
ダイキングループのCSRの取り組みに対して、有識者からご意見をいただきました。(2011年6月)

小河 光生様
株式会社クレイグ・コンサルティング代表取締役
名古屋商科大学大学院客員教授
(プロフィール)
シンクタンク、外資系コンサルティング会社を経て、2004年に独立、現在に至る。専門分野はCSRを通じた組織活性化、人材活性化。著書に「ISO26000で経営はこう変わる」「CSR 企業価値をどう高めるか」(日本経済新聞出版社刊)など。 |
東日本大震災の復興が日本の最優先課題になっている。この中でダイキン工業が果たすべき役割は小さくない。なぜなら、震災復興に対する義捐金や支援物資の供給にとどまらず、電力需給のひっ迫に対して空調機器メーカーが日本の節電に主要な役割を果たすことになるからである。家庭・企業において、いかに空調機器の節電を啓蒙し実行につなげるか、まさにダイキン工業の本業を通した社会的責任が問われている。
この点において、ダイキン工業は効果的な活動を開始している。
第一に、震災前から省エネ、省電力技術で先行しており、インバータ、ヒートポンプ技術などを活用して、たとえばすでに中国でインバータエアコンを普及させ、進んだ節電能力を実証済みである。この省エネ・省電力技術を今夏の日本で十二分に活用することで、節電への対応を積極化できる。
第二に、空調機器がネットワークでつながることを活用して、需要者側が一定のエネルギー消費を超えると、ダイキン工業が空調の温度をコントロールするというサービスをすでに始めている。これはダイキン工業の技術力を生かした活動で、将来的にはネットゼロエネルギービル(一次エネルギーの使用をゼロにするビル)などの新しいソリューションの開発を目指しており、一過性に終わらない息長い活動を続ける姿勢である。
第三に、一般家庭を対象にした空調使用に関して、ホームページ上にわかりやすいイラスト入りで節電の啓蒙活動を続けており、“この施策で電力何%削減”と実証データに基づいたアドバイスを行っている。
一方、CSR全般の課題をいくつか指摘したい。
現在のダイキン工業は全社員約4万人のうち2/3が海外で働くグローバル企業である。ダイキン工業はその企業理念において「人を基軸に置いた経営」を標榜している。この“人基軸の経営”はグローバルにおいても十分に発揮されねばならず、その点においてはダイバシティ経営をいかに推進するかが課題となるだろう。すでに過半の社員が日本人以外であることを考えれば、マネジメントにおいても外国人の起用が当たり前であるし、またそうした多様な考え方、価値観を受け入れる企業風土を作っていかねばならない。そのために国際的なマネジメントに通じた人材を日本人に限らず見出し、育成していく仕組みが必要で、かつそうした人材がダイキン工業の経営理念に通じていなくてはならない。ダイキン工業が日本のダイバシティ経営のリーディングカンパニーになる姿勢で取り組んでほしい。
また、ダイキン工業ほどの先進企業になれば、自社だけがCSRを進めるのではなく、自社のサプライチェーンまで含めて、いかに高いレベルのCSRを行うかを考えていく必要がある。これからのサプライヤーは、安く品質のいいものを提供するだけではなく、コンプライアンスや人権、労働慣行に関しても目配せした経営ができていなければならない。この点をダイキン工業が教育・指導をしていく立場が求められる。ISO26000でサプライチェーンの取り組みが強調されているのもこのためである。この点に取り組むことが、さらにグローバル化を果たす今後のダイキン工業の強みになるはずである。 |