 部屋・会議室の中にある場合は、ドアを開けて、扇風機などでその部屋の中に風を送り込むようにします。
密閉された会議室は、特に空気のよどみが発生しやすい場所です。長時間の会議や大人数での会議などでは、人の吐く息で二酸化炭素の濃度が高くなり、集中力低下の原因になります。
会議室を短時間で換気をしたい場合には、換気設備に任せるだけでなく、窓やドアを開けて積極的に空気を入れ替えることも有効です。
オフィスビルや商業施設など、窓が開かない大型の建物では、換気は機械によって効果的に行われています。広い空間では、大型の機械で換気をしたほうが効率が良いため、換気設備は機械室と呼ばれる一般の人は入れない部屋に設置され、建物の管理会社が運転操作を行います。
窓が開かないので換気が不十分ではないかと心配する必要はありません。
ビルや商業施設には、人がかなり密集した状態でも健康に影響が生じない十分な能力がある換気設備を設置することが建築基準法で定められており、機械のメンテナンスも管理会社が適正に行うことになっています。
ただし、換気設備の運用は建物によって様々です。たとえば、オフィスを利用する人の在室時間を基に、9時~18時というようにあらかじめ決まったスケジュールで運転時間が設定され、時間帯によっては、換気設備が動いてない場合もあります。 時差勤務や休日出勤をする場合などには、働いている時間帯に必要な換気がされているか、お勤め先の総務部などの担当部門や建物の管理会社に確認することをおすすめします。
①換気機器や換気設備(換気口:排気口・給気口など)の設置場所や種類
… 居室/執務室、会議室、応接室、役員室、更衣室、給湯室、トイレ、など
②換気設備の運転時間(平日/休日)
③換気設備の設定換気量(平日/休日)
④換気設備のメンテンナンス時期・タイミング
⑤フィルターなどの清掃や取り換えの時期・サイクル
フィルターの汚れ
換気口(排気口・給気口)の汚れ
オフィスでは、沢山の人が集まる会議室や食堂などで、一時的に汚染物質が増加するタイミングがありますので場面や場所により、換気をより強化することもおすすめです。「2.小型~中型のオフィス<おおむね10階建て以下の小・中規模ビルに入っているオフィス>」でご紹介している換気の方法を参考にしてください。
また、窓が開かない大型ビルでも、室内にエアコンや換気設備のリモコンがある場合は、部屋を利用する人が換気の運転を管理する必要がありますので、「2.小型~中型のオフィス<おおむね10階建て以下の小・中規模ビルに入っているオフィス> 」を参考にしてください。
オフィスや店舗の換気では、まず、備え付けの換気設備を確認し、それを使った適切な換気を行いましょう。 ただし、時間帯によって人が集まったり、間仕切りが変更されたり、フィルターがつまったりすることで、換気が十分にできない可能性もあります。それぞれの働く環境や建物のつくりに応じて、いままでご紹介した方法で空気の流れをつくることで効果的に換気が行えます。また、会議室などでは、会議終わりにドア開け換気をするなど、人の動きに沿って無理なく上手にできる換気を習慣化しましょう。
会社や部署で「窓開け換気」が可能な場合は、部署ごとに「換気ルール」を決め、当番制などで毎日の換気を実践してみてはどうでしょうか。
毎朝始業前に「窓開け換気」をすることで、夜間にこもった空気が排出され、健康で気持ちのいいオフィス業務がスタートできます。特に、夏場の土日明けの月曜日は、2日間部屋にこもった熱気とよどんだ空気を換気してすることで、少しでも室温も下げてからエアコンを入れる方が、節電にもつながります。
『人が入れ替わる/人がいないタイミングが空気も入れ替えるタイミング!』と考え、会議室の「換気運用方法」を決め実践してみましょう。
会議では1時間ごとに数分間のドア開け換気をしたり、会議をしていない時間や会議終わりのタイミングでは、必ずドアを開けておくなど、実践できるルールを決めて運用することで、換気を習慣化しましょう。
空気の可能性を信じ、追い求め、
新しい価値をくわえて
これまでになかった空気を、世界へ届けます。