空気の質に対する関心が高まり、換気の重要性が見直されています。
換気とは、部屋の中の空気と、外の空気を入れ換えることで、部屋の空気中にある汚染物資(人間に対して悪い物)を、部屋の中から外へ出したり、薄めたりすることです。
汚染物質(人間に対して悪い物)は、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、ホルムアルデヒド(HCHO)、ハウスダスト、花粉、細菌、ウイルスなどがあります。
換気をすることで、これらの汚染物質を部屋の外に出したり、薄めたりすることが期待できます。
閉めきった部屋は、空気が部屋の外に出にくいため、汚染物質がずっと部屋の中に存在したり、増えたりしたままの状態になってしまいます。そして、その空気が、人間に対して悪い影響を与えるからです。
これらの汚染物質を部屋の外に出したり、薄めたりするためには換気がとても大切です。
みなさんの住んでいる、家やマンションなどの住宅の多くは、「気密性」が高くて、汚れた空気が部屋の外に出にくいのです。このような住宅では、なにもしないと十分な換気ができず、汚れた空気が部屋の中にどんどんたまっていきます。
エアコンから出ている空気は、家の外から取り入れたものだと思って、エアコンを運転すれば換気ができると誤解していませんか?
エアコンは、「部屋の中の空気を吸い込んで」、その空気を冷たくしたり温かくしたりした後に「部屋の中に戻す」ことで、快適な環境をつくるものです。部屋の中の空気と外の空気を入れ換えてはいません。
そのため、ほとんどのエアコンでは換気ができません。
エアコン以外のやり方で、換気をする必要があります。
部屋をすずしくするとき
部屋をあたたかくするとき
あなたの住んでいる家やマンションが2003年7月より後の建物であれば、もともと換気をする仕組み(換気口・24時間換気システム)がついています。しかし、正しく使われていないことが本当に多いのです。
部屋の壁や天井には「換気口」がついています。生活をしていて、お風呂やトイレ、洗面所などの換気扇を使うと、換気口から部屋の中の汚れた空気が建物の外に出され(排気)、同時に建物の外から新しい空気を取り込む(給気)よう設計されています。家やマンションの換気ではこの換気システムが最も一般的で、2時間で室内の空気をまるまる一回入れ替えることができます。まずは今すでにある24時間換気システムをきちんと「正しく」使うことが基本です。
スイッチ例①
スイッチ例②
壁の換気口例①
壁の換気口例②
浴室の換気口例
しかし外から空気が入ってきて寒い(または暑い)という理由で換気口を閉じたり、24時間換気システムのスイッチをオフにしたりしてしまうと、せっかくの換気システムが役割を果たすことができず、知らず知らずのうちに室内の空気に汚れがたまってしまいます。換気口は開けた状態で、24時間換気システムはいつもオンにして「正しく」使用するようにしてください。
窓を開けて換気するときの時間と回数の目安は、1時間に5~10分程度と言われています。
ただし、窓や部屋の大きさや、室内に浮遊している汚染物質の種類によって外に出るスピードは異なるため、どの程度の換気であれば確実に感染症リスクが抑えられるのか、換気の効果について一概にはいえません。
また、1時間に10分の換気を1回するよりも、1時間に5分の換気を2回する方が換気の効果は高くなります。
できるだけ、回数を多く換気をすると効果的です。
窓開けで換気をする時は、1か所の窓だけでなく、2カ所の窓を開けることで空気の通り道ができて効率的な換気ができます。窓から風が入る場合は、窓を開けましょう。2つの窓は対角線上にあるとさらに効率的です。
近い2つの窓をあけた場合、部屋全体の空気が流れないため、対角線よりも換気の効率は悪くなるので注意してください。
窓から風が入りにくい場合は、風や空気は、小さい隙間から勢いよく入り、大きい隙間から(小さな力で)出ていきやすいという性質があるため、外から空気が少しでも入ってくる側の窓は小さく開けて、外に空気が出る側の窓を大きく開けると効率的な換気ができます。
窓が1つしかない場合は、部屋のドアを開けて、扇風機などを窓の外に向けて設置すると効果的です。
扇風機を窓の方へ向け、部屋の外に空気を流すのが上手な使い方です。扇風機を部屋の方へむけて、窓の外の空気を部屋に入れるやり方では、外の空気は部屋に入ってきますが、汚れた部屋の中の空気が外に出ずに部屋の中にとどまることがあるからです。
窓がない部屋の場合は、部屋のドアを開けて、扇風機などを置いて部屋の外に空気が流れるようにしましょう。浴室や洗面室、トイレなどに設置されている換気扇を運転すると、他の部屋から流れてきた空気も効率的に家の外に出すことができます。
住宅の換気扇の中でも排気量が特に大きい台所の換気扇を運転することで効果的に換気することができます。その場合は、台所に近い窓を開けると部屋全体の空気が換気されにくいので、台所からできるだけ離れた窓を開けるようにしましょう。窓を2つ開けている場合でも、台所の換気扇を運転することで、換気をアシストすることができるので、窓開けと換気扇の併用はおすすめです。
お住まいの環境に応じて、今まで説明した、①今すでにある24時間換気システムをきちんと使うこと、②窓を開けて空気の通り道を作ること、③台所の換気扇を活用することをうまく組合せて、換気を効率的に行いましょう。
バルコニーに接する窓と玄関側のどちらかの窓を開け、途中の扉を開けるとよいでしょう。
バルコニーに面する窓を、左右で2か所開けましょう。
※バルコニーの窓で換気する場合、1か所を開けても風の出入りが起こらないので、両端を開けて風が流れるようにします。
それでも風が流れない場合は、台所の換気扇(レンジフード)を運転する。バルコニーの窓はレンジフードから離れた窓を一部開ける。
動画でも換気の方法を紹介しています。
夏場、外から帰ってきた場合、エアコンの電源を入れる前に、部屋にこもった暑い空気を換気で外に出すと、すばやく効率的に部屋を冷やすことができます。
夏場に窓を開け換気をする場合、外の空気が入り部屋の温度が上がりやすくなります。換気の際、少し暑いな!?と思ったら、エアコンをつけたままでエアコンの設定温度を少し低めにし、熱中症に気をつけましょう。
多くのエアコンが窓の近くに設置されています。エアコンをつけたままで換気をする場合は、できるだけエアコンから離れた窓を開けるようにしましょう。外から入ってくる温度の高い空気をエアコンが直接吸い込むと、エアコンに負荷がかかり、電気代が上がる原因となります。
また、できるだけエアコンから離れた窓を開けることで、温度が高い空気を急激に冷やした際に、エアコンの吹き出し口などに結露が発生するのを防ぐことにもなります。
冬場の朝や、外から帰ってきた場合には、まずエアコンの暖房を入れ、部屋が暖かくなってからエアコンは運転したままで窓を開けて換気をしましょう。冷えた壁、床、天井を暖めておくことで、窓開け換気をしても部屋の温度が下がりにくくなり、快適に過ごせます。窓開け後も昼間は窓からの日差しを取り入れ、夜はカーテンを閉めて窓からの冷気を抑えることで暖房効果が高まります。部屋の温度が上がる前に窓を開けてしまうと、室温とエアコンの設定温度の差が広がり、エアコンにかかる負荷が大きくなって電気代が上がってしまう原因になります。起床時間や帰宅時間が分かっている場合には、エアコンのタイマー機能を使ってあらかじめ暖房運転で部屋を暖めておくことが有効です。
冬場に窓を開け換気をする場合、外の空気が入り部屋の温度が下がりやすくなります。一般的に言われている夏場の窓開け換気の時間と回数の目安は、1時間に5分の換気を2回です。冬場の換気の際に少し寒いなと感じたら、5分より少し短めの換気を2回することを目安にしましょう。
冬場は夏場と比べて室内と室外の温度差が大きく、暖かい空気が冷たいところに逃げようとするため、窓を開けると空気が自然に流れやすくなります。また、冬は風も強いので、夏場より少し短い時間でも必要量の換気ができます。 キッチンのレンジフードを運転することも、短時間での効率的な換気につながります。
夏と冬の室内と室外の温度差
多くのエアコンが窓の近くに設置されています。エアコンをつけたままで換気をする場合は、できるだけエアコンから離れた窓を開けるようにしましょう。エアコンの暖かい空気がそばにある窓から出てしまうと、効率的に暖めることができず、エアコンに負荷がかかり続けて電気代が上がる原因となります。
冬場は、窓開け換気をすることで、結露の抑制にも有効です。結露は、室温と外気の温度差が大きく室内の湿度が高いときに発生しやすくなります。結露というと、窓についた水滴をイメージしがちですが、窓だけでなく押し入れの奥や壁や床など、居住空間よりも温度が低い場所や空気の対流がない場所では、湿度の高い空気が冷やされて結露となり、カビの原因にもなります。それらを抑制するためにも冬場の窓開け換気は欠かせないものです。特にリビングは食事をしたり、長時間人がいたりすることでも湿度が高くなりがちなので、例えば就寝前に(歯磨きをしている間だけでも)、リビングの窓開け換気などをすると建物全体の結露を抑制することにもつながります。
花粉シーズンに窓を開けて換気をする場合、どうしても花粉が外の空気と一緒に室内に入ってしまいます。
換気をした後花粉は壁際に集まります。
花粉が溜まりやすい窓際付近は、定期的に掃除機をかけたり、濡れタオルを使って取り除きましょう。床に溜まった花粉が再び空気中を舞うのを抑えることができます。
外の空気とともに窓から部屋に入ってきた花粉は、気流に乗って窓の正面の壁にぶつかり、壁に沿って左右に広がっていきます。
空気清浄機を使用する時は、空気が入ってくる窓の正面の隅に置くことで、壁に沿って広がる花粉を効率的に吸い込むことができます。また、風量が大きいほどたくさんの花粉を吸い込みます。
空気の可能性を信じ、追い求め、
新しい価値をくわえて
これまでになかった空気を、世界へ届けます。