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【ファインケミカル部WEBマガジン】 2015年12月号

最新フッ素関連トピックス

ダイキン工業株式会社 化学事業部 ファインケミカル部 薩谷元晴

高機能フッ素オイル・グリース「デムナム」の紹介


1、はじめに

「デムナム」は、当社独自の技術により開発した直鎖構造を有するパーフルオロポリエーテル(PFPE)油である。熱的・化学的に極めて安定かつ不活性であり、耐久性やクリーン性が必要とされる場合の潤滑油として適している。


2、フッ素オイルの特徴について

フッ素オイルは、フッ素化合物の特徴である耐熱性や耐薬品性を持つ不燃性の油である。本来分子間力相互作用が小さいパーフルオロアルキル基の骨格中に酸素原子を入れることで分子構造をフレキシブルにし、分子同士の絡み合いを大きくして油状の液体になるように分子設計されている(この骨格をPFPEという)。   
フッ素油と他の一般的な合成油、鉱物油との特性比較を表1に示す。

表1 フッ素油と合成油、鉱物油との一般的な特性比較

  フッ素油(デムナム) 合成油 鉱物油
使用可能温度の目安 -80℃〜300℃ -70℃〜200℃ -40℃〜130℃
熱安定性
引火点 なし 140℃〜340℃ 140℃〜315℃
低温性 △〜◎ ×〜○
耐水性
潤滑性

このような特徴を持つフッ素油は、汎用のオイルでは使用不適当な箇所・用途で使用される。


3、デムナムの特徴

  

ダイキン工業では1985年に「デムナムオイル」、1987年に「デムナムグリース」の販売を開始した。
「デムナム」の生産には、直鎖構造が得られしかも分子制御のしやすいイオン重合の可能な2,2,3,3テトラフルオロオキセタンを単量体として使用している。この単量体をフッ素イオン触媒で開環重合して得られる低重合体を、反応性に富むF2ガスにより直接フッ素化して得られたものがデムナムである。

  

デムナムは、粘度の異なる三品種を市販している。各品種とその物性値を表2に示す。

※粘度指数: 温度変化による潤滑油の粘度変化の大きさを示すのに用いられる便宜的な尺度。
数字が大きいほど、温度変化に対する粘度変化が小さいことを示す
※※測定方法: ø90oのシャーレにオイル20gを入れて、熱風循環式電気炉で加熱し減量を測定。

4、デムナムと他のPFPEとの比較

  

PFPEは、デムナム以外に構造の異なるものが何種類か市販されている。化学構造が類似であるため、物性には際立った大きな差はないが、粘度指数(温度による粘度の変化の大きさの目安)と高温耐熱性には構造により差がみられる。
表3にデムナムと他のPFPEの特徴をまとめた。

フッ素オイルに限らす、炭化水素油でも高分子の構造が直鎖状のものは一般的に粘度が低く、流動点が低く、粘度指数が大きい(温度変化による粘度の差が小さい=使用しやすい)という特徴がある。表3中の粘度指数の数値の差は、各種PFPEの分岐と直鎖の構造の差によるものである。 一方で、(CF2O)の繰り返し単位は、耐熱性に弱いことが知られている。

表3に示すように、デムナムは、温度―粘度特性と耐熱性に対して、バランスのとれたPFPEであると言える。


5、デムナムグリースについて

前述のように、デムナムは低温から高温まで広い温度領域で使用できる潤滑油であるが、デムナムを基油としてグリース化した商品である、デムナムグリースについて述べる。

デムナムグリースは、デムナムに低分子量体PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を混練してグリース状にしたものである。耐熱性・耐薬品性に優れるPTFEを増ちょう剤として使用することで、デムナムオイルの特徴をさらに高めている。

表4にデムナムグリースの性能を示す。L-65が低温〜中温、L-200が高温での使用に適している。

表4 デムナムグリースの特徴

試験項目 試験方法 試験条件 L-65 L-200
外観 目視   白色不透明 白色不透明
稠度 JIS K-2220 不混和 280±15 280±15
混和 280±15 280±15
混和安定度 JIS K-2220 1万回 260〜290 260〜290
10万回 260〜290 260〜290
見掛粘度 Haake-Rotovisco計 25℃, 300s-1 2500mPa・s 5300mPa・s
蒸発量 JIS K-2220 200℃,22時間 2mass%以下 0.1mass%以下
離油度 JIS K-2220 100℃,30時間 3mass%以下 2mass%以下
200℃,30時間 12mass%以下 10mass%以下
300℃,30時間 - 16mass%以下
銅板腐食 JIS K-2220 25℃,24時間 1a 1a
100℃,24時間 1a 1a
酸化安定度 JIS K-2220 100℃,100h 0.1以下 0.1以下
低温回転トルク JIS K-2220に準ずる -60℃ 5.9N・cm 10.8N・cm
-70℃ 9.8N・cm 21.6N・cm
水洗耐久性 JIS K-2220 38℃,1時間 1mass%以下 1mass%以下
使用温度の目安(℃) -70〜200 -60〜300

表4に示すようにデムナムグリースは、
  1.使用可能温度範囲が広い
  2.粘度が低く低トルクで使用できる
  3.蒸発ロスが少ない
等の特徴を持っている。   


6、デムナムオイル/グリースの用途例

最後にデムナムオイル/グリースが使用されている用途例と、採用理由の特性を示す。

【デムナムオイル】
・半導体製造ドライエッチング工程の真空ポンプ油  ;耐薬品性
・家電、OA機器の潤滑(軽潤滑) ;耐久性
・航空、宇宙関係の潤滑 ;耐熱性、低蒸気圧
・ハードディスク表面の潤滑  ;耐熱性、高耐久性、
【デムナムグリース】
・クリーンルームの潤滑  ;低蒸気圧、クリーン性
・高温用潤滑剤 (200〜300℃) ;耐熱性
・自動車エンジン周りの潤滑 (-40℃〜200℃) ;耐熱性、耐酸化性
  

上記以外にも多彩な用途が考えられる。


発行:ダイキン工業株式会社 化学事業部 ファインケミカル部 WEBマガジン事務局


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