24時間「つけっぱなし」にしたエアコンと、30分間隔でON/OFFを繰り返したエアコンの消費電力量を比較し、「つけっぱなし」の方が安くなる時間帯を調べました。
全ての時間帯で、30分間隔で「こまめに入り切り」するよりも「つけっぱなし」にした方が消費電力量は小さく、電気代が安くなりました。
時間帯 | 「つけっぱなし」 | 30分間隔で「こまめに入り切り」 | ||
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消費電力量[kWh] | 電気代換算[円] | 消費電力量[kWh] | 電気代換算[円] | |
深夜~早朝 23:00~06:00 | 5.0 |
135 | 8.5 | 230 |
日中 06:00~18:00 | 7.8 | 211 | 11.2 | 302 |
夜間 18:00~翌日23:00 | 3.3 | 89 | 4.2 | 113 |
※電気代換算値は電力料金単価を27円/kWhとして計算
…省電力量が小さい方(電気代換算が安い方)
実証実験①の「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」のそれぞれの消費電力量と電気代の結果(表1)を見ると、全ての時間帯で「こまめに入り切り」するよりも「つけっぱなし」の方が消費電力量が小さくなっています。30分程度なら、エアコン暖房を切るより「つけっぱなし」がお得という結果になりました。
このような結果になった理由として、「こまめに入り切り」した場合、何度もエアコンの運転をONにした直後に多くの電力を消費したということが考えられます。
エアコンは設定温度を維持する時よりも、運転を開始した直後の室内温度と設定温度の差が大きい時に電力を多く消費します。エアコンを「つけっぱなし」、「こまめに入り切り」したときの消費電力量は、右のグラフ内、黄色で塗られた面積の大小で決まります。頻繁なエアコンの入り切りは、時に消費電力量を大きくしてしまうことがあるのです。
これらのことから、短い外出であっても、部屋を不在にするときにはこまめに運転をOFFにするといったエアコン暖房の使い方は、省エネ、エコという視点からみると、条件次第では逆効果になる可能性があることが分かります。
エアコンの「つけっぱなし」にした場合と「こまめに入り切り」した場合の消費電力イメージは下記ページでも紹介しています。
1日の生活スケジュールを想定して、外出時/在宅時に関わらず24時間「つけっぱなし」にしたエアコンと、外出時に運転をOFFにしたエアコンの消費電力量を比較しました。
長時間の外出や就寝時は「つけっぱなし」よりも「こまめに入り切り」がお得!
1日(24時間)で比較しても、「こまめに入り切り」の方が消費電力量は小さいが、わずかな電気代の差で一日中温かい部屋で快適に過ごせることも!
時間帯 | 「つけっぱなし」 | 想定スケジュールに合わせて 「こまめに入り切り」 |
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消費電力量[kWh] | 電気代換算[円] | 消費電力量[kWh] | 電気代換算[円] | |
深夜~早朝 23:00~06:00 | 3.5 | 95 | 0.3 | 8 |
日中 06:00~18:00 | 5.7 | 154 | 8.9 | 240 |
夜間 前日18:00~翌日23:00 | 3.4 | 92 | 2.4 | 65 |
…省電力量が小さい方(電気代換算が安い方)
実証実験②の「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」のそれぞれの消費電力量と電気代の結果(表2)を見ると、2時間の外出をした夜間(18:00~23:00)の消費電力量は、「つけっぱなし」が3.4kWh(約92円)、「こまめに入り切り」が2.4kWh(65円)となり、「つけっぱなし」よりも「こまめに入り切り」した方が消費電力量は小さくなりました。これは、30分間隔で「こまめに入り切り」をした実験①とは反対の結果で、エアコンの運転をOFFにする時間がある程度長くなると、「こまめに入り切り」の方が安くなるということが分かります。
1日(24時間)の消費電力量を比較してみても、12.7kWh(約343円)、「こまめに入り切り」が11.6kWh(313円)となり、「つけっぱなし」よりも「こまめに入り切り」の方が消費電力量は小さくなりましたが、電気代の差は約30円程度でした。
1日(24時間)「つけっぱなし」にするよりも1日の想定生活スケジュールに合わせて「こまめに入り切り」した方が消費電力量が小さいという結果は当たり前のように思えます。しかし、スケジュール運転は1日(24時間)の半分以上、13時間もの停止時間があるにもかかわらず、24時間「つけっぱなし」にした場合と比べて電気代換算で約30円しか安くなっていません。なぜ13時間も停止している「こまめに入り切り」と24時間「つけっぱなし」の差がこれほど小さいのでしょうか。その答えは、室温の変化を示したグラフ5を見ると分かります。
実施日 | 2017年12月25日(23:00)~12月26日(23:00) |
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天気 | 曇時々晴一時雨(12月26日) |
最高気温 | 7.8℃(12月26日) |
エアコン設定 | 暖房24℃、風量自動 |
グラフ5はグラフ3と4から室温の推移だけを抜き出したものです。これを見ると「つけっぱなし」は当然、室温にほとんど変化がありません。また部屋の躯体(天井、床、壁)が蓄熱されているため、少ない電力でエアコンを運転できる状態になっています。一方、「こまめに入り切り」は睡眠(23:00~7:00)や日中・夜間の外出時の運転停止のたびに室温が低下し、何度も冷え切った状態から設定温度まで上げていることが分かります。そのため多くの電力を消費してしまったというわけです。
結果としては、想定スケジュールに合わせて「こまめに入り切り」した方が消費電力量は小さくなりましたが、実証実験①の結果からも分かる通り、「こまめに入り切り」する頻度がもう少し増えると、結果が逆転する可能性も十分考えられます。
冬のエアコン暖房は電気代が高いというイメージがあります。事実、エアコンの暖房運転は冷房運転と比べると消費電力量が大きくなります。一般的な例で考えると、夏は外気温35℃、設定温度27℃でその差は8℃ですが、冬は外気温7℃、設定温度20℃でその差は13℃にもなります。エアコンは設定温度に到達するまではフル稼働するため、外気温と設定温度の差(熱負荷)が大きくなる冬は必然的にエアコンが消費する電力量が大きくなります。
冬は外気温とエアコンの設定温度の差が大きい=熱負荷が大きい→消費電力量が大きくなる
では冬のエアコン暖房の電気代は他の暖房器具と比較しても高いのでしょうか?主な暖房器具の定格消費電力をまとめた表3で比較してみると、エアコンの消費電力は、他の暖房器具と比べて決して高くないことが分かります。空間全体を暖めるメイン暖房として冬のエアコンを有効活用してみてはいかがでしょうか。
エアコン暖房を使用する時、無駄な電気は使いたくないという意識から「こまめに入り切り」をしている人は多いと思いますが、今回の実験条件であれば、30分程度の外出ならエアコン暖房は「こまめに入り切り」するより「つけっぱなし」にした方がお得という結果が得られました。ちょっとそこまで外出したい、買い物に行きたいと思った時など、短時間の外出時には、「つけっぱなし」にすることで、お得で快適にエアコン暖房を使える可能性があります。
実験結果は、あくまで今回の測定条件、測定環境から得られたもので、室内機、室外機の設置状況や天候、日照、最高気温、最低気温、部屋の気密性、断熱性などによって大きく変わってきます。やみくもに「つけっぱなし」にするのではなく、室温、設定温度、外気温の3つの温度を意識しながら、必要に応じて「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」を使い分けましょう。
暖房器具例 | 定格消費電力量(W) | |
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エアコン | 6畳用 | 450 |
10~15畳用 | 750~1100 | |
電気カーペット |
3畳用 | 760~1000 |
ファンヒーター | 1150 | |
オイルヒーター | 360~1500 | |
ハロゲンヒーター | 1200 | |
電気ヒーター | 800~1000 |
出典:経済産業省「節電アクション 冬季の節電メニュー(ご家庭の皆様)」
30分よりも… | ||
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短くなる | 長くなる | |
設定温度 | 高い | 低い |
気密性 | 低い | 高い |
外気温 | 低い | 高い |
設定温度:24℃、最高気温:6.8℃、住宅構造:SRC造13階建て築15年6ヶ月
(24時間常時ON)
(30分間隔でON/OFFまたはスケジュール運転)
黄線で囲ったエリアは、ダイニングキッチンと洋室の引き戸を開放してワンフロアにしています。
協力:株式会社 かねわ工務店(京都市中京区)
年 | 1月 | 12月 | ||
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最高気温[℃] | 平均気温[℃] | 最高気温[℃] | 平均気温[℃] | |
2013 | 9.6 | 5.5 |
12.1 |
8.3 |
2014 | 10.6 | 6.3 |
11.0 |
6.7 |
2015 | 10.4 | 5.8 |
13.4 |
9.3 |
2016 | 10.6 | 6.1 |
13.8 |
8.9 |
2017 | 10.8 | 5.8 | 11.1 |
6.6 |
2018 | 9.4 | 4.7 | - | - |
表中の最高気温:日最高気温の月平均値
表中の平均気温:日平均気温の月平均値
空気の可能性を信じ、追い求め、
新しい価値をくわえて
これまでになかった空気を、世界へ届けます。