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進化する業務用デザイン

それぞれのニーズに対応できる最適なバランスでデザインするためには

業務用デザインほど人・場所・目的の明確化を

業務用製品というと、プロのための、専門的な製品というイメージがあると思います。
もちろん、そういった製品も多いのですが、業務用製品だって使う人、場所、目的は多種多様。
公共施設の備品など、業務用でも、実際には、一般ユーザーが使う業務用製品もあります。
そのため、業務用デザインでは、家庭用製品などコンシューマー向けの製品以上に、「使う人・場所・目的」を明確にし、デザインすることが大切です。

まず、プロ向けの業務用製品のデザインでは、プロしか使わないからと、マニアックに性能や技術だけを極めていけばいいわけではありません。
私が手がけた空調管理システムのデザインを例に挙げると、空調や照明、セキュリティなどを一括してコントロールするためのシステムで、使う人はビルをはじめとする施設を管理するプロです。

ICTなどと連携すれば、より高度な管理が可能となり、それを求めるユーザーには最適です。しかし、高度化ばかり追求しては、管理・操作の簡易性や効率性、低コスト化を求めるユーザーには相反するものになってしまいます。
使う目的が同じあっても、プロ向け業務製品は、使う人のニーズの振り幅が非常に大きいので、それぞれのニーズに対応していくことを検証し、最適なバランスでデザインしていくことも必要です。

デザインで誰もがすぐ使えるを目指す

一般ユーザーが使う業務用製品のデザインは、「誰もが」使えるということが大切です。
例えば、私がデザインした業務用エアコンのリモコンも、設置される場所はオフィスや店舗、ホテルなどが中心で、使う人はオフィスに勤める社員の方、お店のスタッフ、ホテルを利用するお客様といった一般の方です。
家庭用と違って、マニュアルを読んだり、操作に慣れていったりすることはなく、使うのは1回限りという方も少なくありません。そこで、「誰もが」すぐに操作できるようするために、電源のオン・オフ、温度設定という最もよく使う機能を最優先。
操作の方法を直感的に理解し、無意識にボタンに手が伸びるようボタンの表示にピクトグラムを用いています。

ピクトグラムは、ひと目で情報を理解できるとあって、業務用に限らず、さまざまな製品にも取り入れられていますよね。社会のグローバル化も影響しているのでしょう。ただ、日本人と外国人ではピクトグラムに対して、感じ方、捉え方に違いがあるので、製品によって、さらに広い視野で誰もが使えるようなデザインしていかなければなりません。

社会状況もデザインに落とし込む

今、業務用エアコンなどの業務用設備には、大きな課題があります。
これは日本社会全体が抱える問題でもあるのですが、業務用製品の施工業界の人材不足や高齢化が一段と深刻化。業務用製品は一度に数多くの取り付け工事を行うので、対応しきれないという声が上がっているのです。そのため、業務用設備のデザインでは、取り付け作業の負担軽減、時間短縮を図ることがますます欠かせない要素になってきました。

私も業務用リモコンのデザイン段階で、施工業界のこの問題に直面しました。
コストや利便性、信頼性といったさまざまな制約がある中で、問題解決への試行錯誤の日々が続きましたが、非接触、非通電でも通信可能なNFCを使うことで、スマートフォンからリモコンのスタートアップ設定を簡単に登録できるようにデザイン。このスマートフォンとNFCのワンタッチ操作で、時間と労力の軽減を図り、少ない人材でより多くのリモコンの設定を行うことを可能にしたのです。

このように業務用デザインでは、ユーザーのニーズに応えることはもちろん、社会のさまざまな状況を踏まえ、落とし込んでいくことの重要性がさらに高まっていくでしょう。

デザイナーの枠を飛び出すことも大切

技術も社会状況も常に変化しています。この変化にデザイナーとして対応していくためには、幅広い知識と視野を身につけること必要。最近は、さまざまな分野、職種の人たちが交流を図り、学び合う機会やイベントが数多くあるので、時には枠組みから飛び出していくのも有効です。
私はそのひとつであるハッカソンに参加し、エンジニアやプランナー、大学教授など、異なる分野の人たちと独創的なアイデアを出し合い、新しいアプリやデバイスを活用して、資源課題を解決するビジネスモデルを提案。今まで気づいていなかった社会の課題、新たな技術を学ぶことができました。
ハッカソンをはじめ、他分野との交流では、視野、知識を広げられることはもちろん、技術や社会状況の変化に対応し、それらをデザインや製品に落とし込んでいくという課題に生かせるアイデアをたくさん得られることのメリットも大きいです。

コラボレーションやオープン・イノベーションから生まれるデザイン

今後ますます多様化、技術・情報革新が進む社会の中で、一人、一社でできるデザインには、限りがあるかもしれません。しかし、企業や組織の枠を超えて、多様な人、領域が融合すれば、社会の変化に対応する、問題を解決できる画期的なアイデアがどんどん生まれてくると思います。だからこそ、コラボレーションやオープン・イノベーションが必要なのでしょう。

もちろん、専門性や公共性など、多様な要素が求められる業務用製品も、コラボレーションやオープン・イノベーションを通じて、人びとを驚かせる、社会に新しいソリューションを起こせるデザインに進化していくはずです。

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