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Daikin Mobility Lab.

モデルベース開発は手段であり価値の設計が重要

駒澤氏

材料のスペックは、モデルベース開発の中でどう関わっていくのが良いのでしょうか?

近藤氏

重要なのは、モデルベース開発は目的ではなく手段だということです。材料の物性データを詰め込んでいくことではなく、材料のデータが車両のどの機能にどれほど寄与しているかを見える化することが大事です。現在では、性能の評価軸が燃費やエミッション、トルクのように粒度が荒く、材料による摩擦や耐熱性などの寄与はあまり重要視されていません。

塩見氏

材料単体での摩擦係数や耐熱寿命の測定は当然できますが、燃費を何%改善するかなど、部品としての機能が関わる部分の測定は難しくなります。

吉田氏

そうですよね。ただ、材料の価値をお客様に伝えることができたら、ニーズに寄り添った材料を開発できると思います。

近藤氏

高性能な材料は誰しも必要としています。しかし、費用対効果がはっきりしないと採用されにくいのはご承知のとおりです。どの性能にどれほど寄与できるかを明確にするためにも、例えば部品まで含めた車両全体のシミュレーションを自ら構築し、部品に関わる材料の性能の寄与を全体性能として確かめることは有用かもしれません。摩擦係数が変わることでエネルギー収支に与える影響の割合を明示できると自動車メーカーなどに提案しやすくなります。

また、シミュレーションを用いて新たな性能軸を提案することも一つの手段です。燃費への寄与率が低くても、例えば振動、排熱性、耐熱性に材料が寄与していることをデータで証明できれば強みになります。最近では熱マネージメントがトレンドとなっており、材料で熱に関する化学反応を細かく知りたいというニーズもあります。

対談の様子3

次世代の自動車を支える材料の開発

近藤氏

材料開発の現場では、どういったプロセスで開発を行っているのですか。

塩見氏

短期的には、今ある材料の配合を変更するなどによって、お客様の困り事を解決していきます。抜本的に違う材料が必要なときは、分子構造をシミュレーションして重合反応を考えたりもします。構造を変えて性能を上げたり、逆に性能を下げてコストダウンも考えたりすることができます。

対談の様子3
吉田氏

材料については分子構造からスペックを管理することができますが、材料を部品に加工した際に想定通りの機能を発現できない場合があります。材料加工後の機能発現を正確に見極めるためにも、材料開発以上に加工・評価技術が重要と考えています。

駒澤氏

新しい材料を自動車の部品としてスペックインさせるまでには、材料や部品としての物性評価だけでなく、実際に自動車に組み込まれた状態での性能評価にも多くの時間を要します。
いかにスピーディーに開発して顧客へ提案するかということも大切にしています。

近藤氏

これまでのお話を聞いて、自動車メーカー、部品メーカー、材料メーカーの三者間の共通言語を作り上げることが、モデルベース開発に求められていると感じました。材料の特性を、車両全体のシステムへの寄与率として明示することや、逆に自動車メーカーの要求スペックに対してどの段階でどれだけのスペックが足りていないかを明確に提示することが大切なのですね。

対談の様子3
吉田氏

近藤社長のお話をうかがって、自動車メーカーや部品メーカーは、今後ますますモデルベース開発を活用していくように感じました。その中で、ダイキン工業としてどうモデルベース開発を受け入れ、自動車メーカーや部品メーカーにどう提案していくのかをもっと意識していくことが重要だと感じました。

駒澤氏

さまざまな情報に触れることで、材料開発にフィードバックし、逆にこちらからも材料のニーズを先読みした提案をする必要があると感じました。

塩見氏

我々がモデルベース開発の手法を取り込むことで、人それぞれに違う経験、知識、感性などの差異を小さくしたうえで、個人に蓄積されたノウハウを社内で共有しながら材料開発へフィードバックできると良いと思います。材料メーカーとしての総合力を発揮し、自動車メーカーや部品メーカーからなくてはならない存在となれるよう、積極的に自動車開発に貢献していきたいと思います。

対談の様子3
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