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Daikin Mobility Lab.

熱マネジメントは自動運転における喫緊の課題

新家氏

自動運転における熱マネジメントに関する課題については、どうお考えですか。

菅沼氏

完全自動運転になると、ものすごい計算量を伴うような演算機器が積み込まれることになるので、放熱問題は喫緊の課題だと思っています。NVIDIAのチップもかなりの熱量を伴うし、ディープラーニングのようなAI系の技術で学習や判断をさせるときは放熱をしっかりしておかないとコンピューターはダウンしてしまいます。センサーでもレーザーを使っているとそれなりに熱を持っているし、いろいろなところで熱問題はあるのではないでしょうか。

新家氏

今の自動運転車の電気量はどれくらいなのでしょうか。

菅沼氏

実証で使用している自動運転車にはCPUは1台しか積み込んでいませんが、それでも400~500Wあります。センサーなども含めると、かなりの電気量になりますね。

金沢大学の自動運転車に搭載されるCPUなど演算機器

金沢大学の自動運転車に搭載されるCPUなど演算機器

新家氏

我々は現在、放熱・遮熱・断熱などの熱マネジメント材料にも力をいれています。フッ素は電気的な誘電率が低く、電気の損失が少ないという特徴があります。この特性は電線やアンテナ材料や携帯の基地局やプリント基板に生かされています。また、空調機器ならではの熱に関するシミュレーションや分析力がコア技術としてあります。そういったものを上手く化学の材料と組み合わせることで、自動車メーカーや部品メーカーに提案していければと考えています。

菅沼氏

今まで放熱部分に専門の空調機器メーカーが入っていないことを知らなかったので驚きです。現段階では化学メーカーの知見がクルマにはあまり反映されていないのでしょうか。

新家氏

そうですね。クルマに10~20年の耐久性が求められているように、フッ素材料が使われているのも、信頼性が必要とされる内燃機関周辺のシール部品や燃料システム周りの燃料チューブです。自動運転の中でも熱が発生し、耐久性・信頼性が必要なところに化学材料技術を生かしていきたいと考えています。内燃機関周辺の重要保安部品は世界ではトップレベルの実績があると自負しています。

菅沼氏

自動運転の世界になると、センサーの一つ一つが重要保安部品です。必要性は高いですね。

対談の様子3
新家氏

安定した品質を生産するという品質管理も我々の強みです。リチウムイオン電池にもフッ素材料が多く使われています。電解液に入っている電解質も、フッ素材料です。バインダーといわれる正極材や電池の漏れを防止するガスケットにもフッ素材料が使用されています。また、フィルムコンデンサのようなパワー半導体周りも、耐熱性のある材料が要求されるようになってきており、開発に力を入れています。アクチュエーターにもフッ素材料を使おうという検討がなされています。

菅沼氏

耐久性や信頼性が求められるところにはフッ素が使われるのですね。

新家氏

例えば、パナソニックさんは家電で培った技術を自動車部品に応用されています。ダイキンでは空調機器で培った技術や、自社で持っている化学部門の強みを生かしてこれからの自動車に適用していきたいと思っています。

自動運転車の将来を描きながらソリューションを提案する

新家氏に自動運転車を紹介する菅沼氏
菅沼氏

欧州系のメーカーは、自動運転中に対面で座ったり、新聞やタブレットを見たり、車内で楽しむ方法を大々的にアピールしています。新幹線では酔いを防止するために緻密な努力をされていますが、なぜか自動運転についてはその議論が全くなされていません。意外と、酔いを防止するための試みはすごく重要だと思っています。実際に自動運転の実験を行う際にクルマで酔うことが多かったのですが、空調で酔いを防止することは可能ですか。

新家氏

酔いの防止や認知症を遅らせるなど、さまざまな機関で空調についての研究がされています。ストレスを測定しながら空調機を最適化するとか、快適性を高めることで病気になりにくくするといった開発を行っていきたいと思っています。自動運転車の車内での酔いを防ぐための技術開発は必要だと感じます。

菅沼氏

空調から自動運転に貢献できるところは大いにありそうですね。

新家氏

そう思います。ところで、自動運転でレベル5の車両は将来的に実現するのでしょうか。

菅沼氏

現状、レベル3の車両しか存在していません。将来的には今のADASが新しい形になったようなレベル2の超高度版と、レベル4や5のような完全自動運転と呼ばれるもので二極化すると思います。前者は価格もおさえられるので一般の方が入手できるような普通のクルマです。これがないと自動車をマスプロダクトとして売るような社会の実現は難しいと考えられます。レベル4や5は、あらかじめルート上の情報を入力できるようなバスやタクシーなどの公共交通機関であれば、運行開始前に運行管理会社がセンサーに問題がないかを確認して運行できるので、サービスがより早く展開でき、使う側もメリットを早く享受できると思います。

自動運転を体験する新家氏
菅沼氏

一般ユーザーが自動運転のクルマを持つ社会がすぐに来るのかというと、残念ながらそこは時間がかかります。あくまで運転支援のレベルが高度化したものであって、自動運転のようなイメージを体験できるクルマです。今、メーカーが開発している自動運転車の多くは高速道路の走行のみです。

サービスだけでいえば、いろいろと検討ができると思います。夢がないと開発するモチベ―ションにもつながらないので、どんどん進めていただきたいです。サービスが創造できると、完全自動運転がいいか、運転支援がいいかのすみ分けも可能です。サービス側から検討していくのもいい方法だと思います。

新家氏

将来を描きながら、自分達の技術が役に立って社会が変わっていくのは楽しいと思っています。お客様のニーズや、これからの材料や要望に対してはいろいろなソリューションを持っているので、5年・10年先を見据えた提案をしながら自動運転分野で貢献していければと思っています。

対談の様子4
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参考URL

金沢大学理工学域機械工学系計測制御研究室
http://its.w3.kanazawa-u.ac.jp/
ダイキン工業 化学事業部 自動車に活用されるフッ素(用途事例)
http://www.daikin.co.jp/chm/market/car.html
この記事は、LIGARE vol.34 より転載しております。
http://ligare.news

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